新疆ウイグルの山に広がる巨大ソーラープロジェクト video poster
新疆ウイグル自治区の山あいに、パリ市より少し広い面積を覆う「ソーラーパネルの海」が出現しつつあります。風力と太陽光を組み合わせ、完成すればシンガポールの全世帯が1年間に使う電力をまかなえるとされる、中国でも最大級の再生可能エネルギープロジェクトです。
新疆ウイグル自治区ニーレク(Nileke)の山岳地帯では、強い日差しの下で羊の群れが草を食み、そのはるか頭上まで、ぎらりと光る太陽光パネルが一面に広がっています。牧草地と発電所が同じ場所に共存する、少し不思議な風景です。
山あいの牧草地に広がる「ソーラーの海」
現地の山の斜面や谷間には、規則正しく並んだ太陽光パネルが続き、見渡す限りきらめく「ソーラーの海」を形づくっています。その足元では、首につけた鈴を鳴らしながら羊がゆっくりと歩き、従来の遊牧の暮らしと新しいエネルギー開発が、同じ空間の中で折り重なっています。
こうした景色は、再生可能エネルギーの導入が進む中で、世界各地で見られるようになってきた「発電と農牧業の共存」の一例といえます。一つの土地を二つの目的で生かすことで、土地利用の効率化や地域経済への波及効果が期待されます。
パリより広い規模 シンガポールの全世帯分を発電へ
このニーレクのプロジェクトは、面積がフランスの首都パリよりやや広いとされるほど、巨大な事業です。太陽光だけでなく風力発電設備も組み合わせる計画で、完成すれば風と日差しという二つの自然エネルギーを最大限に生かすことになります。
事業がフルに稼働した場合、そこで生み出される電力は、シンガポールの全ての家庭が1年間に使う電力量をまかなえる規模だと見込まれています。人口密度が高く、電力需要も大きい都市国家の年間家庭用電力に匹敵する出力を、一つの山岳地域から生み出そうとしているわけです。
新疆ウイグルの山岳地帯が担う「緑の未来」
中国では、温室効果ガスの排出を減らし、エネルギーをより環境負荷の小さい形に転換していくことが課題となっています。日照時間が長く、広大な土地が広がる地域は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの開発にとって重要な拠点になり得ます。
新疆ウイグル自治区の山岳地帯で進むこのプロジェクトは、まさにそうした「自然条件を生かしたエネルギー開発」の象徴的な取り組みだといえます。山々に反射する太陽光パネルの輝きは、地域の新たな産業の姿であると同時に、中国全体の「緑の未来」を支えるインフラへとつながっていきます。
地域社会と環境へのインパクト
大規模な再生可能エネルギー事業は、地域社会にさまざまな影響をもたらします。建設や保守にかかわる雇用、関連インフラの整備、電力供給の安定化など、プラスの効果が期待される一方で、自然環境への配慮や景観との調和など、慎重な検討が必要な側面もあります。
ニーレクの山で進むこのプロジェクトでは、従来からの牧畜と発電設備が同じ場に存在しています。こうした現場での経験は、再生可能エネルギーと地域の暮らしをどう両立させていくかを考える上で、今後の重要な参考例となっていきそうです。
日本のエネルギー議論への示唆
日本でも、エネルギー安全保障や脱炭素化をめぐる議論が続いています。山岳地帯や農地、海上など、限られた土地をどう使いながら再生可能エネルギーを増やしていくかは、共通する課題です。
新疆ウイグルのニーレクで進むような、牧畜と共存する大規模な太陽光・風力プロジェクトは、「自然環境と地域の暮らしを両立させながら、どこまで再生可能エネルギーを拡大できるのか」という問いを、私たちに静かに投げかけています。
羊の鈴の音が響く山あいに広がる「ソーラーパネルの海」は、遠い地域のニュースであると同時に、これからのエネルギーのあり方を考える手がかりとして、2025年の今を生きる私たちにもつながる風景といえるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








