アルツハイマー介護者に光を:中国の家族が抱える現実と支援のかたち video poster
中国でアルツハイマー病の母親を4年間自宅で介護してきた北京大学のフー・ヨン教授が「すべての介護者は称賛に値する」と語り、その言葉が高齢化社会に生きる私たちの課題を浮かび上がらせています。
一人の息子の4年間:大学教授が担った介護
フー・ヨン氏は、北京大学でジャーナリズムとコミュニケーションを教える教授です。2020年、母親がアルツハイマー病と診断されて以来、彼は主な介護者として、毎日付き添いながら生活を支えてきました。
アルツハイマー病は、記憶や考える力、行動に影響を与える認知症の一種です。フー氏の母親の症状は少しずつ進行し、その変化に合わせて、見守りや身の回りの世話、医療機関とのやり取りなど、24時間体制のサポートが欠かせなくなっています。
中国で最も多いのは在宅介護
中国では、アルツハイマー病の人に対するケアの中心は今も家庭です。自宅での介護が最も一般的な選択肢であり、その周辺を補う形で、介護施設やコミュニティによる支援サービスが存在しています。
中国には、アルツハイマー病とともに生きる人が約983万人いるとされています。1人の患者を支える介護者は平均で1.6人にのぼり、単純計算するとおよそ1600万人が介護に携わっていることになります。
しかし、介護に必要な人材やサービスはまだ十分とは言えず、多くの負担が家族にのしかかっています。十分な支援や専門的なトレーニングを受けられないまま、親や配偶者、子どもとして、重い役割を引き受けている人も少なくありません。
家族にのしかかる見えない負担
アルツハイマー病の介護には、次のような負担が重なりやすいと指摘されています。
- 長時間の介護による肉体的な疲労
- 症状の進行を見守る心理的なストレスや不安
- 仕事との両立が難しくなることで生じる経済的な負担
- 専門知識や介護技術が十分でないことによる不安
フー氏のように、専門職として働きながら主な介護者も務めるケースもあり、その葛藤や孤立感は想像以上に大きいと考えられます。それでも彼は、すべてのアルツハイマー病の介護者が認められ、尊重されるべきだと訴えています。
知ること・語ることから始まる支援
浙江大学医学院付属第二病院の放射線科医であるルオ・シャオ医師(Dr. Luo Xixiとしても知られる)は、インターネット上で教育的な動画を発信し、アルツハイマー病への理解を広げる活動を続けています。病気の仕組みやケアの工夫をわかりやすく伝えることで、患者と家族の不安を少しでも和らげることがねらいです。
世界では、認知症への理解を深め、当事者や家族を支えるために、毎年9月21日が世界アルツハイマーデーとされています。世界保健機関によると、2021年時点で約5700万人が認知症とともに暮らしており、その6〜7割をアルツハイマー病が占めるとされています。人口の高齢化が進むなかで、その数は今も増え続けています。
こうした状況の中で、介護者への支援と、その存在をきちんと評価することは、国や地域を問わずますます重要になっています。フー氏の「すべての介護者は称賛に値する」というメッセージは、中国だけでなく、世界の多くの家庭にも共通する思いではないでしょうか。
私たちにできる小さなアクション
アルツハイマー病の介護は、遠い誰かの話ではありません。日本やアジアの他の国・地域でも、高齢化とともに同じ課題が深刻になりつつあります。私たち一人ひとりにも、次のような小さな行動から関わる余地があります。
- アルツハイマー病や認知症に関する正しい情報を学び、誤解や偏見を減らす
- 身近に介護をしている人がいれば、話を聞き、家事や買い物など可能な範囲で手助けする
- 世界アルツハイマーデー(毎年9月21日)などの機会に、介護者への感謝や応援のメッセージをSNSで共有する
介護はしばしば「当たり前の家族の務め」とみなされ、感謝や評価が後回しにされがちです。しかし、アルツハイマー病の人の生活を支える家族の存在がなければ、日々の暮らしは成り立ちません。記念日だけではなく、日常の中で介護者に「ありがとう」と伝えることが、最初の一歩になるのかもしれません。
Reference(s):
Health Talk: Every Alzheimer's caregiver deserves recognition
cgtn.com








