中国が世界最大の環境監視網を構築 AIとドローンで汚染をリアルタイム把握
中国が第14次五カ年計画(2021〜2025年)の期間中に、世界最大規模となる生態・環境監視ネットワークを整備しました。AIやドローンを活用するこの仕組みは、中国本土の大気や水質などの汚染状況を、これまで以上にきめ細かく把握することを目指しています。
3万3千超の観測所、全国をカバー
中国生態環境省の黄潤秋(フアン・ルンチウ)生態環境相は、最近行われた記者会見で、新たな監視ネットワークの概要を説明しました。ネットワークは同省が直接統括し、全国に3万3千を超える観測所が設置されているといいます。
観測拠点は、地級市(日本の中核市クラスに相当)以上のすべての都市に加え、主要な河川流域や管轄海域に広がっており、中国本土の広い範囲をカバーしています。
監視対象となる環境要素は次のようなものです。
- 水質汚濁(河川や湖沼などの地表水)
- 大気汚染
- 土壌汚染
- 騒音などの生活環境への影響
こうした多様なデータを同じネットワーク上で集約することで、汚染の広がり方や相互の影響をより立体的に把握できるようにする狙いがあります。
ビッグデータとAIでデジタル監視へ
環境データには、精度や網羅性、速報性がますます求められています。中国生態環境省は、このニーズに応えるため、ビッグデータや人工知能(AI)、クラウドコンピューティングといった先端技術を取り入れ、監視ネットワークのデジタル化と高度化を進めていると説明しています。
サンプル採取から輸送、分析、試験に至るまでの一連のプロセスは、自動化が進んでいるとされます。人手に頼る部分を減らすことで、データ取得のスピードと安定性を高め、現場の負担を軽くする狙いがあります。
ドローンで水質サンプリング、時間を7割以上短縮
特に地表水の監視では、ドローン(無人航空機)がサンプル採取を担うケースが増えています。黄氏によると、ドローンを使うことで採水にかかる時間は従来より7割以上短縮されました。
山間部や湿地帯など、人がアクセスしにくい場所でも、自動飛行でサンプルを回収できるため、より広範囲で安定した水質データを集めやすくなります。危険な現場での作業を減らせる点でも、現場の安全性向上につながるとみられます。
自動観測所と自己診断システム
水質や大気を測定する自動観測所も、機器の診断や保守を支援するインテリジェントな仕組みが導入され、効率と信頼性が高められています。機器の異常を早めに検知できれば、データの抜け落ちや誤差を抑えることができ、長期的な環境トレンドを読み取るうえでも有利になります。
AIが騒音の発生源を識別
AI技術は、単にデータを集めるだけでなく、環境問題の中身を分析する段階にも活用されています。その一例が、騒音をめぐる音声認識の取り組みです。
AIによる音声認識システムは、集められた音を分析し、騒音の発生源がどのような活動に由来するかを自動で判別できるとされています。たとえば、次のような分類です。
- 建設現場からの作業音か
- 自動車などの交通による騒音か
- その他の社会活動に伴う音か
原因をより正確に分けて把握できれば、対策も細かく設計できます。建設工事が主な原因であれば作業時間の調整を、交通が主な要因であれば道路計画や交通規制の見直しを優先するといった具合です。こうした取り組みは、住民の生活環境をより静かで快適に保つことにつながりそうです。
第14次五カ年計画の総仕上げとして
第14次五カ年計画(2021〜2025年)は、現在その最終年である2025年を迎えています。この期間を通じて整備が進んだ環境監視ネットワークは、今後、中国本土の環境政策や産業規制の基盤データとして活用されていくとみられます。
環境監視の精度が上がれば、汚染の早期発見や、対策の効果検証も行いやすくなります。気候変動対策や生態系の保全など、グローバルな課題にも関わる領域だけに、今回の動きは国際ニュースとしても注目されます。
デジタル技術を活用して環境を見える化する試みは、各国や地域で広がりつつあります。中国本土で構築された世界最大規模の監視網が、今後どのように運用され、地域と世界の環境ガバナンスにどのような影響を与えていくのか。引き続きウォッチしていきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








