中国、海上から11基の新衛星打ち上げ ジーリーIoT星座計画が前進
中国が東部の山東省沖の海上から、小型衛星コンステレーション「ジーリー(Geely)」の新たな衛星11基を一度に打ち上げました。宇宙からモノのインターネット(IoT)通信を提供する計画が、着実に前進しています。
山東省沖の海上から11基を同時打ち上げ
今回の国際ニュースの舞台は、中国東部の山東省日照市近海の海上です。火曜日の午前3時48分(現地時間)、スマート・ドラゴン3ロケットが海上プラットフォームから発射され、ジーリー05シリーズの衛星11基を搭載して上昇しました。
打ち上げは太原衛星発射センターが担当し、ロケットは衛星を所定の軌道に投入しました。海上からの打ち上げは、周辺住民への影響を抑えやすく、柔軟に打ち上げ方向や軌道を選びやすいとされる方式で、中国でも回数を重ねつつあります。
ジーリー衛星コンステレーションとは
今回打ち上げられた衛星は、自動車メーカーとしても知られるジーリー・テクノロジー・グループ傘下の子会社ジースペース(GeeSpace)が運用する「ジーリー星座」に属します。「星座(コンステレーション)」とは、多数の人工衛星を協調させて運用するシステムのことです。
ジーリー星座の第1期計画では、2025年までに計72基の衛星を配備することが目標とされています。完成すれば、世界のユーザーに対して、商用の衛星IoT通信サービスを提供することを狙っています。
衛星IoT通信は、地上の通信インフラが十分でない海上・山間部・砂漠地帯などでも、物流の追跡、インフラ監視、環境モニタリングなどを可能にする技術です。自動車関連企業がこの分野に参入している点も、コネクティッドカーや自動運転などと組み合わさる将来像を意識させます。
スマート・ドラゴン3ロケットの特徴
ジーリー衛星を打ち上げたスマート・ドラゴン3ロケットは、中国運載ロケット技術研究院が開発した小型ロケットです。4段式の固体燃料ロケットとして設計されており、主に太陽同期軌道や低軌道への衛星投入を目的としています。
太陽同期軌道とは、地球を回る間、常にほぼ同じ太陽光条件で地表を観測できる軌道のことで、観測衛星や地球環境モニタリング衛星でよく利用されます。スマート・ドラゴン3は、高度500キロメートルの太陽同期軌道に最大約1.5トンのペイロード(搭載物)を送り込む能力を持つとされています。
今回の打ち上げは、このロケットにとって7回目の飛行ミッションとなりました。小型ロケットが繰り返し運用されることで、打ち上げ機会の増加やコストの低減が進み、商用衛星ビジネスの広がりにつながる可能性があります。
商用衛星と宇宙ビジネスの広がり
ジーリー星座のような商用衛星コンステレーションの拡大は、宇宙が国家プロジェクトだけでなく、企業によるサービス提供の場としても重要性を増していることを象徴しています。衛星IoTは、製造業、物流、エネルギー、農業など、多くの産業分野でデータ活用を支える基盤となり得ます。
一方で、多数の小型衛星が次々と打ち上げられることで、宇宙ごみ(スペースデブリ)対策や、各国・各地域の規制との調整といった新しい課題も生まれています。技術の進展と同時に、持続可能な宇宙利用のルールづくりも問われる段階に入りつつあります。
山東省沖からの11基同時打ち上げは、中国の商用宇宙分野が、インターネット以降の次のインフラとして「宇宙インターネット」や衛星IoTを本格的に整備しようとしている流れの一端だといえます。今後のジーリー星座の展開と、スマート・ドラゴン3ロケットの運用状況は、宇宙ビジネスの動向を読み解くうえで注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








