AIツール多用でアルツハイマー病リスクは上がる?専門家の見解 video poster
AIツールを日常的に使うことで、アルツハイマー病などの認知症リスクは高まるのでしょうか。現在(2025年12月)、生成AIやチャットボットが生活や仕事に深く入り込むなかで、そんな不安の声がオンライン上で広がっています。
毎年9月は世界アルツハイマー月間とされ、アルツハイマー病やあらゆる認知症への理解を深める国際的なキャンペーンが行われています。本記事では、深圳湾実験室の研究者であり、ユナイテッド・ファミリー病院の脳の健康プログラム主任専門家でもあるGuo Yi教授の見解をもとに、AIツールとアルツハイマー病リスクの関係について整理します。
アルツハイマー病とはどんな病気か
アルツハイマー病は、記憶や思考力、判断力などの認知機能に影響を与える脳の病気です。進行すると、最近の出来事を思い出せなくなったり、日常生活での判断や行動に支障が出たりすることがあります。
AIツールの普及で生まれた素朴な不安
生成AIや自動翻訳、文章作成支援ツールなどのAIツールは、仕事の効率化や情報収集に役立つ一方で、「便利さに頼りすぎると自分の頭で考えなくなり、脳が衰えてしまうのではないか」「ひいてはアルツハイマー病などの認知症リスクが上がるのではないか」といった声も聞かれるようになりました。
こうした懸念の背景には、「脳を使う機会が減るほど認知機能が低下しやすいのでは」という直感的なイメージがあります。では、AIツールの活用と認知症の発症リスクの間に、本当に因果関係はあるのでしょうか。
専門家の見解:AIツール使用と認知症発症に直接の関係はない
Guo Yi教授は、AIツールの利用と認知症の発症との間に「直接の関連はない」と強調しています。少なくとも、AIツールを使うこと自体がアルツハイマー病などの認知症を引き起こす、という科学的な根拠は示されていないという立場です。
むしろ教授は、多くの人がAIツールを使う際に行っている「考えるプロセス」に注目します。AIの答えを見たとき、私たちはしばしば次のように自問します。
- なぜAIの答えは自分が思いついた内容よりも整理されているのか
- どの部分が自分の考え方より優れているのか
- 自分のやり方をどう改善できるのか
教授によれば、このようにAIの回答と自分の考えを比べたり、改善点を考えたりするプロセスそのものが、認知機能を使う行為です。つまり、AIツールは「考えることを完全にやめさせる存在」ではなく、「自分の思考を振り返るきっかけ」になり得るという見方です。
AI時代の脳の健康:鍵は「使い方」を意識すること
では、私たちはAIツールとどのように付き合えばよいのでしょうか。Guo教授の指摘を踏まえると、大事なのは「AIに任せきりにしない」という姿勢だと考えられます。
具体的には、次のような使い方が、AI時代の脳の健康という観点からも意味を持ちそうです。
- AIに質問する前に、自分なりの答えや仮説を一度書き出してみる
- AIの回答をそのまま採用せず、「なぜこの結論になるのか」を自分なりに説明してみる
- 納得できない点や疑問点を挙げ、AIに追加で問い直して議論を深める
- AIの回答を参考にしながらも、最終的な判断は自分で行うと決めておく
こうしたプロセスを意識することで、AIは単なる「答えをくれる機械」ではなく、「自分の思考を刺激してくれるパートナー」に近い存在になります。
過度な不安よりも、賢いつき合い方を
AIツールの多用とアルツハイマー病リスクの関係について、現時点で専門家は「直接的な関連は確認されていない」と見ています。一方で、どんなに便利なツールであっても、私たちの側の使い方次第で、その影響は変わってきます。
毎年9月の世界アルツハイマー月間は、アルツハイマー病や認知症について考えるだけでなく、デジタル技術との向き合い方を見直すきっかけにもなり得ます。AIにすべてを任せるのではなく、自分の頭で考え続けること。そのバランスを意識することが、AI時代の脳の健康を守るうえで重要になっていきそうです。
Reference(s):
Does heavy use of AI tools raise the risk of Alzheimer's disease?
cgtn.com








