中国映画に広がるAI活用のビジョン シルクロード映画祭で語られた未来像 video poster
中国・福州で開かれた第12回シルクロード国際映画祭で、映画監督のクリス・ハン氏が「AI×中国映画」の未来像を語り、業界関係者の注目を集めました。本記事では、そのビジョンを手がかりに、中国の映画・テレビ産業で進むAI活用と、物語づくりの新しい方向性を分かりやすく整理します。
福州の国際映画祭で浮かび上がったAI時代の中国映画
2025年に中国・福州で開かれた第12回シルクロード国際映画祭は、国際ニュースとしても注目される映画イベントです。その場でクリス・ハン監督は、高度なAI技術を中国の映画・テレビ産業にどう取り入れるかについて、自身のビジョンを語りました。
ポイントは大きく二つあります。
- 高度なAI技術を、中国の映画・ドラマ制作に本格的に応用していくこと
- AIと人間の協働によって、物語と感情をより深く結びつける「感情の統合」を目指すこと
会場では、こうした視点が中国映画の可能性を広げるものとして受け止められ、業界関係者から高い関心が寄せられたとされています。
高度なAI技術は中国の映画・ドラマをどう変えるか
2025年12月現在、AI技術は世界の映画・ドラマ制作で急速に存在感を増しています。中国の映画・テレビ産業も例外ではなく、シルクロード国際映画祭での議論は、その流れを象徴するものといえます。
制作現場の効率化だけでは終わらないAI活用
AIというと、まず思い浮かぶのは「効率化」かもしれません。たとえば、映像編集の自動化や、膨大な素材の整理、字幕や翻訳の支援などです。こうした領域では、すでにAIの導入が始まっています。
しかし、クリス・ハン監督が語ったのは、それだけではない可能性です。AIを単なる省力化ツールとして使うのではなく、物語の構造やキャラクターの感情の動きまで含めて、クリエイティブな部分にも関わらせていく――そうした方向性が意識されていると考えられます。
物語づくりと観客体験のアップデート
AIは、観客の反応や視聴傾向のデータを分析することが得意です。その強みを生かせば、次のような形で中国映画やドラマに変化が生まれる可能性があります。
- 観客の好みに合わせて、ストーリー展開のパターンを分析・提案する
- キャラクターの心理描写や対話の流れを、より自然で一貫したものに整える
- 国や文化の違いをまたいだ、分かりやすく伝わる表現をサポートする
こうしたAIの活用は、中国映画の作品性を高めるだけでなく、海外の観客にとっても「分かりやすく、感情移入しやすい」物語づくりにつながる可能性があります。
キーワードは「感情の統合」――AIと人間の役割分担
クリス・ハン監督は、ストーリーテリング(物語づくり)でのさらなる協働を通じて、「感情の統合」を目指したいという考えを示しました。この言葉には、AI時代の映画制作における重要な視点が含まれています。
AIが得意なことと、人間にしかできないこと
AIが得意なのは、膨大なデータからパターンを見つけ出し、再現することです。それに対して、人間のクリエイターが強みを持つのは、次のような領域だと考えられます。
- 「なぜこの物語を語りたいのか」という動機や価値観を生み出すこと
- 社会や時代の空気を敏感に感じ取り、作品のテーマに落とし込むこと
- 意外性や不完全さをあえて残し、観客に解釈を委ねること
「感情の統合」という言葉は、AIがデータにもとづいて提案するストーリーと、人間が持つ感情・直感・経験を重ね合わせるプロセスを指していると捉えることができます。
協働の場としての中国映画・テレビ産業
クリス・ハン監督は、物語づくりでのさらなる協働を望んでいるとされています。そこには、監督や脚本家、俳優だけでなく、AI技術者やデータサイエンティストも参加する新しいチーム像が見えてきます。
中国の映画・テレビ産業は規模が大きく、ジャンルも多様です。その環境の中でAIと人間が協力し合えば、国内だけでなく、アジアや世界の観客に届く新しいタイプの作品が生まれていく可能性があります。
日本やアジアの観客にとっての意味
中国映画やドラマは、日本を含むアジア各地で視聴される機会が増えています。AI活用が進めば、国境を越えて共有しやすいテーマや表現が増え、作品を通じた相互理解が深まる可能性があります。
- 文化や慣習の違いを踏まえた物語設計
- 複数言語向けの字幕や吹き替え制作の高度化
- オンライン配信プラットフォームでの視聴体験の向上
こうした変化は、日本の視聴者にとっても、中国映画を「難しそう」と感じるハードルを下げ、より身近なエンターテインメントとして楽しめる方向につながっていきそうです。
これから注目したいポイント
福州のシルクロード国際映画祭で示されたクリス・ハン監督のビジョンは、中国映画におけるAI活用の一つの方向性です。今後、国際ニュースや映画関連の情報を追ううえで、次のような点に注目しておくとよさそうです。
- どのジャンルの中国映画・ドラマで、AI活用が目に見える形で進んでいくのか
- クリエイターとAI技術者の協働体制がどのように整えられていくのか
- 観客の感情により深く届く作品が、実際にどのような形で生まれてくるのか
- アジアや世界のクリエイターとの共同制作が、AIを媒介にどう広がるのか
AIが発達すればするほど、「人間ならではの感情」や「地域ごとの物語」がむしろ重要になる、という見方もできます。クリス・ハン監督が語った「感情の統合」というキーワードは、これからの中国映画を考えるうえで、一つのヒントになりそうです。
Reference(s):
Director Chris Hung wows audience with vision of AI in Chinese cinema
cgtn.com








