中国が全球気候データセットを初公開 ASEANとAI気象協力を強化
中国気象局(CMA)は、中国・ASEAN気象協力フォーラムで全球気候データセットを初めて国際的に共有すると発表し、あわせてASEAN諸国とのAI気象モデル協力を打ち出しました。アジアの防災と気候研究を底上げする動きとして注目されています。
南寧で開催された中国・ASEAN気象協力フォーラム
中国南部の広西チワン族自治区南寧市で開かれた第4回中国・ASEAN気象協力フォーラムでは、「デジタルインテリジェンスが気象協力を支える」をテーマに、中国、ASEAN加盟国、世界気象機関(WMO)の担当者が集まりました。
この場で中国気象局は、「CMA全球気候データセット」を公開しました。中国気象局によれば、これは高い付加価値を持つ気候データ製品を中国が国際社会に本格的に共有する初の取り組みです。
CMA全球気候データセットの中身
今回公開された全球気候データセットは、次の6カテゴリーで構成されています。
- 地上観測の全球データ
- 上空(高層)の観測データ
- 格子状に再構成された気候データ(グリッド再解析)
- 中国気象局が作成した全球大気再解析データ
- 風雲シリーズ気象衛星による陸面・放射データ
- 海洋データ
中国気象局は、これらのデータが国際基準に適合しており、次のような幅広い用途を想定していると説明しています。
- 豪雨や台風などの早期警戒システムの高度化
- 災害リスクの評価と被害軽減策の検討
- AI(人工知能)を活用した気象モデルやサービスの開発
- 気候変動や大気・海洋の長期的な研究
全球気候データセットは、英語版の中国気象データネットワークや世界気象センター(北京)のウェブサイトなど、国際的なチャンネルを通じてアクセス可能になっています。これにより、アジアを含む各国の研究者や気象機関が同じ基盤データを共有しやすくなります。
ASEANとAI気象モデルを共同開発
フォーラムでは、「中国・ASEAN AI気象モデル応用共同イノベーション行動」も同時に立ち上げられました。これは、最先端のAI気象予測モデルを中国とASEANが共同で開発し、台風など激甚な気象現象の予測精度を高めることを狙う取り組みです。
行動計画は、次の4つの重点分野に焦点を当てています。
- 共同イノベーション:アルゴリズムやモデル開発を共同で進め、各国の強みを持ち寄る
- データ統合:観測データ、衛星データ、海洋データ、再解析データなどを組み合わせてAIモデルの精度を向上させる
- 人材育成:気象学とAIの両方に精通した専門人材を中国とASEANで育てる
- 共同プラットフォーム構築:「中国・ASEAN気象ホーム」と呼ばれる協力プラットフォームを整備し、ツール共有や共同実験、情報交換を進める
フォーラムの参加者は、AIが気象分野にもたらす変化の大きさを強調し、この協力枠組みを通じて地域全体の予報力を底上げしていく重要性を確認しました。
国連のEarly Warnings for Allとのつながり
今回の国際ニュースの背景には、国連が推進するEarly Warnings for All(すべての人に早期警報)イニシアチブがあります。これは、世界中の人々が危険な気象や気候災害について事前に警報を受け取れるよう、各国の予報・警報体制を強化することを目指す取り組みです。
フォーラムの登壇者たちは、AIと高品質な気候データが、この目標を達成するための重要な基盤になると指摘しました。中国とASEANがデータと技術を共有しながら協力を深めることで、地域全体で早期警戒システムを強化しようとする動きだと言えます。
アジアの防災と気候外交にとっての意味
台風や豪雨などの自然災害に繰り返し見舞われるアジアにとって、質の高い気候データとAIを活用した予測精度の向上は、生死を分けるインフラと言っても過言ではありません。
今回の中国とASEANの連携は、次のような点で意味を持ちます。
- 域内で共通のデータ基盤を持つことで、国境を越えた災害対応や情報共有がしやすくなる
- AIモデルやデータを共同開発することで、アジア独自の気候・地形に適した予報技術が育ちやすくなる
- 国際機関や他地域との協力を進める際にも、アジアとしての発信力を高めやすくなる
日本の読者が押さえておきたい3つの視点
日本からこのニュースを見るとき、次の3つのポイントを押さえておくと理解が深まります。
- 国際ニュースの視点:中国とASEANが気候データとAIで協力を強めることは、アジアの防災や気候外交の新しい軸になる可能性があります。
- テック・ビジネスの視点:高精度のAI気象モデルは、保険、農業、物流、エネルギーなど、天候リスクに左右されるビジネス全般に影響を与え得ます。
- 研究・教育の視点:公開された全球気候データセットは、大学・研究機関やスタートアップが新しい気候・気象サービスを生み出すための基盤データとして活用できる可能性があります。
気候危機が現実の課題となるなかで、デジタル技術と国際協力を組み合わせたこうした動きが、どこまで被害を減らし、人々の生活を守ることにつながるのか。今後の具体的な成果と、他地域・日本との連携の広がりが注目されます。
Reference(s):
China unveils Global Climate Dataset, boosts AI cooperation with ASEAN
cgtn.com







