中国ドキュメンタリー『L.E. HUDEC』、スロバキアで初上映
中国のドキュメンタリー映画『L.E. HUDEC』のスロバキア語版が、スロバキアの首都ブラチスラバにあるスロバキア国立美術館で初上映されました。上海の街並みを形作った建築家ラディスラフ・フデツの人生を描く本作は、中国と中欧をつなぐ文化交流の新たな一歩となっています。
ブラチスラバでのプレミア上映、その舞台裏
『L.E. HUDEC』スロバキア語版のプレミア上映は、2025年12月の今週月曜日に行われました。会場となったスロバキア国立美術館は、首都ブラチスラバを代表する文化拠点の一つです。
このイベントは、スロバキア共和国文化省、中国メディアグループ(CMG)、在スロバキア中国大使館の共催により実現しました。公的機関とメディア、外交機関が協力する形で、中国とスロバキアの文化協力を象徴する場となったと言えます。
ドキュメンタリー『L.E. HUDEC』とは
ドキュメンタリー『L.E. HUDEC』は、ハンガリー出身の建築家ラディスラフ・フデツの物語を描いています。フデツは、現在のスロバキア・バンスカー・ビストリツァで生まれ、第1次世界大戦の動乱を逃れて1918年に上海へ渡りました。
その後、彼は後に中国最大の都市となる上海で活動し、数多くの建築プロジェクトに関わることで、都市のスカイラインの形成に大きな役割を果たしました。映画は、この波乱に満ちた人生と創造的な仕事を通して、20世紀前半の激動の歴史と都市の変貌を映し出しています。
建築家フデツがつなぐ、中国と中欧
ラディスラフ・フデツの歩みは、一人の建築家の伝記であると同時に、中国と中欧のあいだの交流の歴史でもあります。中欧の小都市で生まれた人物が、上海という大都市の景観に影響を与えたという事実は、グローバル化以前の時代から人と文化が国境を越えて交わってきたことをあらためて思い出させます。
スロバキアの観客にとって、自国ゆかりの人物が遠く離れたアジアの都市でどのような足跡を残したのかを知ることは、自国の歴史を別の角度から見つめ直すきっかけにもなるでしょう。一方、中国側にとっても、都市の成り立ちを国際的な視点から語り直す試みとして位置づけることができます。
文化交流のいまを映す試み
今回のプレミア上映には、少なくとも三つの意味が重なっていると見ることができます。
- スロバキアゆかりの建築家を通じて、中国とスロバキアの歴史的なつながりを可視化すること
- ドキュメンタリーという形で、中国の都市と建築の物語を国際的な観客に届けること
- 文化省、メディア、在外公館が連携することで、継続的な文化交流の土台をつくること
こうした文化イベントは、政治や経済の議論だけでは捉えきれない国際関係の側面を映し出します。個人の物語を丁寧に追うドキュメンタリーは、国と国とのあいだにある距離を少しだけ縮めてくれる存在と言えるかもしれません。
日本の読者への問いかけ
日本に暮らす私たちにとっても、このニュースは他人事ではありません。都市開発や建築、歴史、そして国際交流は、日本社会にとっても重要なテーマです。
例えば、次のような視点でこの作品を受け止めることができそうです。
- 自分の住む街の景観を形作った人物や物語を、どれだけ知っているだろうか
- 海外で活躍した日本人建築家やアーティストの物語は、どのように伝えられているだろうか
- ドキュメンタリーという表現形式は、国際社会の理解にどのように役立ちうるだろうか
中国とスロバキアをつなぐドキュメンタリー『L.E. HUDEC』のプレミア上映は、グローバルな時代における文化交流のあり方を静かに問いかける出来事となっています。
Reference(s):
Premiere ceremony for Chinese documentary L.E. HUDEC held in Slovakia
cgtn.com








