中国の第14次五カ年計画で加速する科学技術イノベーションの現在地
中国本土の第14次五カ年計画(2021〜2025年)が終盤を迎えるなか、科学技術とイノベーション分野でどのような成果が出ているのかが注目されています。9月18日に北京で開かれた中国国務院新聞弁公室(State Council Information Office)の記者会見では、研究開発投資や人材の面で、第14次五カ年計画期間中の到達点が示されました。
中国の科学技術相Yin Hejun氏によると、中国本土の研究開発投資は2024年に総額3.6兆元(約5070億ドル)を超え、2020年比で48%増となりました。研究開発費の対国内総生産(GDP)比を示すR&D強度は2.68%に達し、欧州連合(EU)の平均を上回ったとされています。また、研究開発に従事する人材の数でも、中国本土が世界をリードしていると説明しました。
第14次五カ年計画で浮かび上がるイノベーション戦略
第14次五カ年計画は2021〜2025年を対象とする中期計画で、その中核に科学技術とイノベーションの強化が据えられています。2025年末が視野に入る今、2024年までのデータからは、研究開発への集中的な投資を通じて、技術力を一段と高めようとする姿勢が読み取れます。
9月18日の会見で示された主な数字
記者会見では、第14次五カ年計画期間中の成果として、とくに次の点が強調されました。
- 2024年の研究開発投資総額が3.6兆元を突破
- 研究開発投資額は2020年比で48%増加
- 研究開発費の対GDP比であるR&D強度が2.68%に達し、EU平均を上回る水準に
- 研究開発人材数で中国本土が世界をリードしていると評価されていること
R&D強度2.68%が意味するもの
R&D強度とは、国内総生産に対してどれだけの割合を研究開発に充てているかを示す指標です。経済規模が大きい国ほど、同じパーセンテージでも絶対額は大きくなります。中国本土の場合、R&D強度が2.68%という水準に達したことは、単に金額が増えたというだけでなく、経済構造の中で研究開発がより重視されていることを意味します。
EU平均を上回るR&D強度を確保しているという説明は、研究開発を成長戦略の中心に据える姿勢をアピールするものでもあります。第14次五カ年計画の終盤でこの数字が示されたことで、計画期間を通じたイノベーション重視の流れが確認された形です。
人材面での「世界トップ」は何をもたらすか
Yin Hejun氏は、中国本土が研究開発人材の人数で世界をリードしていると述べました。多くの研究者や技術者が集まり、長期的な研究開発に取り組める体制があることは、新しい技術やビジネスモデルを生み出す土台になります。
研究開発は、資金だけでなく、人材の層の厚さや多様性にも左右されます。人材数で世界首位にあるという自己評価は、今後、基礎研究から応用研究まで幅広い分野で成果を積み上げていくという意思表明とも受け取ることができます。
世界のテック競争と日本への視点
研究開発投資が短期間で大きく増えた中国本土の動きは、世界のテック競争やサプライチェーンの構図にも影響を与えうるテーマです。技術標準の形成や、新しい産業分野でのプレゼンスの高まりなど、各国が注視する理由があります。
日本の読者にとっても、このニュースは他人事ではありません。どの国も財政や人口などの制約の中で、どこまで研究開発に資源を振り向けるのかという難しい選択を迫られています。そのなかで、中国本土が第14次五カ年計画期間中に示した数字は、
- 研究開発にどの程度の比重を置くのか
- 人材をどう集め、育て、活躍の場を用意するのか
- 国家レベルの戦略と企業・大学・研究機関の取り組みをどうつなぐのか
といった問いを、あらためて考える材料になります。国や地域ごとに事情は異なりますが、イノベーションをどのように位置づけるのかという議論は、今後さらに重要性を増していきそうです。
Reference(s):
Highlights of tech innovation in China's 14th Five-Year Plan
cgtn.com








