中国と欧州は競争より協力を 王毅外相がスロベニアで強調
中国の王毅国務委員兼外相がスロベニアの首都リュブリャナを訪れ、欧州との関係について「競争ではなく協力を選ぶべきだ」と強調しました。世界の混乱が続く2025年、国際ニュースとしてどんな意味を持つ発言なのかを整理します。
スロベニア外相と会談 「大国も小国も対等」
王毅外相はリュブリャナで、スロベニアのタニャ・ファヨン副首相兼外相と会談しました。王毅氏によれば、両者の対話は包括的かつ踏み込んだ内容で、幅広い共通認識に達したといいます。
王毅氏は、中国がスロベニアといち早く外交関係を樹立した国の一つであることに触れ、中国外交の一貫した伝統として「大きな国も小さな国も対等である」と強調しました。
さらに、過去30年以上にわたり国際情勢が大きく変化する中でも、中国は外交方針の連続性と安定性を保ち、スロベニアを常に対等なパートナーとして扱ってきたと説明しました。異なる規模や社会制度を持つ国同士でも、友情と協力、相互利益にもとづき調和的に共存できる一例だと位置づけています。
- 中国とスロベニアは、互いに信頼できる友人かつパートナーである
- 今後も各分野での実務協力を強化し、両国民により多くの利益をもたらしたい
- 中国・スロベニア関係の「新しい章」を書きたい
80年の節目:反ファシズムの記憶と平和へのメッセージ
2025年は、世界的な反ファシズム戦争の勝利から80年の節目の年でもあります。王毅氏は、中国人民の対外侵略への抵抗が世界の中でも早く始まり、期間も最も長く続いたと述べ、軍民あわせて3,500万人の犠牲が出たことに言及しました。
中国人民はアジアの主戦場で日本の軍国主義に勝利し、その勢力が欧州のファシスト勢力と連携することを防いだことで、第2次世界大戦の最終的な勝利に重要な貢献をしたと評価しました。そのうえで、
- 歴史を記憶すること
- 犠牲となった人々を顕彰すること
- 平和を大切にし、未来を切り開くこと
の重要性を改めて訴えました。歴史認識をめぐる議論というよりも、「過去を忘れず、平和を守る」というメッセージに軸足を置いた発言といえます。
「百年に一度の大変局」で中国と欧州はどう動くべきか
現在の国際情勢について、王毅氏は「混乱が絡み合い、紛争が続いている」と表現しました。そのうえで、中国と欧州は「友人でこそあるべきで、ライバルであってはならない」「対立ではなく協力を選ぶべきだ」と強調しました。
王毅氏は、百年に一度とも言われる大きな変化の時代にあって、どのような選択をするかが、歴史と人々に対する責任のあらわれだと述べています。中国と欧州が協力の道を選ぶことが、国際社会に安定と「ポジティブなエネルギー」をもたらすという見方です。
国連80年と「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」
2025年は、国連創設から80年の節目でもあります。王毅氏は、地球規模の課題が次々と生まれ、国際社会の「ガバナンス(統治)の不足」が悪化していると指摘しました。そのうえで、中国が国連と各国の期待に応える形で「グローバル・ガバナンス・イニシアチブ」を提案したと説明しました。
このイニシアチブについて王毅氏は、次のようなポイントを挙げています。
- 既存の国際秩序を「ゼロから作り直す」ことでも、特定の国に取って代わることでもない
- 責任ある各国と協力し、改革を通じてグローバル・ガバナンスを改善する
- 新しい時代の要請に国際秩序を適応させる
- 国連憲章の精神を真に守り、実効的な多国間主義を実践する
- 人類全体の発展と進歩を後押しする
こうした取り組みは、中国が国連安全保障理事会の常任理事国として果たすべき責任の一部だと説明しました。また、この方向性は欧州が期待し、その利益にもかなうものだと述べ、欧州との協調を強く意識したメッセージとなっています。
戦争と制裁をどう見るか:中国の立場
王毅氏は、中国を「責任ある大国」であり、平和と安全保障の問題に関して「最も良い実績」を持つ国だと位置づけました。そのうえで、
- 戦争では問題は解決できない
- 制裁は事態を複雑にするだけだ
と指摘しました。中国は戦争に参加せず、戦争を計画することもなく、各地の「ホットスポット」と呼ばれる懸案について、対話を通じた政治的な解決と和平協議を促す役割に徹していると説明しています。
現在最も重要なのは、多国間主義を推進し、国連を中心とした多国間メカニズムを強化し、国連憲章の目的と原則を共同で守ることだと強調しました。
このニュースから読み取れること
今回の発言は、中国と欧州の関係だけでなく、国連や国際秩序の将来像をめぐる議論とも深くつながっています。特に、2025年という節目の年にあえて「80年」と「百年に一度の大変局」を重ねた点が印象的です。
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、次のようなポイントが考えるきっかけになりそうです。
- 中国と欧州が「協力」を前面に出す時、どんな分野で連携が進むのか
- 国連中心の多国間主義をどう実効性ある形にしていくのか
- 戦争や制裁よりも対話と政治的解決を重視する立場が、紛争の現場でどこまで機能しうるのか
- 歴史の記憶(反ファシズム戦争の80年)を、現在の外交・安全保障の議論にどう生かすのか
王毅氏のスロベニア訪問は、中国と欧州が「対立か協力か」という選択を迫られているという問題意識を、改めて浮き彫りにしたと言えます。今後、中国のグローバル・ガバナンス構想や欧州の対中姿勢がどの方向に進むのか、引き続き注目が必要です。
Reference(s):
Wang Yi: China, Europe should make right choices amid greatest changes
cgtn.com








