中国、2021年以降に36本の新法制定 法治強化と経済・環境を後押し
中国で2021年以降、全国人民代表大会(全人代)とその常務委員会によって36本の新しい法律が制定され、経済や社会、環境を支えるための法整備が加速しています。第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中に進む「法治国家づくり」の実像を、数字とキーワードから整理します。
2021年以降36本の新法と大規模な法改正
中国の最高立法機関とされる全人代とその常務委員会は、2021年以降の数年間で集中的に立法作業を進めてきました。全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会の沈春耀(シェン・チュンヤオ)主任は、記者会見で次のような数字を示しました。
- 新たに制定された法律:36本
- 既存の法律の改正:63件
- 法律問題や重大事項に関する決定:35件
- 法律解釈の公布:1件
これにより、現在施行中の法律は306本に達し、行政・監督関連の条例は600本超、地方レベルの条例は1万4,000本を超えているとされています。制度としての「法の網」を全国レベルから地方まで広く張り巡らせている様子がうかがえます。
質の高い経済発展と暮らし・環境を支える立法
沈氏によれば、こうした立法作業は、第14次五カ年計画期間において次のような目的を念頭に進められてきました。
- 質の高い経済発展を後押しすること
- さまざまな分野の取り組みを支える、内外の良好な環境を整えること
- 人々の暮らし(民生)を改善するための法制度を強化すること
- 環境保護のための法的な裏付けを一層固めること
これらの方向性に沿って、中国では次のような注目度の高い法律が相次いで制定されたと紹介されています。
- 民間経済振興法
- 対外国制裁法
- 個人情報保護法
- 黄河保護法
名称からも分かるように、民間経済の活力や対外関係、デジタル社会における個人データの扱い、大河流域の環境保全など、多様なテーマをカバーしている点が特徴です。法制度を通じて経済と社会、環境を一体的に支えていこうとする姿勢がにじみます。
裁判所が支える「平安な中国」とイノベーション
立法だけでなく、司法の現場でも法治強化の動きが続いています。最高人民法院の何小容(ホー・シャオロン)副院長は、第14次五カ年計画期間中の裁判所の実績について次のように述べました。
- 一審の刑事事件で、530万件超を終局的に審理
- 組織犯罪、電気通信・オンライン詐欺、ネットいじめなどの違法行為に対し、強い姿勢で臨んだと説明
こうした事件処理は、「平安な中国づくり」と法治の前進を支える強固な司法の後ろ盾になっているとされています。
さらに、イノベーションと創造性をめぐる分野でも司法の役割が強まっています。
- 同じ期間中に処理された知的財産権関連の事件:234万件
知的財産権の保護は、研究開発やコンテンツ産業などの成長と密接に関わります。裁判所が多数の知財事件を扱うことは、創造活動を後押しする法的な環境づくりにつながるという位置づけです。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回示された数字やキーワードは、中国の「法治」の進め方を読み解くうえでいくつかの示唆を与えます。
- 第14次五カ年計画期間中に、立法・司法の両面で集中的な制度整備が進められていること
- 民間経済、個人情報、環境保護、知的財産権など、日本企業や研究機関にとっても関心の高い分野が法整備の対象になっていること
- 膨大な件数の刑事事件・知財事件の処理を通じて、治安とビジネス環境の双方を安定させようとしていること
中国の法制度の動きは、ビジネスだけでなく、デジタル社会のルールや環境政策、イノベーションのあり方を考えるうえでも重要な材料になります。2025年も終盤に差しかかる今、第14次五カ年計画期の法整備がどのような形で次のステージに引き継がれていくのか、引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








