中国代表、国連でシリア化学兵器とテロ対策の一体的対応を訴え
シリアの化学兵器問題をめぐる国際議論が続くなか、中国の国連次席大使が国連安全保障理事会で、テロ対策の観点を十分に踏まえた対応の重要性を強調しました。化学兵器の廃棄、テロ組織への警戒、シリアの主権尊重がどのように結びついて語られたのかを整理します。
国連安保理で中国代表が示した主なメッセージ
中国の耿爽(ゲン・シュアン)国連次席大使は、現地時間の金曜日に開かれた国連安全保障理事会の会合で、シリアの化学兵器問題に関して次のような点を強調しました。
- シリアの化学兵器問題は、テロ対策の観点を含めて議論すべきであること
- 危険な化学物質や化学兵器がテロ組織の手に渡ることを防ぐ必要性
- シリアの主権と領土一体性を尊重しつつ、対話と協力による解決を進めるべきだという立場
テロ組織への警戒と化学兵器の管理
耿次席大使は、シリアで相次いでいる大規模な暴力事件に言及し、シリア国内に根を張るテロ勢力が深刻な脅威となっていると指摘しました。そのうえで、国連安全保障理事会によりテロ組織として指定されている東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)を含む、すべてのテロ組織・個人に対抗するための措置をシリアの暫定当局に求めました。
また、化学兵器の廃棄については、「検証可能な形」で進める必要があると述べ、危険な化学物質や化学兵器がテロ勢力の手に渡らないよう、国際社会が一層の警戒を続けるべきだとの考えを示しました。
イスラエルのシリア攻撃に対する懸念
耿次席大使はさらに、イスラエルによるシリアへの攻撃について、「国際法に深刻に反するものであり、シリアの主権、安全、領土一体性を侵害している」と述べました。こうした軍事行動は、シリアの化学兵器問題の解決を複雑にする要因になっていると指摘し、イスラエルに対してシリアへの軍事行動を停止し、シリア領からの即時撤退を呼びかけました。
OPCWとの協力とシリアの国際的義務
シリアの化学兵器問題では、化学兵器禁止条約を担う国際機関である化学兵器禁止機関(OPCW)が重要な役割を果たしています。耿次席大使は、OPCWとシリア暫定当局との間で対話や協力が続き、一定の前向きな進展がみられると評価しました。
そのうえで、こうした協力の勢いを維持し、残された課題を包括的かつ徹底的に解決することへの期待を表明しました。シリアは化学兵器禁止条約の締約国であることから、その義務を全面的に履行する責任があるとも改めて指摘しました。
化学兵器問題と政治的解決プロセスの関係
耿次席大使は、シリアの化学兵器問題は、シリア情勢全体の政治的解決と密接に結びついていると強調しました。シリア暫定当局に対して、国内のあらゆる関係者と幅広い対話と協議を行い、包摂的な(インクルーシブな)政治移行を進めるよう求めています。
その目的として、すべてのシリアの人々の権利が確実に守られることを挙げ、政治プロセスの前進が化学兵器問題の安定した解決にもつながるという見方を示しました。
中国が示した「対話と協力」重視の姿勢
発言の締めくくりで、耿次席大使は、中国が国際社会の一員として、関係するすべての当事者と協力し、シリアにおける平和と安定の回復に貢献する用意があると表明しました。
今回の安保理でのメッセージからは、次のような中国のスタンスがうかがえます。
- テロ対策と大量破壊兵器の管理を切り離さず、一体として捉える姿勢
- 主権と領土一体性の尊重を重視しつつ、国際法に基づく解決を求める立場
- OPCWなど多国間の枠組みを通じた対話と協力の継続を重視する姿勢
シリア情勢や中東の安全保障をめぐる議論が続くなか、国連の場で示されたこうしたメッセージは、国際社会の今後の対応を考えるうえで、一つの重要な視点を提供していると言えそうです。
Reference(s):
Chinese envoy stresses counter-terrorism in Syria chemical weapons
cgtn.com








