新疆の草原と唯一のサドル職人アハタイ Talk Xinjiang
中国の新疆地域の草原で、馬とともに生きる人びとの暮らしをのぞくと、一人のサドル職人の物語に出会います。Talk Xinjiang シリーズの一編とされる「Grassland and Saddle」は、チャシの草原とテケスの職人アハタイを通じて、草原文化と手仕事の魅力を伝えています。国際ニュースを日本語で読む私たちにとっても、遠くの草原の日常を身近に感じさせてくれるエピソードです。
新疆・チャシの草原、緑のシルクのような大地
チャシの草原は、広大な緑のシルクの反物が大地に敷かれたかのように続いています。その上を馬で駆け抜けることは、この土地では遊びではなく、生活と結びついた大事な営みです。風を切って走ること自体が、草原で生きることの象徴だと言えるでしょう。
テケスで唯一のサドル職人・アハタイ
その草原の一角、テケスには、アハタイというサドル職人がいます。彼はこの地で唯一のサドルメーカーであり、馬具の金属部分に豊かで魅力的な装飾を施すことで知られています。アハタイの手にかかると、一つ一つのサドルは量産品ではなく、それぞれに個性を持った作品へと変わっていきます。
馬具に恋をしたら、職人の工房へ
チャシの草原を馬で走っているとき、ふと、ある馬具に強く心を惹かれてしまう瞬間があるかもしれません。手綱の感触や、サドルに刻まれた模様、金具のきらめき。もしそんな「一目惚れ」が訪れたなら、訪ねるべき場所は決まっています。テケスの職人アハタイの工房です。
この物語によれば、アハタイの工房は、草原で馬に乗る人が「自分のサドル」に出会うための場所です。既に出来上がったサドルに惚れ込んで足を運ぶ人もいれば、自分の好みや思い出を語りながら、世界に一つだけのサドルを注文する人もいるでしょう。そこで生まれるのは、道具でありながら、持ち主の物語を背負った相棒のような存在です。
草原文化と手仕事が語るもの
草原のスピードと、サドルづくりに費やされる静かな時間。その対照の中に、この地域の文化が凝縮されています。アハタイが手がけるサドルは、単なる乗馬用具ではなく、草原と人と馬をつなぐメディアのような役割を果たしています。
- 使う人と馬に合わせて形づくられた道具であること
- 金属の装飾一つ一つに、職人の経験と感覚が込められていること
- 草原の風景や暮らしが、さりげなくデザインの中に映り込んでいること
こうした要素が重なり合うことで、サドルは乗り手にとって特別な存在になります。遠く離れた場所で暮らす私たちにとっても、アハタイの仕事は「ものを持つこと」「長く使うこと」の意味を改めて考えるきっかけになりそうです。
2025年の私たちへの小さなヒント
大量生産の製品があふれ、オンラインで何でもすぐに手に入る2025年の今、テケスで唯一のサドル職人が一つ一つの鞍を丁寧に仕上げているという事実は、どこか心を落ち着かせてくれます。
チャシの草原で、気に入った馬具に出会い、その背景にいる職人を訪ねるという行為は、デジタル化が進んだ現代においても変わらない、人とものとの関係の原点のように映ります。
国際ニュースの見出しの陰には、このような小さな物語が数えきれないほど存在します。新疆の草原とアハタイの工房から届いた「草原とサドル」の話は、私たち自身の暮らし方や、どんなものに心を込めて付き合っていきたいのかを静かに問いかけているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








