国連で北京行動綱領30年 各国首脳が女性の権利加速を呼びかけ
国連で北京行動綱領30年 各国首脳が女性の権利加速を呼びかけ
ニューヨークの国連本部で現地時間の月曜日、各国の首脳や政府代表、市民社会団体が集まり、北京宣言・行動綱領の採択から30年を記念するハイレベル会合が開かれました。参加者は、停滞や逆風が広がる中で、女性の権利とジェンダー平等に向けた取り組みを加速させる必要性を強く訴えました。
北京宣言は画期的だが「革命は未完成」
国連総会第80会期の議長を務めるアナレーナ・ベアボック氏は、第四回世界女性会議で採択された北京宣言・行動綱領について「女性の権利、資源、代表性を前進させた画期的な成果」と評価しました。その一方で、30年を経た今も「女性の権利の革命は未完成のままだ」と指摘しました。
グテレス国連事務総長も、北京宣言を「女性の権利に関する、これまでで最も野心的な世界的政治コミットメント」と位置づけつつも、「進展は遅く、かつ不均一だ」と警鐘を鳴らしました。
国連事務次長で国連女性機関の事務局長を務めるシマ・バホウス氏は「30年前、北京宣言と行動綱領は世界を変えた」と述べ、その意義をあらためて強調しました。今もなお「最も先見的で、画期的かつ広範な女性の権利とジェンダー平等の世界アジェンダだ」と語り、その有効性は失われていないと強調しました。
30年で進んだことと、なお残るギャップ
会合では、この30年での前進も共有されました。バホウス氏によると、世界全体で見ると議会における女性議員の数はほぼ倍増し、直近5年間だけでも、各国で約100本の差別的な法律が撤廃されたといいます。
この30年での主な前進
- 各国議会で女性議員の数がほぼ倍増
- 過去5年間で、世界各地で約100本の差別的法律が撤廃
- 女性の法的保護や政治参加、教育へのアクセスが改善
バホウス氏は「一つひとつの前進が、ジェンダー平等は機能するという事実を証明してきた」としながらも、「それでも進み方は十分に速くない」と述べました。スウェーデンの代表も、ジェンダー平等をめぐる後退への深い懸念を示し、「変化のペースは受け入れがたいほど遅い。むしろ成果が逆行する地域さえある」と訴えました。
同代表は「母親の世代よりも娘の世代の自由が狭まるような『新しい普通』を許してはならない」と述べ、ジェンダーに基づく暴力や、医療へのアクセスに立ちはだかる障壁が女性や少女に壊滅的な影響を及ぼし得ると警告しました。
貧困・紛争・気候危機・技術格差が成果を侵食
各国代表はまた、貧困、武力紛争、気候ショック、そして技術へのアクセス格差が、長年の努力で勝ち取ってきた女性の権利の成果を侵食していると報告しました。
今月公表された国連女性機関の報告書によると、ジェンダー平等に関する持続可能な開発目標は、いずれも達成に向けて順調とは言えない状況にあります。さらに、命の危険を伴う紛争の影響下で暮らす女性と少女は約6億7600万人に達し、1990年代以降で最も多い水準にあるとされています。
リヒテンシュタインのザビーネ・モナウニ副首相は「私たちは今、女性と少女のエンパワーメントにとって極めて重要な岐路に立っている」と述べ、近年のジェンダー平等への強い逆風を指摘しました。
AI時代に広がる新たな格差への懸念
グテレス事務総長は、議論の中で人工知能の影響にも言及しました。人工知能が世界を大きく変えつつある一方で、その産業は男性が圧倒的に多く、学習に使われるデータには偏りがあり、アルゴリズムが差別を再生産してしまう危険性があると警告しました。
女性の権利とジェンダー平等を考えるうえで、教育や政治参加だけでなく、デジタル分野の設計や運用に誰が関わっているのかが問われる時代になっていることが浮き彫りになっています。
決定的なリーダーシップと「北京+30」実行を
会合に参加した各国代表は、こうした状況を踏まえ、決定的な政治的リーダーシップと北京宣言・行動綱領の実施加速を求めました。
ルクセンブルクのリュック・フリーデン首相は、各国が北京プラス30の行動アジェンダを全面的に実施することを提案し、そのために十分な資源を備えた国家行動計画を策定するよう呼びかけました。そこでは、女性に対する暴力への対応、経済的エンパワーメント、政治参加の拡大、司法へのアクセス改善、差別的な法律や慣行の撤廃などを重視する必要があるとしました。
各国が求められる主な行動
- 女性に対する暴力の防止と根絶
- 女性の経済的エンパワーメントと雇用機会の拡大
- 政治や意思決定への女性の参画を広げる制度づくり
- 司法へのアクセスを改善し、権利救済を確保
- 差別的な法律や慣行の撤廃
フリーデン首相は、ジェンダー平等を実現するには財源の裏づけが不可欠だと強調しました。そのうえで、ジェンダー平等を国内予算と国際援助の双方の中心に据え、ケアサービスへの投資、ジェンダー視点を取り入れた教育、デジタル包摂、保健医療サービスの拡充などを通じて、資金ギャップを埋めていく必要があると訴えました。
私たちにとっての意味 「遠い国連」から身近な問いへ
北京行動綱領から30年という節目に開かれた今回の国連ハイレベル会合は、単なる記念行事ではなく、私たちの社会に向けた問いかけでもあります。ジェンダー平等は特定の国や地域だけの課題ではなく、世界中の職場、家庭、オンライン空間で進行するテーマだからです。
ニュースを自分事にするための3つの視点
- 職場や学校、地域社会の意思決定の場に、女性の声は十分に反映されているか
- 日々使っているデジタルサービスやAIに、どのようなバイアスや前提が組み込まれているか
- 選挙や政策議論の中で、ケアや教育への投資、ジェンダー平等がどれだけ重視されているか
北京行動綱領は、女性の権利を人権として位置づけた歴史的な枠組みであり続けています。今回の会合で共有されたのは、進展の遅さや逆風を直視しながらも、その約束をあらためて実行に移す必要性でした。次の30年に向けて、国際社会と一人ひとりがどのように行動を変えていくのかが問われています。
Reference(s):
World leaders call for accelerating commitments to women's rights
cgtn.com








