中国の公共安全を支えるロボット 江蘇省で見えた最新トレンド video poster
中国東部・江蘇省連雲港市で開かれた第2回公共安全技術博覧会(Public Security Technology Expo)では、ヒト型ロボットやロボット犬が公共安全の現場でどのように活用されているのかが紹介されました。ロボットはすでに防犯や災害対応を支える「新しい仲間」になりつつあります。
江蘇省・連雲港で第2回公共安全技術博覧会が開幕
今回の博覧会は、中国の公共安全分野における最新テクノロジーを一堂に集めたイベントです。2025年12月現在、第2回目となるこの博覧会では、「いかに安全を守るか」をテーマに、監視システムや通信技術と並んで、ロボット技術が大きな注目を集めました。
会場では、来場者が実際にロボットの動きを間近で見たり、操作体験をしたりできるブースが設けられ、公共安全に関わる関係者だけでなく、一般の人々もロボットと安全・安心との関係をイメージしやすい構成になっていたと伝えられています。
ヒト型ロボットは「もう一人の担当者」
ヒト型ロボットは、人間に近い外見と動きで、公共空間でのコミュニケーションを担うことが想定されています。博覧会では、こうしたロボットが次のような役割を果たす姿が紹介されました。
- 駅や空港、イベント会場での案内・問い合わせ対応
- 人の流れが多い場所での見守り・巡回
- 遠隔地にいる担当者と市民をつなぐ「遠隔窓口」としての活用
ヒト型ロボットは、カメラや各種センサー、音声認識などを組み合わせることで、人の表情や声のトーン、周囲の混雑状況などを把握し、異常があれば素早く人間の担当者につなぐことができます。24時間連続で稼働でき、危険な場面でも一定の距離を保ちながら状況把握ができる点は、公共安全の現場にとって大きな強みです。
ロボット犬は「危険な場所に先に入る足」として
四つ足で動くロボット犬も、博覧会の目玉の一つでした。犬のように小回りが利き、階段や凹凸のある地形でも移動できることから、次のような場面での活用が想定されています。
- 災害現場での建物内の安全確認や被災状況の把握
- 化学物質やガス漏れが疑われる場所への先行調査
- 人が近づきにくい狭い空間や高所での撮影・監視
ロボット犬にはカメラや各種センサーを搭載でき、取得した映像やデータはリアルタイムで遠隔の指令室に送られます。これにより、人が現場に入る前にリスクを見極め、より安全な対応手順を組み立てることが可能になります。
AIとデータで「予測型」の安全対策へ
ヒト型ロボットやロボット犬が活躍する背景には、AI(人工知能)とデータ分析の進展があります。ロボットは単なる「動く機械」ではなく、次のような形で公共安全の高度化に貢献すると期待されています。
- カメラ映像から不審な動きや危険な行為を自動検知する
- 人の流れを分析し、混雑や事故リスクの高い時間帯・場所を見える化する
- 過去のトラブル事例を学習し、将来起こりやすいリスクを予測する
こうした仕組みは、中国のように大都市や人の集まるエリアが多い社会で、とくに効果を発揮しやすいと考えられます。同時に、ロボットやAIが示す「兆候」をもとに、人間の担当者が最終判断を下すという、人とテクノロジーの協働が前提になっている点も重要です。
アジアの公共安全と日本への示唆
中国で進む公共安全分野のロボット活用は、アジア全体にとっても無関係ではありません。高齢化が進み、人手不足が課題となる日本の地域社会やインフラ管理にとっても、次のような示唆があります。
- 夜間巡回や単純な見回り業務をロボットに任せ、人は判断や対話が必要な場面に集中する
- 地震や豪雨など災害の多い地域で、ロボット犬を初動調査に使うことで、救助活動の安全性を高める
- 多言語対応が可能なヒト型ロボットを観光地や交通拠点に配置し、案内と防犯を兼ねる
一方で、世界各地では、ロボットや監視技術の導入に伴うプライバシー保護や運用ルールづくりをどう進めるかという議論もあります。どの国・地域でも、技術の利便性と個人の権利をどうバランスさせるかが問われています。
ロボットとともにつくる「安心」のかたち
江蘇省連雲港市での第2回公共安全技術博覧会は、ロボットが公共安全の現場で「当たり前の存在」になりつつある未来の一端を映し出しました。ヒト型ロボットもロボット犬も、人に代わるのではなく、人と組み合わせることで、安全対策をよりきめ細かく、持続可能なものにしていくための道具です。
2025年の今、アジア各地で公共安全をめぐる課題は多様化しています。その中で、中国の取り組みは、「テクノロジーをどう使えば、人々が安心して暮らせる社会に近づけるのか」という問いを私たちに投げかけています。日本でも、ロボットと人が協力し合う公共安全のあり方を、落ち着いて考えていくタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








