ファーウェイが「世界最強」AIコンピューティングクラスタ発表 最大100万チップ構想も
中国のテック大手ファーウェイが、上海で開かれた年次イベント「Huawei Connect」で「世界最強」をうたうAIコンピューティングクラスタを発表しました。最大100万個のチップを束ねる構想は、今後数年のAI競争の行方を占う動きとして注目されています。
上海で発表された「世界最強」AIコンピューティングクラスタ
中国の通信機器・テクノロジー大手Huawei(ファーウェイ)は、現地時間の木曜日、上海で開催された年次カンファレンス「Huawei Connect」で、新しい高性能AIチップクラスタを披露しました。
取締役副会長であり現在の輪番会長を務めるEric Xu(エリック・シュー)氏は、「コンピューティングパワーは今もこれからもAIの鍵であり、とくに中国にとって重要だ」と強調し、今回の発表を「AIコンピューティングにおける世界で最も強力なクラスタ」だと位置づけました。
「スーパーノード+スーパークラスタ」という発想
ファーウェイが打ち出したのは、「スーパーノード+スーパークラスタ」と呼ぶ計算基盤の構想です。Xu氏によると、中国で利用可能な半導体製造プロセスを最大限活用し、長期的な計算需要を安定してまかなうことを狙います。
ここでいうノードやクラスタは、次のようなイメージです。
- ノード:多数のAIチップを収めたラック(棚)型のシステム
- クラスタ:こうしたノードを多数まとめ、ひとつの巨大な計算システムとして動かす集合体
ファーウェイの新製品では、このノードの単位そのものを「スーパーノード」として大規模化し、その上にさらに「スーパークラスタ」を構築する二段構えのアーキテクチャを採用します。
Atlas 950/960 SuperPoD:8,000超〜1万5,000超のチップを束ねる
今回発表されたスーパーノード製品が「Atlas 950 SuperPoD」と「Atlas 960 SuperPoD」です。いずれも自社開発のAIプロセッサ「Ascend」チップを多数搭載します。
主な特徴は次の通りです。
- Atlas 950 SuperPoD:最大8,192個のAscendチップをサポート
- Atlas 960 SuperPoD:最大15,488個のAscendチップをサポート
- 計算性能、メモリ容量、ノード間を結ぶ通信帯域といった指標で高い性能を発揮
Xu氏は、これらが同種のシステムとして「現時点で世界で最も強力」であり、「今後数年間もその座を維持する」と述べました。
これらのスーパーノードは、既存製品「Atlas 900」の後継に位置づけられます。Atlas 900はすでに300を超えるスーパーノードが、インターネット、通信、製造業など20社以上の顧客に導入されているといいます。
最大100万チップ級のスーパークラスタへ
ファーウェイは、スーパーノードを積み上げたさらに上位のシステムとして、「Atlas 950 SuperCluster」と「Atlas 960 SuperCluster」も発表しました。いずれも桁違いの規模を想定しています。
- Atlas 950 SuperCluster:約50万個のチップを利用
- Atlas 960 SuperCluster:約100万個のチップを利用
Xu氏によると、Atlas 950 SuperClusterは、イーロン・マスク氏のAI企業xAIが構想するスーパーコンピューター「Colossus」と比べて、「規模で2.5倍、計算能力で1.3倍」に達する見込みだといいます。
Xu氏は「これらのスーパークラスタも、市場に存在するどのコンピューティングクラスタより高い性能を発揮することになる」と自信を示しました。
2026〜2028年にかけての投入計画とチップのロードマップ
新しいスーパーノードとスーパークラスタは、今後数年をかけて順次投入される予定です。
- Atlas 950 SuperPoD:2026年第4四半期に投入予定
- Atlas 960 SuperPoD:2027年第4四半期に投入予定
- Atlas 970:2028年の登場を見込む
あわせてXu氏は、今後3年間のAIチップのロードマップにも触れ、Ascend 950PR、950DT、960、970といったモデルを順次投入していく計画を明らかにしました。
2025年末の時点で見ても、2028年まで見据えた中期的な製品計画を示したことになります。AI向け半導体と計算インフラを継続的に強化していく姿勢がうかがえます。
なぜ「計算力の確保」がここまで重視されるのか
Xu氏は「コンピューティングパワーはAIの鍵」と述べました。生成AIや大規模言語モデルなど、近年のAIは膨大な計算を要するため、計算インフラの規模と効率が、研究やサービスの競争力を左右しつつあります。
とくに中国では、国内の需要に応えつつ長期的に計算力を確保することが重要だとXu氏は指摘しています。今回の「スーパーノード+スーパークラスタ」構想は、そうしたニーズに応えるための大規模なインフラ戦略とも見ることができます。
日本とアジアの読者が押さえておきたい視点
ファーウェイの新たなAIコンピューティング戦略は、中国国内だけでなく、アジアや世界のAIエコシステムにも影響を与える可能性があります。
日本や周辺地域にとっては、次のようなポイントが考えられます。
- AI研究・産業向けの選択肢として、新たな大規模計算基盤が登場する可能性
- 半導体とコンピューティングインフラをめぐる国際的な競争が、一段と長期視点の投資合戦になりつつあること
- 自国・自地域でどの程度の計算力を確保し、どの部分を外部に依存するのかという戦略的な議論の重要性
今回の発表は、「誰が最も大きなAIスーパーコンピューターを持つのか」という話にとどまりません。今後数年のあいだに、どの国と地域が、どのような形でAIインフラを整備していくのか。その一端を示す動きとして、継続的にフォローしていく価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








