遼東湾の希少生物を守る 世界海事デーが投げかける問い video poster
世界海事デーは毎年9月25日に行われ、2025年のテーマは「Our ocean, our obligation, our opportunity」です。この国際ニュースの背景には、海が生命と暮らし、そして世界経済を支える基盤であり、その守り方が私たち全員の課題であるという問題意識があります。
氷に閉ざされても命あふれる遼東湾
中国最北の湾とされる遼東湾は、およそ1200キロに及ぶ海岸線を持ち、渤海の一部として渤海海峡を通じて黄海へとつながっています。冬から早春にかけては厚い海氷に覆われますが、それでも海は静かに、しかし力強く生命を育んでいます。
渡り鳥がつくる壮観な「バードウェーブ」
遼東湾では、長い旅を終えた海鳥たちが餌を求めて一斉に飛来し、「バードウェーブ」と呼ばれる壮観な光景が広がります。群れが波のようにうねりながら舞い降りる姿は、渡りの終着点としてのこの地域の豊かさを物語っています。
遼寧省・遼河河口が支えるゴマフアザラシ
中国東北部の遼寧省盤錦市にある遼河河口域は、こうした海鳥だけでなく、遠くからやって来るゴマフアザラシ(spotted seal)にとっても特別な場所です。ここは、国家一級保護種であるゴマフアザラシにとって、遼東湾の中でも主要な繁殖地となっています。
海氷と干潟、河口が織りなす独特の環境は、子育てに適した静かな「ゆりかご」となり、親子のアザラシが休み、成長していく場を提供しています。
「青い惑星の番人」としての地域の取り組み
こうした希少な海洋生物を守るため、現地の当局や保全団体は保護策を強化しています。具体的には、ゴマフアザラシの生息地を継続的にモニタリングし、環境の変化を早期に把握する取り組みが進められています。
また、親とはぐれた子どものアザラシを保護・救護する活動も行われています。孤立した子どもを見つけて救い出し、必要なケアを行ったうえで自然に戻すことで、個体数の維持と生態系の安定につなげようとしています。
海を守ることは地域の未来を守ること
ゴマフアザラシのような希少種は、単に「かわいい動物」というだけでなく、その地域の海がどれだけ健全かを映す鏡でもあります。遼東湾の取り組みは、海洋環境を守ることが漁業や観光、地域の暮らしを長期的に支えることにつながるという視点を示しています。
私たちにとっての「義務」と「機会」
世界海事デー2025年のテーマ「Our ocean, our obligation, our opportunity」は、海の保全が義務であると同時に、新しい協力や技術革新の機会でもあることを訴えています。遼東湾で進む取り組みは、そのメッセージを具体的に体現する一例と言えるでしょう。
私たち一人ひとりが日常でできることは小さく見えるかもしれませんが、海洋ごみを減らす行動を取ること、海や生物多様性に関するニュースに関心を持つこと、地域や国を超えた取り組みに耳を傾けることなどは、いずれも海を守る力になります。
「青い惑星の番人」として、遠く離れた遼東湾の物語を知ることは、世界と自分の暮らしが静かにつながっていることを実感する一歩にもなります。
Reference(s):
Guardians of the blue planet: Preserving rare species in Liaodong Bay
cgtn.com








