南スーダンの赤い土:国連平和維持活動で中国平和維持要員が刻んだ一年 video poster
南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)の現場から、1人の隊員が持ち帰ろうとしているのは、勲章ではなく小さなボトルに入った赤い土です。中国の平和維持工兵部隊を率いる王延輝(ワン・ヤンフイ)さんが、1年間の任務を終えて帰国の途につく前に手にしたその土は、「青いヘルメット」が刻んだ日々の象徴になっています。
赤い土が象徴する「平和のかけら」
王さんは、南スーダンの任務を締めくくるにあたり、自分が足を踏みしめてきた大地の赤い土をボトルに集めています。一握りの土には、炎天下の作業現場で流した汗や、道端で出会った子どもたちの笑顔、緊張が続く中で交わした住民との挨拶など、1年間の記憶が凝縮されていると言えるでしょう。
国連の平和維持要員は、その特徴的なヘルメットの色から「ブルーヘルメット」と呼ばれます。国籍や言語の違いを超えて紛争地に派遣され、治安維持やインフラ整備、人道支援の支え役を担っています。王さんの赤い土は、その「国境を越えた任務」が自分の人生と結びついた証しでもあります。
ワウで道路をつくる中国第15次工兵中隊
王さんが率いているのは、中国第15次平和維持水平工兵中隊です。南スーダン北西部の都市ワウに駐留し、国連の任務の一環として、紛争の影響を受けた地域を結ぶ道路の建設と補修に取り組んできました。
紛争地帯をまたぐ「命の道路」
彼らが整備するのは、単なる土の道ではありません。天候や治安の悪化で寸断されがちな道路をつなぐことは、離れたコミュニティ同士を往来させる「命のライン」を守ることでもあります。
- 医療品や食料などの支援物資を運ぶ車両の安全な通行を支える
- 市場や学校に向かう住民が、危険を避けて移動できるようにする
- 対立が続く地域の間に、対話や交流が生まれるための物理的な道を確保する
こうした作業は華やかさこそありませんが、紛争地での「平和の土台」をつくる仕事です。王さんたちのような工兵部隊が道路をならし、橋を補修し続けることで、国連や人道支援団体の活動も初めて機能します。
青いヘルメットがつなぐ国境のない協力
王さんの部隊は、中国から遠く離れたアフリカの地で活動しています。出身国や文化が違っても、国連の青いヘルメットの下で目指すものは共通です。それは、武力による対立を少しでも和らげ、人びとの生活を「普通の毎日」に近づけることです。
道路づくりという具体的な作業を通じて、現地の人びととの信頼関係も少しずつ育まれていきます。壊れた道が直されるたび、その地域の人は「外の世界」と再びつながることができます。その連なりの先に、地域全体の安定や発展が見えてきます。
ニュースの向こう側にいる一人の隊員
国際ニュースとして「国連平和維持活動」や「中国の工兵部隊」と聞くと、大きな組織や国家をイメージしがちです。しかし、その現場には、任務を終える前に赤い土をボトルに集める一人ひとりの隊員がいます。王さんが持ち帰る土は、統計や報告書には現れない、現場の時間と感情を象徴していると言えるかもしれません。
私たちがこのニュースから考えたいこと
2025年の今、日本から見ると南スーダンは遠い場所に感じられるかもしれません。それでも、王さんのような平和維持要員の姿から、いくつかの問いを自分ごととして受け取ることができます。
- 「目に見えにくい平和」を支える仕事に、どんな人びとが関わっているのか
- 道路や橋といったインフラが、紛争地でどれほど大きな意味を持つのか
- 国境を越えた協力に、自分自身はどのような形で関わりうるのか
赤い土の入ったボトルは、王さんにとって南スーダンでの1年間を思い出す「平和の記念品」になるでしょう。そして、その物語を知る私たちにとっても、国連平和維持活動や国際協力を少し身近に感じる入り口になります。ニュースの背後にある静かな努力に思いを巡らせることは、遠い国の出来事を自分の生活とつなげる、ささやかな第一歩と言えます。
Reference(s):
cgtn.com








