100以上の中国都市を歩いたイタリア人研究者が語る多様性と変化 video poster
国際ニュースや中国ニュースに関心のある読者に向けて、100以上の中国の都市を歩いたイタリア人シノロジストのまなざしから、「今の中国の都市」と「中国研究(シノロジー)」の意味を読み解きます。
イタリア人シノロジストが見た中国の都市
今回取り上げるのは、Beijing Language and Culture UniversityのBelt and Road Academyでポスドク研究員を務める若いイタリア人学者、ダリオ・ファムラーロ氏です。彼はこれまでに、中国本土の大都市から静かな小さな町まで、100以上の都市を訪ね歩いてきました。
その旅のなかで、ファムラーロ氏は中国の文化的な多様性と、社会の大きな変化の「鼓動」を肌で感じてきたといいます。超高層ビルが林立する都市から、ゆったりとした時間が流れる地方都市まで、同じ国の中に並存する異なるリズムが印象的だったようです。
100以上の都市をめぐって見えた多様性
100を超える都市を連続して訪れる経験は、多くの外国人研究者にとっても貴重です。ファムラーロ氏の視点からは、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 都市ごとに異なる歴史や文化が、街並みや人々の暮らしに濃く刻まれていること
- 急速な近代化のなかでも、地域ごとの伝統や雰囲気が失われずに残っていること
- 移動を通じて、「中国」という枠でひとまとめにできない細やかな違いが見えてくること
こうした観察は、中国の都市をニュースや統計だけで見るのとは違う立体感を与えてくれます。
故郷の温かさを思い出させる街
ファムラーロ氏は旅の中で、自身のイタリアの故郷を思い起こさせる温かさを持った中国の街にも出会ったといいます。異なる国、異なる文化でありながら、どこか懐かしさを感じる場所を見つける――その経験は、私たちが抱きがちな「遠い国としての中国」というイメージをやわらげてくれます。
似ているからこそ分かり合える部分と、違うからこそ学び合える部分。その両方を同時に感じ取れるのが、現地を歩くことの強みだといえるでしょう。
なぜ今、中国を学ぶのか
インタビューの中で、ファムラーロ氏は「なぜ今、中国を学ぶことが大切なのか」という問いにも向き合っています。彼はシノロジストとして、中国研究を通じて世界を理解し直すことの重要性を語ります。
中国を学ぶことは、単に一つの国の情報を集めることではありません。政治、経済、文化、日常生活にいたるまで、多層的に交わる現代世界の構図を読み解く試みでもあります。そこには次のような意味が含まれます。
- 国際ニュースの背景にある歴史や思想を理解する
- 経済やビジネスの動きを、現地社会の文脈の中でとらえる
- 中国と他の地域の人々との間に、対話の「共通言語」を育てる
こうした視点は、日本を含むアジアの読者にとっても、自分たちの立ち位置を考え直す手がかりになります。
『Talk to Sinologists』が描く東西の対話
ファムラーロ氏の話を伝えるのは、中国の国際メディアCGTNが制作するインタビューシリーズ『East Encounters West: Talk to Sinologists』です。このシリーズは、東西の理解の橋渡しを担う研究者たちに光を当てています。
シリーズのねらい
番組では、シノロジー(中国研究)に取り組む各国の学者たちが、どのようにして中国と世界をつなごうとしているのかが語られます。特に、伝統的な中国の哲学や思想が、現在のグローバルな課題に対してどのような示唆を与えうるのかに焦点が当てられています。
調和のとれた共存をめざす価値観を、現代的な課題と結びつけて考えることで、単なる文化紹介にとどまらない対話が生まれている点が特徴です。
都市から始まる文明間の「橋」
今回のエピソードで紹介されるファムラーロ氏の旅は、中国文明と西洋文明の対話を、抽象的な議論ではなく「都市」という具体的な舞台から考える試みでもあります。
- 都市を歩き、人々と出会い、変化のスピードを体感すること
- その経験を言葉にし、中国と西洋、そして他の地域とのあいだに対話の回路をつくること
このプロセスこそが、シノロジーを「本の中の学問」から、「人と人、人と都市をつなぐ実践」へと広げていく力になっているといえるかもしれません。
私たちへの問いかけ
100以上の中国の都市を歩いた一人のイタリア人研究者のまなざしは、遠く離れた日本にいる私たちにも問いを投げかけます。自分は中国をどのようなイメージで見ているのか。ニュースの見出しだけで世界を理解した気になっていないか。
都市をめぐる物語と、中国研究という視点を通じて、中国と世界、そして日本との関係をあらためて考えてみることが、これからの時代を読み解く小さな一歩になるのかもしれません。
Reference(s):
Talk to Sinologists: An Italian's impression of Chinese cities
cgtn.com








