新疆ウイグル自治区の無料温泉 中国・温泉県で広がる癒やしとエコ観光 video poster
中国・新疆ウイグル自治区の温泉県で、147の天然温泉を無料で楽しめる公共温泉公園づくりが進んでいます。観光と地域の暮らし、そして環境への配慮を結びつけるこの取り組みは、2025年の今、どんな風景を生み出しているのでしょうか。
新疆ウイグル自治区「温泉県」とは
中国の新疆ウイグル自治区にある温泉県は、その名の通り豊富な温泉資源で知られています。県内には147の天然の湧き出しがあり、年間を通じて湯量が安定していることから、古くから自然のスパのように親しまれてきました。
雪をかぶった山々と湿地が広がる景観の中で、湯けむりが静かに立ち上る様子は、都市のスパ施設とはまったく違う解放感をもたらします。
147の源泉と19の無料温泉プール
温泉県では近年、この自然の恵みをより多くの人と分かち合うため、公共の温泉公園づくりが進んでいます。中国の報道によると、温泉水の温度はおおむね42〜62度と、療養にも適した温度帯とされています。
現在、県内には新たに整備された3つの公共温泉公園があり、あわせて19の温泉プールが無料で開放されています。観光客も地元の人々も、料金を気にせず自然の湯を楽しめます。
- 源泉は42〜62度前後で、長く浸かりやすい穏やかな湯温
- 一年を通して入浴可能で、冬は雪景色と湯けむりのコントラストを楽しめる
- プールは大小さまざまで、家族連れから高齢者まで利用しやすい設計
入浴料がかからないという分かりやすい恩恵は、観光客にとって魅力であると同時に、地元の人々の健康づくりにも役立っています。
湖北省の支援で生まれた「みんなの温泉公園」
こうした整備の背景には、中国中部の湖北省からの支援があります。温泉県と湖北省の協力により、公園の設備や周辺インフラが整えられ、自然の湯をそのまま生かした公共空間として再設計されました。
高級リゾートではなく、誰もがふらりと立ち寄れる公共の温泉公園として整備されている点が特徴です。中心部からアクセスしやすい公園もあれば、雪山や湿地を望むロケーションにあるプールもあり、利用者は好みに応じて場所を選ぶことができます。
中国の英語ニュースチャンネルCGTNも、記者Zang Shijie氏のリポートを通じて、こうした温泉公園の様子と、地域に広がる変化を紹介しています。
地域コミュニティにも広がる「癒やし」
無料の温泉公園は、観光資源であると同時に、地域コミュニティの交流の場としても機能し始めています。
- 仕事帰りに温泉で疲れを癒やす人
- 週末に家族で湯に浸かりながら過ごす人
- 健康維持のために定期的に通う高齢の住民
お金をかけずに心身を温められる場所が身近にあることは、生活の安心感にもつながります。観光客と地元の人が自然に混じり合うことで、外から来た人が地域の暮らしぶりを肌で感じられる点も、この取り組みの大きな特徴です。
エコツーリズムとしての可能性
もう一つのポイントは、自然とどのように共存するかという視点です。温泉県の取り組みは、雪山や湿地という繊細な生態系と向き合いながら、観光のにぎわいを生み出そうとする試みでもあります。
エコツーリズムという言葉はしばしば耳にしますが、その形は地域によってさまざまです。温泉県では、自然の景観を過度に人工的に変えることなく、既存の温泉資源を公共財として活用している点に特徴があります。
- 高額な入場料や豪華な施設に頼らず、シンプルな設備で運営する
- 自然の眺望そのものを価値とみなし、景観の保全を重視する
- 地元住民の暮らしと観光客の体験の両立を意識する
自然を守りながら、観光収入や関連ビジネスを生み出すモデルとして、温泉県の取り組みは今後のエコツーリズムを考える上でも注目されそうです。
日本の読者にとってのヒント
日本にも各地に温泉地がありますが、無料で利用できる公共の温泉がここまで体系的に整備されている例は多くありません。新疆ウイグル自治区の温泉県で進む試みは、温泉をどう共有し、どう地域と結びつけるかという問いをあらためて投げかけています。
将来、この地を訪れるとしたら、単にお得な無料温泉として楽しむだけでなく、次のような視点も持ってみるとよいかもしれません。
- なぜ無料で開放されているのかという背景にある、地域政策や支援の仕組み
- 温泉を介して、地元の人々の暮らしや文化がどのように見えてくるのか
- 雪山や湿地など、周辺環境を守るために観光客ができる配慮
自然の恵みを分かち合う場所としての温泉。そのあり方を考えるうえで、新疆ウイグル自治区の温泉県は、2025年の今、ひとつの興味深いケーススタディになっています。
Reference(s):
cgtn.com








