新疆ホータンの色彩:工芸と文化が織りなすオアシス
シルクロードの要衝として二千年以上の歴史を重ねてきた中国北西部の新疆ウイグル自治区ホータン(Hetian)。アトラスシルクや玉、紅なつめに象徴される色彩豊かな工芸と文化が、2025年のいま改めて注目されています。
シルクロード二千年の交差点、ホータン
ホータンは、古くからシルクロードを行き交う人や物、思想が交差するオアシス都市として栄えてきました。中国北西部の砂漠地帯に位置しながら、豊かな水源に支えられ、多様な文化が出会う場所となってきたのです。
仏教とイスラムが出会ったオアシス
この都市は、かつて仏教とイスラムが行き交い、互いに影響を与え合った舞台でもあります。ホータンには、そうした宗教や文明の交流が織りなす「文化のタペストリー」が、伝承や工芸品、生活の細部にまで色濃く刻まれています。
アトラスシルク:手織りが生む揺らめく色彩
ホータンの工芸を語るうえで欠かせないのが、ウイグルの職人が手がけるアトラスシルクです。鮮やかな色と揺らめくような模様が特徴のこの織物は、天然染料を用いて一つひとつ丁寧に織り上げられます。
- 一枚ごとに表情が異なる手織りの布
- 植物などからとった天然染料による深みのある発色
- 目を奪われるようなリズミカルな模様
アトラスシルクは、ウイグルの人々の芸術的な感性と生活の知恵が結びついた象徴的な存在です。布地に走る大胆なラインやコントラストの強い色使いは、オアシスの光や砂漠の陰影、季節の移ろいを思わせます。
ホータン玉:古代から愛される光を宿す石
ホータンは、中国で最も優れた玉(ネフライト)を産出する伝説的な土地として語り継がれてきました。この玉は、内側から光を放つような柔らかな輝きを持ち、古代から高い文化的な意味を担ってきました。
装飾品や工芸品として加工されたホータンの玉は、単なる宝石を超えて、長寿や調和、守りといった象徴として人々の生活に溶け込んできました。滑らかな手触りと静かな光沢は、砂漠の大地が長い時間をかけて育んだ贈り物ともいえます。
日差しを浴びて育つ「ホータン紅なつめ」
ホータンを取り巻く日差しの強い谷間では、ホータン紅なつめと呼ばれるなつめの実も豊かに実ります。ぷっくりとした果実は、噛むと濃厚な甘みが広がり、抗酸化成分を多く含むとされるなど、大地の恵みを感じさせる存在です。
乾燥した気候と豊かな日照が生み出す紅なつめは、保存性にも優れ、日常の食卓から贈り物まで幅広く利用されています。工芸品だけでなく、こうした農産物もまた、ホータンの色彩豊かな暮らしを形づくっています。
2025年のいま、ホータンが投げかける問い
シルクロードの歴史、アトラスシルクの手仕事、玉の静かな輝き、紅なつめの素朴な甘さ。新疆ウイグル自治区ホータンの物語は、急速に変化する現代においても、地域の自然と文化に根ざしたものづくりの価値を静かに伝えています。
大量生産と効率が優先されがちな2025年の世界で、ホータンのように土地の記憶や人の手仕事を大切にする地域は、私たちに何を残し、どう受け継いでいくのかという問いを投げかけます。国際ニュースとして世界各地の動きを追いながら、こうしたローカルな物語にも目を向けてみると、新しい視点が見えてくるかもしれません。
Reference(s):
Xinjiang color palette: Hetian, artistry of craftsmanship and culture
cgtn.com








