中国のグローバル・ガバナンス・イニシアチブとは?周波氏が語る「危険度の低い世界」 video poster
中国が新たに打ち出したグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)は、発展・安全・文明をめぐる既存の三つのグローバル・イニシアチブと並び、世界に提供する重要な「グローバル公共財」だとされています。
清華大学国家戦略研究センターの上級研究員である周波(Zhou Bo)氏は、「台頭する中国は世界をより危険でない場所にできるのか」という問いに対し、中国の四つのイニシアチブこそがその答えになると語りました。本稿では、その議論のポイントを日本語で整理します。
グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)とは
周氏によれば、GGIは国際社会全体のルールづくりや制度設計に中国がより積極的に参画し、各国とともに運営していくための枠組みです。気候変動や感染症、デジタル技術の急速な進化など、一国では対処できない課題に対し、中国が自らの経験や資源を開放し、「グローバル公共財」として共有していく構想だと説明しています。
ここでいうグローバル公共財とは、特定の国だけでなく、世界中の人々が恩恵を受ける仕組みやサービスのことです。周氏は、GGIを通じて、これまでの国際秩序を一方的に変えるのではなく、多くの国が参加できる形で改善していくことが重要だと強調しています。
発展・安全・文明—三つのグローバル・イニシアチブとのつながり
GGIは突然現れた構想ではありません。中国はこれに先立ち、発展、安全、文明をテーマにした三つのグローバル・イニシアチブを打ち出してきました。周氏は、これら四つのイニシアチブを「セット」として捉えることで、世界の喫緊の課題に対する中国のビジョンが見えてくると指摘します。
- 発展イニシアチブ:貧困や格差、インフラ不足といった課題に対し、協力と支援を通じて持続可能な成長を目指す。
- 安全イニシアチブ:軍事力の競争ではなく、対話と信頼醸成を通じて紛争を予防する「総合的な安全保障」を重視する。
- 文明イニシアチブ:文化や価値観の違いを対立の種ではなく、交流と学び合いの源として尊重する。
- グローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI):こうした考え方を国際機関やルールづくりのレベルで具体化し、より公平で包摂的なガバナンスを目指す。
周氏は、これらが単なるスローガンではなく、開発支援や多国間会議、各種協力メカニズムを通じて徐々に形になっていると見ています。重要なのは、中国が一方的な利益追求ではなく、他国と共有できる公共財として提案している点だといいます。
「より危険でない世界」をどう実現するのか
周氏の問題意識は明快です。核兵器、地域紛争、経済の分断など、世界は完全に安全な場所にはなり得ません。だからこそ、中国が目指すのは「まったく危険のない世界」ではなく、「少しでも危険の少ない世界」です。
そのために周氏が重視するのが、次の三つの方向性です。
- 対立よりも協調を優先する外交:大国同士の競争が避けられない中でも、衝突を避けるための対話チャンネルを常に開いておく。
- 開かれた発展:自国の成長を他国の犠牲の上に築くのではなく、インフラ整備や技術協力を通じて、相互に利益を分かち合う。
- 多国間主義の強化:国連などの国際機関を中心に、多くの国と地域が参加するルールづくりを支え、透明性と予見可能性を高める。
周氏は、台頭する中国がこうした方向性を具体的なイニシアチブとして提示すること自体が、世界にとって一定の安心材料になり得ると見ています。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本やアジアの読者にとって、中国のグローバル・イニシアチブは、単に「遠くの国の話」ではありません。経済的にも安全保障の面でも、中国の動きは日常生活に直結しています。国際ニュースとしてこれらの構想を追うことは、中国の考え方を理解する手がかりになります。
もちろん、どの国の提案であっても、すべてがそのまま受け入れられるわけではありません。しかし、周氏が指摘するように、中国がグローバル公共財として自らのビジョンを提示し、世界の危険を少しでも減らそうとしている、という視点を押さえておくことは、冷静な議論の出発点になるでしょう。
考えてみたい三つの問い
最後に、周氏の議論を手がかりに、読者が自分の視点を更新するための問いを三つ挙げておきます。
- 中国が提供するグローバル公共財は、自分の暮らす地域にどのような形で影響し得るのか。
- 日本やアジアの国々は、中国のイニシアチブとどのように向き合い、協力と競争のバランスを取るべきか。
- 「より危険でない世界」をつくるために、自国だけでなく、地域や国際社会のレベルでどのような選択が必要か。
中国のグローバル・ガバナンス・イニシアチブと周波氏の議論は、単に中国外交の動向を知る材料にとどまりません。2025年の世界を生きる私たち一人ひとりが、どのような国際秩序を望むのかを考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Zhou Bo: China's global initiatives help build a less dangerous world
cgtn.com








