中国の新型ロケット天龍三号、第1段推進システム試験に成功
中国の新型液体燃料ロケット、天龍三号(Tianlong-3)が、山東省の海陽東方航天港に設置された洋上発射台で第1段推進システム試験を完了しました。国際ニュースとしても注目される商業宇宙分野で、中国の打ち上げ能力を一段と高める一歩となります。
天龍三号とはどんなロケットか
天龍三号は、北京拠点の商業宇宙企業・Space Pioneerが2022年3月から独自に開発している液体燃料ロケットです。英語名は Heavenly Dragon とされ、低軌道への大型ペイロード輸送を想定した設計になっています。
公表されている主な仕様は次の通りです。
- 全長:72メートル
- 離陸時質量:約600トン
- 第1段エンジン:Tianhuo-12エンジン9基を並列搭載
- 低軌道(LEO)への投入能力:17〜22トン
- 太陽同期軌道(SSO)への投入能力:10〜17トン
1回のミッションで最大36基の衛星を打ち上げられる設計で、中国の宇宙ステーション向けの大規模補給や、中軌道・高軌道への衛星打ち上げを担うことが想定されています。
洋上発射台で第1段推進システム試験
今回の試験は、中国東部・山東省にある海陽東方航天港の洋上発射台で実施されました。第1段全体の推進システムを一体として作動させる重要なステップであり、実際の打ち上げ環境に近い条件で確認が行われました。
試験では、次のような複数の重要技術が検証されたとされています。
- 強風に対する防護(風防護)
- 振動への耐性(耐振動)
- 雷からの保護(雷対策)
- エンジン噴炎と高温からの遮蔽
Space Pioneerの創業者である康永来氏によると、エンジンの点火タイミングは正確で、運転は安定しており、シャットダウンも正常に行われました。総合的なシステム訓練で得られた各種パラメーターは、天龍三号の初打ち上げに求められる性能要件を満たしていると評価されています。
大量衛星打ち上げと宇宙ステーション補給の鍵に
天龍三号の特徴は、最大36基という大量の衛星を一度に打ち上げられる点です。これは、地球観測や通信衛星のコンステレーション(多数の衛星を組み合わせたネットワーク)構築を進めるうえで、打ち上げコストの低減につながるとみられます。
また、低軌道に最大22トン、太陽同期軌道に最大17トンという輸送能力は、中国の宇宙ステーションへの大型貨物やモジュールの輸送にも適しています。中軌道や高軌道への投入にも対応できるとされ、今後の宇宙インフラ整備や深宇宙探査ミッションを支える基盤技術となる可能性があります。
広がる商業宇宙と国際ニュースとしての意味
近年、世界各地で民間企業が主導する商業宇宙事業が広がり、打ち上げサービスの競争も激しくなっています。天龍三号のような大型の商業ロケットは、打ち上げの選択肢を増やし、市場全体のコスト構造やビジネスモデルにも影響を与えうる存在です。
特に、洋上発射台からの打ち上げは、打ち上げ方向の自由度を高めつつ、落下物リスクを海上に限定しやすいとされる方式です。中国の商業企業がこうした発射インフラを活用し始めたことは、アジアの宇宙ビジネス地図を考えるうえでも注目ポイントと言えます。
年末に予定される初打ち上げ、その前に見るべきポイント
今回の第1段推進システム試験によって、天龍三号は初飛行に向けた大きなハードルを一つ越えた形です。ロケットは2025年末に初打ち上げが行われる予定とされており、それに向けて残る試験と検証が進むことになります。
今後、国際ニュースとしてチェックしておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
- 第1段以外のシステム試験(上段や分離機構など)の進捗
- 初打ち上げで搭載されるとみられる衛星や貨物の内容
- 打ち上げ後の再現性や信頼性の評価、商業打ち上げサービスへの展開
天龍三号の動向は、中国の宇宙開発だけでなく、アジアの商業宇宙市場や世界の打ち上げビジネスのバランスにも影響を与える可能性があります。スマートフォンで日々ニュースを追う私たちにとっても、宇宙インフラがどのように整備されていくのかを考えるきっかけとなりそうです。
Reference(s):
China's Tianlong-3 rocket completes first-stage propulsion system test
cgtn.com








