TikTok巡る米中協議、中国商務省「原則犠牲の合意はしない」
米中の経済・貿易交渉の焦点となっているTikTok問題について、中国商務省は定例記者会見で「原則や企業の利益、国際的な公正さを犠牲にしてまで合意することはない」と強調しました。TikTokを巡る中国側の最新のメッセージと、その背景にある米中関係の動きを整理します。
今回の発言のポイント
中国商務省のHe Yadong報道官は、木曜日の定例記者会見でTikTokを巡る中国側の立場を改めて説明しました。発言の要点は次のとおりです。
- TikTok問題での中国の立場は一貫しており、技術や経済・貿易問題の「政治化・道具化・武器化」に反対している
- 2025年9月14日と15日(現地時間)にスペインのマドリードで行われた米中の経済・貿易チームの協議で、TikTok関連問題を解決するための基本的な枠組みに合意
- 中国政府は企業の意思を十分に尊重し、市場原則に基づく対等な商業交渉を支援する方針
- TikTokに関わる技術輸出や知的財産権の許諾などは、法に基づき審査・承認する考えを示した
- 米国側に対し、中国企業を含む企業に開かれた、公平で公正かつ非差別的なビジネス環境を提供するよう求めた
TikTokを巡る中国の一貫したスタンス
He報道官は、TikTok問題に関して中国の立場は一貫しており、技術や経済・貿易問題の政治化、道具化、武器化に反対してきたと述べました。ここで言う政治化とは、本来ビジネスや技術の枠組みで議論されるべき問題が、政治的な圧力や安全保障上の議題として扱われることを指します。
商務省は、合意形成にあたって守るべき原則として、次の三つを示しています。
- 国家としての基本的な方針や立場を守ること
- 関係企業の正当な利益を守ること
- 国際社会における公正さと正義を尊重すること
今回の発言は、TikTokを巡る協議が進んだとしても、こうした原則を犠牲にする取引は受け入れないというメッセージだと受け止められます。
マドリードでの米中協議と基本枠組み
He報道官によると、中国と米国の経済・貿易チームは、スペインのマドリードで9月14日と15日(現地時間)に協議を行い、TikTok関連問題を解決するための基本的な枠組みに合意しました。
この協議は、両国首脳による電話会談で得られた重要なコンセンサスに沿って行われたと説明されています。発言では、協力を通じた解決、投資障壁の削減、関連分野での経済・貿易協力の促進といった方向性が示されました。今後、こうした枠組みが具体的な措置としてどのように形になっていくかが注目されます。
企業の自主性と法に基づく審査
He報道官は、中国政府が企業の意思を十分に尊重し、市場原則に基づく対等な商業交渉を支持すると強調しました。同時に、TikTokに関連する技術輸出や知的財産権の許諾などについては、法律に従って審査・承認を行うと述べています。
つまり、中国側は企業任せでも全面的な政府介入でもなく、企業の主体性を認めつつも、国家として必要な審査を行うという立場を打ち出した形です。高度なデジタル技術や知的財産が絡む取引では、政府の関与が避けられないという現実も浮かび上がります。
米国に求める開かれたビジネス環境
発言の終盤でHe報道官は、米国側に対し、中国企業を含む企業の継続的な米国での事業運営に向けて、開かれ、公平で公正、かつ非差別的なビジネス環境を提供するよう呼びかけました。
この要請は、TikTokだけでなく、米国で事業を行う他の中国企業にも関わるメッセージといえます。中国側は、両国間のコンセンサスに沿う形で企業活動を支える環境づくりを求めることで、米中の経済・貿易関係を安定的で健全かつ持続可能な発展へと導きたい考えを示しています。
これから何が問われるのか
TikTokを巡る今回のやり取りは、単なる一つのアプリの問題にとどまらず、技術と安全保障、ビジネスと政治が交差する現代の国際経済の課題を映し出しています。
今後の焦点となりそうなのは、次のような点です。
- マドリードで合意された基本枠組みがどのように具体化されるか
- 米国側がどの程度、開かれたビジネス環境を整備していくのか
- 企業の自主的な交渉と、各国政府による法的規制とのバランスがどう取られるのか
デジタルプラットフォームを利用する私たちにとっても、こうした動きは無関係ではありません。ニュースを追いながら、技術を巡るルールづくりがどのような価値観に基づいて進んでいるのかを考えてみることが、次の時代のインターネットとの付き合い方を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
China says will never reach deal at expense of principles, companies
cgtn.com








