中国最大の洋上LNG施設「NGUYA FLNG」完成 南通で曳航新記録
中国が独自に開発した洋上の浮体式液化天然ガス(LNG)施設「NGUYA FLNG」が、江蘇省南通市で引き渡されました。中国最大級の規模と能力を持つこの設備は、アフリカのコンゴ共和国沖で稼働する予定で、南通では曳航(えいこう)作業でも新記録が生まれました。
中国最大級の洋上LNG施設「NGUYA FLNG」
今回引き渡された「NGUYA FLNG」は、中国が独自に設計・建造した浮体式のLNG生産施設です。全長は376メートル、幅60メートル、深さ35メートルと、巨大な船体が特徴です。
ガスの貯蔵能力も国内最大級で、液化天然ガス(LNG)を18万立方メートル、液化石油ガス(LPG)を4万5,000立方メートルまで貯蔵できます。年間のLNG生産能力は240万トンとされ、中国の洋上エネルギー開発を象徴するプロジェクトとなっています。
LNGは天然ガスをマイナス160度前後まで冷却して液体にした燃料で、体積を大きく減らせるため、船で大量輸送しやすいのが特徴です。洋上でガスを液化できる浮体式設備(FLNG)があれば、陸上に大規模なプラントを建設しにくい海域でも資源開発が可能になります。
江蘇省南通からコンゴ共和国沖へ
NGUYA FLNGは、東部の江蘇省南通市で完成し、日曜日に引き渡されました。今後はアフリカのコンゴ共和国沿岸の海域で稼働する予定です。
中国にとって、こうした高付加価値の海洋エンジニアリング設備を自国で開発・建造し、海外の海域で運用することは、製造業とエネルギー産業の両面で重要な意味を持ちます。エネルギー供給の多様化に加え、国際的な海洋プロジェクトへの参画という点でも注目されます。
難度の高い曳航作業、安全対策で対応
NGUYA FLNGは、独特の設計と巨大な船体を持つため、南通からの曳航作業は難度が高いものになりました。加えて、周辺の海域は航行条件も複雑で、安全管理が重要な課題でした。
南通海事局は、8月26日の出港式の後、曳航に向けて綿密な安全評価を実施しました。潮の干満などの条件を詳しく分析し、最適なタイミングや進路を考慮した曳航計画を策定したとされています。
今回の作業では、巡視船とタグボート(曳船)あわせて14隻からなる船団に加え、8人の海事当局の職員と3機のドローンも投入されました。監視と連携を強化することで、長距離かつ大規模な曳航作業の安全性を高めた形です。
曳航船団全体の長さは740メートルに達し、南通地域の沿岸曳航としては新たな記録となりました。海上インフラの大型化が進むなか、こうした運用ノウハウや安全管理の実績は、今後のプロジェクトにも生かされそうです。
エネルギー転換期に浮かぶ「洋上プラント」の存在感
世界的に脱炭素が進む一方で、天然ガスは「移行期のエネルギー」として位置づけられています。石炭などに比べて二酸化炭素の排出量が少ないことから、短中期的には需要が続くとみられています。
その中で、洋上のFLNGは次のようなポイントで存在感を増しています。
- 陸上インフラが整っていない海域でもガス田の開発・生産が可能になる
- 船として移動できるため、プロジェクト終了後に別の海域に転用しやすい
- 国際的なエネルギー協力の新たな形として活用しやすい
NGUYA FLNGのような大型設備は、中国の海洋工学や造船技術の水準を示すと同時に、アフリカなど海外の資源開発プロジェクトとの連携にもつながります。
読者が押さえておきたい視点
今回のニュースをめぐって、読者が考えておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- エネルギー安全保障:LNGや洋上プラントは、各国・地域のエネルギー調達の多様化にどう影響するのか
- 技術と安全:巨大な海洋プラントの建造・曳航・運用において、安全管理や環境保護をどう両立させるのか
- 国際協力:アフリカ沖での稼働は、資源開発を通じた国際協力や経済連携をどのように変えていくのか
2025年のいま、エネルギー転換と地政学リスクの高まりが同時に進む中で、洋上LNG施設のニュースは、単なる技術トピックにとどまらず、エネルギー、産業、国際関係をつなぐテーマとしても注目されています。
Reference(s):
China delivers largest offshore LNG facility, sets local towing record
cgtn.com







