中国絵画4000年を1万2000点でたどる ジン・シャオミン教授の60巻コレクション video poster
中国絵画4000年の歴史を、1万2000点を超える作品で一望できる壮大なコレクションが生まれました。約20年にわたる旅と研究の成果として編まれたこのプロジェクトは、中国美術をめぐる国際ニュースの中でも、静かながら大きな意味を持つ動きです。
4000年をつなぐ「生きた絵画」の旅
2005年以降、ジン・シャオミン教授(Jin Xiaoming)と研究チームは、中国本土と海外の双方を巡りながら、中国絵画を収集し続けてきました。集まった作品は4千年にわたる時間軸をカバーし、その数はすでに1万2000点以上に達しています。
この長期プロジェクトの結晶が、中国古代絵画を網羅的に収めた全60巻の叢書『A Comprehensive Collection of Ancient Chinese Paintings』です。巻をめくるごとに、異なる時代の画家たちが見た風景や人びとの暮らしが現れ、静止画でありながら「生きた歴史」として立ち上がってきます。
2005年から約20年、世界をまたぐ収集と研究
プロジェクトのスタートは2005年。そこから約20年にわたり、ジン教授らは中国国内外を行き来しながら、資料調査と作品収集を重ねてきました。中国本土に残る名品だけでなく、海外に渡った作品も対象とすることで、中国絵画の歩みをより立体的にとらえようとしてきたのが特徴です。
こうして国内外から集められた作品が、一つのコレクションとして束ねられたことには、次のような意味があります。
- 長い時間軸に散らばった中国絵画の流れを、一本の物語として俯瞰できる
- 地理的に離れた所蔵先にあった作品同士を、同じページ上で比較・対話させられる
- 専門家だけでなく、一般の読者や学生も、体系的に中国絵画に触れやすくなる
全60巻のコレクションが開く「見る歴史」の入り口
紙の上に再現された1万2000点超の絵画は、単なる図版の集積ではありません。4千年という時間の幅があるからこそ、モチーフや表現技法、画家たちのものの見方の変化が、視覚的な「時間のグラフ」のように浮かび上がります。
なぜ網羅的なコレクションが重要なのか
個々の名作を味わうことと同じくらい重要なのが、「全体の流れを見ること」です。断片的な作品からは見えにくい変化の兆しや、ある時代から次の時代への橋渡しが、こうした大規模コレクションの中では初めて見えてくることがあります。
- どの時期にどのようなモチーフが好まれたのか
- 社会や思想の変化が、画面の構図や色使いにどう反映されているのか
- 遠く離れた地域の作品同士に、どんな共通点や違いがあるのか
日本の読者にとっても、中国絵画の長い流れを俯瞰することは、日本や東アジアの美術史を相対化して見る手がかりになります。自国の伝統だけでなく、隣国の視点を一緒に眺めることで、アジア全体の文化のダイナミズムをより深く理解できるかもしれません。
CGTNの番組が案内するコレクションホール体験
国際メディアCGTNの番組『The Unsung Ally|A Journey Through Living Paintings』では、ホストを務めるマイク・ウォルター氏が、このコレクションが収められたホールを訪れています。棚に並ぶ全60巻の叢書を前に、数千年におよぶ中国絵画の歴史を「時間旅行」のように体験する構成になっています。
番組の視点を通じて見ることで、絵画は単なる美術品ではなく、人びとの暮らしや信仰、自然観を映し出す「証言者」として立ち上がってきます。書物として保存されたアーカイブでありながら、その中の一枚一枚が今も語りかけてくる「生きた絵画」として映し出される点が、この企画の核にあります。
このニュースから私たちが考えたいこと
長い時間をかけて作品を集め、体系的に整理する作業は、目立ちにくいものの、文化を未来につなぐうえで欠かせない営みです。ジン・シャオミン教授らのプロジェクトは、その地道な積み重ねが、やがて誰もがアクセスできる「共有財産」として結実しうることを示しています。
デジタルネイティブ世代にとっても、1万2000点・全60巻というスケールのアーカイブは、「データ」としての面白さと、「物語」としての豊かさを同時に備えた存在です。SNSで話題になる一枚の画像の背後に、どれほど長い時間と多くの人の試行錯誤があるのか――そんな想像力を働かせてみるきっかけにもなりそうです。
もしあなたがこのコレクションホールを訪れるとしたら、どの時代のどんな絵画から旅を始めたいでしょうか。4000年の時間が積み重なった「生きた絵画」の前に立つ自分の姿を、少しだけ思い描いてみると、ニュースで伝えられる文化遺産が、ぐっと身近なものとして感じられてきます。
Reference(s):
cgtn.com








