第12回シルクロード国際映画祭 福州から広がる映画と国際協力
今年9月22〜26日に福建省福州市で開催された第12回シルクロード国際映画祭(SRIFF)は、「シルクロードが世界をつなぎ、映画祭が福州を照らす」というテーマのもと、国際協力とクロスストレート(両岸)文化交流を前面に掲げました。国際ニュースとしても、アジア発の映画ネットワークの広がりを象徴するイベントとなりました。
第12回シルクロード国際映画祭とは
シルクロード国際映画祭は、中国の沿海都市・福州で開かれる国際映画祭で、シルクロード沿線を含む国と地域の作品を紹介し、映画を通じた交流を目指しています。今年の第12回は、国際協力、クロスストレート文化交流、そして「ゴールデン・シルクロード賞」の授与が大きな柱となりました。
135の国と地域から集まった3,500本の作品
主催者によると、今回の映画祭には135の国と地域から3,500本を超える作品が応募し、その中からロシア、フランス、イタリア、イランなど44の国と地域の約100本が上映作品として選ばれました。また、映画監督や俳優、文化当局者、映画産業のキーパーソンなど、30の国と地域から400人を超えるゲストが福州に集まりました。
数だけでなく、参加地域の広がりも特徴的です。ヨーロッパ、中東、アジアなど多様な地域の作品が一つの映画祭に集まることで、制作手法や物語のスタイル、マーケットの課題を共有する場が生まれています。映画祭が「上映の場」にとどまらず、「共同制作やビジネス協力の入口」として機能していることがうかがえます。
インドネシアが「ゲスト国」に
今年のシルクロード国際映画祭では、インドネシアが「ゲスト国(カントリー・オブ・オナー)」に選ばれました。これは、中国とインドネシアの国交樹立75周年と、バンドン会議開催70周年という節目の年にあたることとも重なります。
期間中は、インドネシア映画の特集上映や文化展示、映画産業フォーラムなどが行われ、共同制作、撮影技術、マーケット開拓といった分野での協力を深めることが狙いとされました。東南アジアの映画市場の存在感が高まるなかで、中国とインドネシアの映画協力がどのような形で発展するのかは、地域のメディア産業全体にも影響を与えそうです。
一帯一路の映画協力を「仕組み化」
映画祭は、一帯一路に関連した映画協力を強化する場としての役割も担いました。会期中には、参加9カ国が自国の映画政策を紹介し、9つの国際映画祭がシルクロード国際映画祭と「姉妹映画祭」協定を結びました。
さらに、カンボジア・アジア映画祭の中国事務所が福州に設置され、二国間の文化交流を長期的に支える拠点として位置付けられています。単発のイベントにとどまらず、政策対話や映画祭どうしのネットワーク、常設の事務所といった「仕組み」を整えることで、映画を通じた一帯一路協力を継続的なものにしようとする動きが見えてきます。
福州が担うクロスストレート文化交流
今回初めて、映画祭の公式プログラムとして「クロスストレート映画部門」が設けられたことも注目点です。中国本土と台湾の間の文化交流のゲートウェイ(玄関口)として、福州の役割を強調する狙いがあります。
この部門では、ショートフィルムの特別上映、AIを活用した短編映画コンペティション、台湾映画のプロモーション、若手映画制作者による企画プレゼンテーションなどが実施されました。主催者によれば、福建で活動する台湾の映画関係者を支援し、映画産業における長期的なクロスストレート協力を深めることが目的とされています。
政治的なテーマではなく、具体的な作品制作や人材交流を通じて関係を育てるアプローチは、文化を介した対話の一つの形と言えるでしょう。映画という共通言語が、距離や立場の違いを越えたコミュニケーションの入口になっています。
ゴールデン・シルクロード賞と国際審査団
映画祭の最高賞にあたるのが「ゴールデン・シルクロード賞」です。今回は、映画監督の陳凱歌氏が審査委員長を務め、インドネシアのガリン・ヌグロホ監督、ベルギーの撮影監督マティアス・デルヴォー、イタリアのガブリエレ・マイネッティ監督など、世界各地の映画人13人が国際審査員として参加しました。
賞は、最優秀作品賞や最優秀監督賞を含む10部門で構成されており、シルクロードにゆかりのある国と地域の作品を中心に、多様な表現を評価する場となりました。異なるバックグラウンドを持つ審査員が議論を重ねることで、受賞作の選定プロセスそのものが「国際協力」の一つのかたちになっている点も興味深いところです。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、シルクロード国際映画祭はまだなじみの薄い映画祭かもしれません。しかし、アジアの都市が映画と文化を通じて国際ネットワークを築き、一帯一路やクロスストレート交流といった大きなテーマを「ソフトな形」で具現化しているという点で、注目に値します。
とくに、AI短編コンペティションや若手監督の企画プレゼンテーションなどは、デジタルネイティブ世代のクリエイターにとっても関心の高い分野です。プラットフォームやテクノロジーが変わっても、物語を共有したいという欲求は変わりません。どのような作品がシルクロードの名のもとに集まり、どんな対話が生まれているのか。日本の映画ファンや映像クリエイターにとっても、今後ウォッチしておきたい動きと言えそうです。
Reference(s):
12th Silk Road International Film Festival to kick off in Fuzhou
cgtn.com








