南スーダン・ベントゥの「平和の木」とブルーヘルメットの物語 video poster
南スーダン北部の都市ベントゥで、国連任務にあたっていたスン・シュアイタオさんが、パキスタン工兵部隊の駐屯地に植えた一本の木。その小さな行為が、「遠く離れた場所で平和を願う」という国際ニュースの核心を静かに語りかけています。
南スーダン・ベントゥで植えられた一本の木
スン・シュアイタオさんは、南スーダン・ベントゥでの国連任務中、パキスタン工兵部隊のコンパウンド(駐屯地)に一本の木を植えました。厳しい環境の中で行われたその植樹は、任務地に残してきた「平和への願い」を形にしたものでもあります。
国連の平和維持任務の現場では、日々の業務や緊張の合間に、小さな儀式や習慣が生まれます。一本の木を植えるという行為も、そのひとつです。木は、そこを訪れる人びとに時間の流れと継続する希望を思い出させます。
故郷から思いを寄せる「平和のシンボル」
任務を終え、今は故郷に戻ったスン・シュアイタオさんは、その木のことをしばしば思い浮かべています。自分の目が届かない遠い地で、風雨にさらされながら成長しているかもしれない一本の木。それは、現地に残してきた仲間や人びと、そして平和そのものに対する静かな祈りでもあります。
木が順調に育っているかどうかは分かりません。それでも、植えた人の記憶の中で、そしてそれを知る人の想像の中で、木は「平和のシンボル」として生き続けます。目に見える成果だけでなく、心に残る経験こそが、国際協力の現場で働いた人びとを支え続けるのかもしれません。
ブルーヘルメットがつなぐ国境なき協力
国連の平和維持要員は、その青いヘルメットから「ブルーヘルメット」とも呼ばれます。南スーダン・ベントゥのコンパウンドでも、異なる国籍や背景を持つ人びとが肩を並べて任務にあたっていました。スン・シュアイタオさんが木を植えた場所が、パキスタン工兵部隊の拠点であったことは、その象徴的な一場面と言えるでしょう。
国境や言語の違いを超えて協力する現場では、「誰がどの国から来たのか」という違いよりも、「同じ任務に向き合う仲間である」という感覚が前面に出てきます。一緒に汗を流した土地に残された一本の木には、そうした連帯感も刻み込まれています。
ドキュメンタリー「Blue Helmets, No Borders」が伝えようとするもの
この南スーダンでの植樹のエピソードは、CGTNが制作したドキュメンタリー「Blue Helmets, No Borders」とともに紹介されています。同作品は、今年9月16日に初回放送され、国連の平和維持活動に関わる人びとの姿を、現場の視点から伝えようとしています。
ニュースの見出しや数字だけでは伝わりにくい、個々の物語や感情に焦点を当てることで、ブルーヘルメットの任務がより立体的に見えてきます。一本の木に込められた思いは、その象徴的な入口のひとつです。
一本の木から考える、私たちにできること
遠い南スーダンの話は、一見すると日本の日常からは離れた出来事に思えるかもしれません。それでも、一本の木を通じて平和を願うスン・シュアイタオさんの思いは、私たちがニュースをどう受け止め、世界とどうつながるかを問いかけています。
例えば、次のような向き合い方が考えられます。
- 紛争や平和維持に関するニュースを、数字や地名だけでなく、そこにいる人びとの物語として想像してみる
- 国際協力や人道支援の話題を、家族や友人、オンラインコミュニティで共有し、意見を交わしてみる
- 自分の仕事や生活の中で、「誰かの安心や安全につながる行動」は何かを考えてみる
スン・シュアイタオさんがベントゥに残してきた木は、今も静かに成長を続けているかもしれません。たとえその姿を見ることができなくても、「どこかで誰かが平和を願っている」という事実を思い起こさせてくれるだけで、国際ニュースとの距離は少し近づきます。一本の木をめぐる小さな物語は、国境をこえて私たちの心にも根を下ろしつつあります。
Reference(s):
cgtn.com








