Lucy’s Journey:海洋文化で人類をつなぐ国際アート展 video poster
海をテーマにした国際アート展を追うシリーズ「Lucy’s Journey」のエピソードが、歴史と日常、そして未来をつなぐ海洋文化の姿を映し出しています。海上シルクロードや海に面した地域の25の国と地域から集まった40人のアーティストが、海という共通の生命線をめぐる物語を作品に託しました。
大使館や文化機関の支援を受けたこの国際展示は、単なるビジュアルアートの場にとどまらず、「海を守り、尊び、祝う」ための共有されたメッセージとして構成されています。2025年のいま、気候変動や海洋汚染が深刻さを増す中で、海との関わり方を問い直す試みとしても注目できます。
海洋文化で読み解く「過去・現在・未来」
この展示の軸になっているのは、海を通じて交わってきた人々の歴史と文化です。海上シルクロードは、古くから物資だけでなく、言語や宗教、食文化など多様な価値観を運んできました。作品の一つ一つには、そうした長い往来の記憶が静かに折り重なっています。
同時に、この展覧会は「いま」の海にも焦点を当てています。海辺の暮らし、漁業や観光で海と向き合う人々の日常、都市で生活しながらも知らず知らず海に影響を与えている私たちの生活様式。そうした現在進行形の風景が、アーティストそれぞれの視点から描かれています。
そして視線は未来へと伸びていきます。温暖化で姿を変えていく海面、プラスチックごみや生態系の変化、テクノロジーがもたらす新しい海の利用のかたち。展示空間には、「この先の海と人類の関係をどう描きたいか」という問いが、静かな緊張感とともに漂っています。
40人のアーティストが編む「海のストーリーテリング」
25の国と地域から集まった40人のアーティストは、それぞれ異なる言語や文化的背景を持ちながら、「海」を共通のことばとして対話しています。作品は多様で、抽象的な表現もあれば、具体的な風景や人々の姿を切り取ったものもありますが、その根底には一つの共通した視点があります。
- 海は国境を越えて広がる、地球共通の「生命線」であること
- 海は、過去から現在、そして未来へと続く時間のつながりを映し出す鏡であること
- 海と人間の関係は、一方的な利用ではなく、守り合う関係へと変わる必要があること
アーティストたちの作品は、こうしたメッセージを押しつけがましく語るのではなく、見る人それぞれに解釈の余地を残しながら、静かに問いかけてきます。国境や言語を越えたコラボレーションが、海をめぐるストーリーテリングをより立体的なものにしているのが印象的です。
大使館と文化機関が支える「越境するアート」
この展示が特徴的なのは、個々のアーティストだけでなく、大使館や文化機関が協力し合うことで成り立っている点です。公的な文化機関が参加することで、展覧会は一つのイベントを超え、国際的な文化交流のプラットフォームとして機能します。
政治的な立場や経済状況が異なる国と地域のあいだでも、海というテーマを共有することで対話のきっかけが生まれます。アートは、その対話を支える「共通言語」となり、緊張よりも共感を少しずつ積み重ねていく役割を果たしています。
なぜ「海を守る」というメッセージが今、響くのか
展示が発しているのは、「海を守り、尊び、祝う」というシンプルですが重みのあるメッセージです。地球の大部分を覆い、私たちの気候や食料、経済活動を支えている海は、まさに「地球の血液」とも言える存在です。
しかし、2025年の現実は、海洋プラスチックごみの増加、乱獲、気候変動による海面上昇や生態系の変化など、課題に満ちています。展示作品は、それらを直接的に告発するだけではなく、海とともにある暮らしの美しさや、世代を越えて受け継がれてきた知恵にも光を当てています。
そのことによって、「守るべき対象としての海」だけでなく、「共に生きるパートナーとしての海」という視点が浮かび上がってきます。海を単なる資源として見るのではなく、文化や記憶の蓄積された場として捉え直すこと。それがこの展示の大きなメッセージの一つと言えるでしょう。
画面の向こうから始まる、小さな行動
このエピソードは、現地に足を運べない人にも、海とアートを通じた国際的なつながりを届けています。スマートフォンやパソコンの画面越しに作品やストーリーに触れることで、海との距離感や、自分自身の生活と海との関係を考え直すきっかけにもなります。
例えば次のような問いを、自分なりに投げかけてみることができます。
- 自分の暮らしは、どのような形で海とつながっているのか
- 日々の選択を少しだけ変えるとしたら、どんなことができるのか
- 海をめぐるストーリーを、家族や友人、オンラインコミュニティとどう共有できるか
国際ニュースや環境問題というと、遠くて大きな話に感じられがちですが、この展示が見せているのは「海はすでに私たちの暮らしのすぐそばにある」という実感です。アートをきっかけに、その実感を周囲と共有し、対話を広げていくことが、次の一歩につながっていきます。
海は「共有財産」であり「希望」でもある
今回紹介された国際展は、海を「共有財産」であり「希望」として見つめ直す試みでもあります。過去を振り返り、現在を見つめ、未来を想像する。そのプロセスを、アートというかたちで可視化している点に、この展示の意義があります。
海は、国や地域の違いを越えて私たちをつないでいる存在です。Lucy’s Journeyが映し出したこの展覧会は、その事実をあらためて思い出させてくれます。海を守り、尊び、祝うことは、自分たちの未来を守ることにもつながっていきます。
Reference(s):
cgtn.com








