12年の挑戦 映画の特殊効果を仕事にしたWang Keの物語 video poster
大ヒット映画が人生の進路を変えることがあります。子どものころに観たJurassic Parkへの圧倒的な驚きから、国際貿易の仕事を離れ、12年かけて映画の特殊効果の世界にたどり着いた人物がいます。特殊効果プロップ(撮影用の小道具)づくりを追い続けてきたWang Keの歩みは、ものづくりとデジタル技術が交差する現代の映画制作を映し出しています。
一本のブロックバスターが導いた12年の道のり
きっかけは、子どものころに出会ったJurassic Parkでした。巨大な恐竜がスクリーンから飛び出してくるような迫力とリアリティ。その驚きこそが、Wang Keに「自分もこんな世界をつくりたい」という長い挑戦の出発点を与えました。
そこから約12年かけて、彼は特殊効果プロップをつくる仕事を自分のキャリアとして形にしていきます。時間をかけて一歩ずつ積み上げていく姿は、華やかな映画の世界の裏にある地道な努力を想像させます。
国際貿易から特殊メイクへ 異業種からの転身
キャリアのスタート地点は、映画とは直接関係のない国際貿易でした。海外との取引を扱うビジネスの現場から、特殊効果メイクの世界へと舵を切るのは、簡単な決断ではありません。
それでもWang Keは、特殊メイクの技術を一から学び、映画や映像制作の現場に近づいていきます。肌の質感や傷跡を再現する特殊メイクは、観客の没入感を支える「見えない仕事」です。ビジネスの経験を持ちながらも、職人としてのスキルを積み直す選択は、専門性の高い現場に飛び込む勇気と、作品づくりへの強い意欲を物語っています。
機械とデジタルを組み合わせて、表現の幅を広げる
特殊メイクを入口として、Wang Keの関心はさらに広がっていきます。機械仕掛けやデジタル技術といった領域にも踏み込み、アナログとデジタルが融合した特殊効果づくりに挑戦し続けてきました。
機械による物理的な動きと、コンピューターによる画像処理を組み合わせることで、従来の方法では難しかった表現が可能になります。彼はそうした新しい技術の組み合わせに挑みながら、自らの表現の境界を押し広げてきました。
映画「Dongji Rescue」で実現した「不可能な嵐」
こうした挑戦は、映画Dongji Rescueで大きな成果を上げます。この作品でWang Keは、嵐の海を舞台にしたシーンの制作に深く関わりました。
彼が率いたチームは、船と波の相互作用を再現するために、専用のコンピューターグラフィックス用ソフトウェアを一から開発します。さらに、波しぶきや雨を精密に制御できるウォータースプレー(散水)システムも設計し、物理的な水の動きとデジタル映像を緊密に組み合わせました。
その結果、本来であれば撮影することがほぼ不可能だったような激しい嵐の場面が、スクリーンの上で驚くほどリアルに立ち上がります。監督の頭の中にあったイメージが、技術と工夫によって具体的な映像へと翻訳された瞬間です。
ブロックバスターが教えてくれる、キャリアのヒント
Jurassic Parkに魅せられた一人の子どもが、12年かけて映画の特殊効果のプロとして活躍するようになったWang Keの歩みは、エンターテインメントとキャリアが交差する現代ならではの物語ともいえます。
もともとの専門は国際貿易、それを一度手放して特殊メイクの技術を身につけ、さらに機械やデジタル技術に領域を広げる。そうした段階的なスキルの積み上げが、Dongji Rescueでの高度な嵐のシーンづくりにつながりました。
日々、映画や動画コンテンツに触れている私たちにとっても、このストーリーは示唆に富んでいます。
- 子どものころの「好き」が、長い時間をかけて仕事になることがある
- 一度選んだ職業から別の専門へと移るキャリアチェンジは可能である
- アナログな職人技とデジタル技術を組み合わせることで、新しい表現が生まれる
映画の世界の裏側で生まれているこうした挑戦は、2025年の今も続いています。派手なVFX(視覚効果)の一歩手前には、特殊メイクやプロップ、機械仕掛け、そしてソフトウェア開発といった地道な創造の積み重ねがあります。
スクリーンに映る一瞬の驚きの影には、少なくとも12年にわたる歩みと、境界を押し広げ続ける技術者たちの姿がある。そのことを知ると、次に映画館で嵐のシーンを目にしたとき、見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
Blockbusters inspire 12-year journey to special effects career
cgtn.com








