中国聯通に衛星モバイル通信ライセンス 中国の衛星インターネット戦略は新段階へ
中国の工業情報化部(MIIT)が、中国聯通(チャイナ・ユニコム)に衛星モバイル通信サービスの営業ライセンスを付与しました。中国電信、中国移動を含む大手通信3社が衛星通信に本格参入しつつあり、中国の衛星インターネット戦略は新しい局面を迎えています。本稿では、この国際ニュースを日本語ニュースとして整理しつつ、何が変わるのかを分かりやすく見ていきます。
衛星モバイル通信とは何か スマホがそのまま衛星につながる
衛星モバイル通信とは、専用アンテナや特別な端末を使わず、手元のスマートフォンなどがそのまま衛星と接続できるサービスです。基地局や地上ネットワークが届かない場所でも、衛星経由で音声通話やデータ通信、メッセージ送受信などを行えることが特徴です。
地震や大規模停電などの緊急時、海上航行中の船舶、山間部や砂漠など、従来は圏外になりやすかった場所での通信手段として、各国で注目が高まっています。
中国聯通にライセンス 狙うのは緊急時・海上・僻地の「圏外」解消
工業情報化部は最近、中国聯通に対して衛星モバイル通信サービスのライセンスを付与しました。これにより、中国聯通は衛星からスマートフォンへ直接信号を届ける「ダイレクト・トゥ・セル」型のサービスを展開できるようになります。
発表によれば、中国聯通が重点的にカバーを目指すのは次のような領域です。
- 自然災害や事故発生時などの緊急通信
- 国際・国内の海上交通や物流の安全確保
- 山間部や砂漠など、地上ネットワークの整備が難しい遠隔地域
こうした用途では、従来の携帯電話網だけではカバーしきれない「最後の一マイル」が課題とされてきました。衛星モバイル通信は、まさにその隙間を埋める技術として位置づけられています。
先行する中国電信と中国移動 大手3社がそろい踏みへ
今回の中国聯通へのライセンスは、中国電信、中国移動を含む大手3社の衛星通信戦略がそろって動き出したことも意味します。
- 中国電信(チャイナ・テレコム): すでに工業情報化部からライセンスを取得し、2023年には衛星とスマホをつなぐサービスを開始しています。
- 中国移動(チャイナ・モバイル): 現時点では、測位衛星システムである北斗(ベイドウ)を利用した衛星短消息サービスのみを提供しており、主に圏外地域でのメッセージ送受信に活用されています。ただし、工業情報化部に対し、衛星から端末へ直接接続する本格的な衛星モバイル通信サービスのライセンス申請を進めているとされています。
中国電信が一歩先行しつつ、中国聯通と中国移動も追随する構図が見え始めており、今後はサービス内容やエリア、料金などをめぐる競争が本格化するとみられます。
2025年の新指針 2030年に向けた衛星通信の青写真
2025年8月、工業情報化部は衛星通信分野の市場参入を最適化し、高品質な発展を促すことを目的とした新たな指針を公表しました。この指針は、2030年を見据えた中長期的なロードマップと位置づけられています。
指針が掲げる主な方向性は次の通りです。
- 衛星通信に関する管理体制、政策、法規制を整備し、産業発展に適した制度環境をつくる
- インフラ、産業サプライチェーン、技術標準、国際協力を一体的に強化し、産業基盤を底上げする
- 国有企業による低軌道(LEO)衛星インターネットの加速的な発展を支援する
- 通信事業者による衛星ダイレクト・トゥ・デバイス(端末への直接接続)サービスの展開を奨励する
- 衛星インターネット・オブ・シングズ(衛星IoT)など新興分野への民間企業の参加を促し、多様なプレーヤーが参入できる環境を整える
今回の中国聯通へのライセンス付与は、まさにこうした政策方針の中で位置づけられる動きと言えます。
競争と協調が並行する市場へ 消費者は何を期待できるか
工業情報化部は、中国の衛星モバイル関連サプライチェーンの商業化が加速する中で、「競争的でありながら協調的でもある」市場の形成を見込んでいます。その結果として、一般消費者にとって衛星通信へのアクセスがより身近になることを期待しているとしています。
同時に、通信事業者と、その上流・下流に位置する機器メーカーやサービス企業の連携を一層強め、産業全体の高度化とサプライチェーンの強靱性、安全性を高めることも求めています。
生活者や企業にとって、こうした動きがもたらしうる変化としては、例えば次のような点が挙げられます。
- 災害時の通信途絶リスクの低減
- 海運や遠隔地での業務連絡の安定化
- センサーや機械を衛星でつなぐ衛星IoTによる新サービスの登場
どこまでが現実的な価格帯で提供されるのか、どの地域から優先的にカバーされるのかなど、今後の具体的なサービス設計が注目されます。
これからの注目ポイント
中国聯通へのライセンス付与により、中国の大手通信3社はそろって衛星モバイル通信に向き合う段階に入りました。2030年に向けた政策の方向性も示された今、次のような点が今後のフォローアップの焦点となりそうです。
- 大手3社のサービス内容や料金、カバーエリアの違い
- 衛星IoTなど新サービス分野での民間企業の動き
- 国際協力や技術標準づくりにおける中国の役割
衛星通信とモバイル通信の融合は、インフラの話であると同時に、私たちの「つながり方」そのものを変えるテーマでもあります。ニュースを追いながら、自分の生活や仕事のどこに影響しうるのか、一度立ち止まって考えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
China Unicom granted license to operate satellite mobile services
cgtn.com








