中国人気ゲームHonor of Kingsが蘇州の無形文化遺産を若者につなぐ video poster
中国の人気モバイルゲームHonor of Kingsが、蘇州の伝統工芸「蘇繍」とコラボし、無形文化遺産を若い世代に伝える取り組みが注目されています。ゲームと国際ニュース、文化をまたぐ動きとして、日本語でフォローしておきたいトピックです。
ゲーム発の英雄コスチュームが博物館へ
Honor of Kingsの運営会社は、蘇州の蘇繍の継承者であるFu Xianghongさんと協力し、新しいゲーム内の英雄キャラクター・孫権の衣装デザインを制作しました。この衣装は初めて蘇州シルク博物館で実物として展示され、来館者はゲームの世界観を支えるデザインが、どのように古典的な中国美術の美意識と結びついているのかを間近で見ることができました。
コスプレがつなぐ「画面の中」と「現実」
会場には、蘇繍で装飾された孫権の衣装をまとった複数のコスプレイヤーも登場しました。デジタル上のキャラクターが現実世界に現れることで、ゲームファンでない人にも伝統工芸の細部や魅力が伝わりやすくなります。精緻な文様や手作業の刺繍技術は、無形文化遺産と若者文化が生きたかたちでつながっていることを示していました。
「ゲーム」という入口で歴史と出会う
蘇州シルク博物館のQian Zhaoyue館長は「ゲームという形を通じて、より多くの若者が歴史や文化に関心を持てるようになった」と話しています。オンラインで親しんでいる作品のキャラクターやストーリーを、オフラインの展示やパフォーマンスとして体験できることで、若い来館者が地元の歴史や伝統により深く触れるきっかけになっているといえます。
中国ゲーム業界で進む「伝統文化×テック」
今回のHonor of Kingsと蘇繍のクロスオーバーは、中国のゲーム業界で広がる潮流の一部です。創造性とデジタル技術を組み合わせて、無形文化遺産や伝統芸能を現代的なかたちでよみがえらせる試みが進んでいます。
こうした動きには次のような狙いがあります。
- 若いプレイヤーに、自国や地域の歴史・文化への興味を持ってもらう
- 伝統工芸の職人や博物館との連携で、新たな表現の場をつくる
- ゲームをきっかけに、現地の文化施設や観光地への来訪を促す
キャラクターデザインやストーリーに伝統文化の要素を取り入れることで、プレイヤーは自然なかたちで文化的な背景に触れ、結果として文化への誇りや関心が高まる効果も期待されています。
「ただの娯楽」から「文化のステージ」へ
Honor of Kingsの事例が示しているのは、ゲームが単なる娯楽にとどまらず、伝統芸術の新しいステージにもなり得るという点です。博物館や職人と連携しながら、オンラインとオフラインを行き来する体験を設計することで、無形文化遺産を次の世代につなぐルートが増えていきます。
ゲームをきっかけに、実際の工芸品や歴史的な場所を訪ねる若者が増えれば、地域の文化資源を守り、未来へと受け渡す力も強まっていくでしょう。スマートフォン1台から始まるゲーム体験が、私たちの「文化との距離」をどう変えていくのか。今回の取り組みは、その可能性を考えるうえで象徴的なケースだといえます。
Reference(s):
Honor of Kings boosts appeal of intangible cultural heritage
cgtn.com








