中国全人代常務委が幅広い政策報告を審議 2025年経済から気候変動まで
中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で、2025年の国民経済・社会発展計画や気候変動対策など、中国の今後を左右する幅広い政策報告が一度に審議されました。
幅広いテーマを一度に審議
中国の立法機関である全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は、現在開かれている会期中の会議で、多くの重要な報告書をまとめて審議しました。会議には全人代常務委員会委員長の趙楽際(Zhao Leji)氏が出席しました。
今回、全人代常務委が聞き取り・審議を行った主なテーマは次のとおりです。
- 労働組合法の実施状況
- 2025年の国民経済・社会発展計画の実施状況
- 予算執行と2024年の政府債務管理
- 文化と観光の一体的な発展
- 気候変動対策とカーボンピークアウト・カーボンニュートラル
- 水資源税の改革試行
- 第15次5カ年計画(2026〜2030年)綱要の検討
2025年経済・社会発展計画と財政運営
まず、2025年の国民経済・社会発展計画の実施状況に関する報告では、計画全体の実施が概ね順調であると評価されました。報告は、中国経済が今年前半において上向きで前向きな傾向を維持していると指摘しました。
そのうえで、今年後半に向けた重点課題も示されました。経済の安定成長を維持しつつ、雇用や産業構造の調整など、構造的な課題への対応を一段と強化することが念頭に置かれているとみられます。
予算執行に関する報告では、財政運営の方針として「より積極的な財政政策」を打ち出し、雇用の安定や対外貿易の下支えに全力を挙げるとしています。景気の下振れリスクに備えながら、公共投資や重点分野への支出を通じて成長と安定を両立させる狙いがうかがえます。
政府債務管理:2024年の状況と監督
会議では、2024年の政府債務管理に関する報告および監督調査報告も審議されました。地方政府を含む債務残高やリスクの把握、透明性の向上、そして債務の持続可能性をどう確保するかが焦点となっています。
監督調査報告が併せて提出されたことから、立法機関として、政府債務に対するチェック機能を強めようとする姿勢も読み取れます。これは、長期的な成長と金融の安定を両立させるうえで、重要なテーマです。
労働組合法の実施状況:現場の課題と改善提案
労働組合法の実施状況に関する報告では、同法がどのように現場で適用されているか、全体像とともに、運用上の困難や課題も示されました。
報告は、法律の実効性を高めるために必要な改善提案も提示しました。労働者の権利保護と企業活動のバランスをどう取るかは、経済構造の変化が続くなかで、中国にとっても重要な政策テーマとなっています。
文化と観光の一体的発展:新たな成長分野へ
文化と観光の一体的な発展を進めるための報告では、制度や支援体制の整備、そしてより深い統合を促すための革新的な商品やサービスの開発が提案されました。
観光地の魅力向上と文化コンテンツ産業の発展を両立させることで、国内需要の拡大だけでなく、国際的なイメージ発信にもつなげていく狙いがあります。文化・観光分野での交流や協力を一層促進することも掲げられました。
気候変動対策とカーボン市場の整備
気候変動への対応と、カーボンピークアウトおよびカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)の実現に関する報告も注目されます。
報告は、次の段階に向けた課題として、市場メカニズムの改善を挙げました。国際的な影響力を持つ、より効果的で活力のあるカーボン市場を構築することを目標に掲げています。排出権取引などの仕組みを通じて、企業の低炭素化を促すことが期待されています。
水資源税の改革試行と第15次5カ年計画
会議では、水資源税の改革試行に関する報告も聞き取りが行われました。水資源の効率的な利用や保全を促すため、税制を通じてインセンティブ(誘因)を設計する取り組みです。
さらに、2026〜2030年を対象とする第15次5カ年計画の綱要作成に関する重要課題についての研究報告も審議されました。2025年が現在の5カ年計画の最終盤にあるなか、次の5年の方向性づくりが本格化していることを示しています。
立法プロセスの裏側:委員長会議の役割
同じ日に、趙楽際委員長は委員長会議も主宰しました。この場では、提出された議案の審議状況などに関する報告が上級の立法担当者に対して行われました。
委員長会議は、常務委員会会議の議題設定や議事運営を調整する役割を担っており、法律や重要政策の審議プロセスを効率的かつ組織的に進めるうえで重要な位置づけにあります。
今回の会議から見える中国の優先課題
今回の全人代常務委員会で審議されたテーマを並べると、いくつかの優先課題が浮かび上がります。
- 経済成長の安定と、雇用・対外貿易の下支え
- 政府債務管理の強化と財政の持続可能性
- 労働者保護と産業競争力の両立
- 文化・観光分野の融合による新たな成長源の開拓
- カーボン市場を軸とした気候変動対策の高度化
- 水資源の効率的利用と環境保全
- 第15次5カ年計画に向けた中長期戦略の設計
これらはすべて、中国が中長期的な発展を目指すうえで避けて通れないテーマです。日本を含む周辺地域や世界経済への影響という視点からも、全人代常務委員会の議論や報告内容は、今後の動きを読み解くうえで重要な手がかりとなりそうです。
Reference(s):
Chinese lawmakers hear reports at NPC standing committee session
cgtn.com








