世界海事デーと浙江の海塩づくり 1300年続く「青い惑星」の守り人 video poster
2025年9月25日の世界海事デーで掲げられたテーマ「Our Ocean, Our Obligation, Our Opportunity」。2025年12月の今も、このメッセージを体現する場所が、中国浙江省寧波市象山県の花岙島にあります。東シナ海に面した小さな島で、1300年以上続く天日海塩づくりの塩田が、静かに「青い惑星」を見守り続けています。
世界海事デー2025と海への「責任」と「機会」
世界海事デーは、海運や海洋の重要性を考える国際的な記念日で、毎年9月25日に設けられています。2025年のテーマは英語で「Our Ocean, Our Obligation, Our Opportunity(私たちの海、私たちの責任、私たちの機会)」でした。
このテーマは、海が生命や生計、そして世界経済を支えるうえで欠かせない存在であることをあらためて示しています。同時に、海洋環境を守ることが単なる「負担」ではなく、技術革新や国際協力、新たなビジネスや地域づくりの「チャンス」でもあることを強調しています。
東シナ海とともに生きる象山県
浙江省寧波市の象山県は、東シナ海に面し、古くから海とともに生きてきた地域です。漁業や海運、沿岸の暮らしが、この地域の文化や人々の価値観を形づくってきました。
県内の花岙島には、大仏頭山と呼ばれる山がそびえ、かつて航行する船の目印となる「天然の灯台」の役割を果たしてきました。そのふもとには、潮の満ち引きとともに姿を変える塩田が広がっています。ここが、1300年以上にわたって海塩がつくられてきた場所です。
1300年以上続く天日海塩づくり
花岙島の塩田では、天日で海水を干して塩をつくる伝統技術が、世代を超えて受け継がれてきました。海水を引き込み、浅い塩田で太陽と風にさらして水分を飛ばし、塩の結晶を育てていく、自然のリズムと向き合う仕事です。
2008年には、「象山海塩天日製塩技術」が中国の国家級無形文化遺産に登録されました。現在、花岙塩田は、この生きた技を今も守り続ける浙江省で唯一の現役の塩田として認められています。作業者たちは今日も蒸発池の手入れを続け、塩の結晶一つひとつに、沿岸の暮らしと海洋文化の記憶を刻み込んでいます。
伝統技術はなぜ「青い惑星」の守り人なのか
一見すると、塩田での天日製塩は、世界海事デーのテーマのような「海洋環境」や「国際協力」とは距離があるようにも見えます。しかし、象山県の海塩づくりには、現在の私たちが学べる視点がいくつも隠れています。
例えば、次のような点です。
- 海を「資源」だけでなく、文化や暮らしと結びついた存在として捉えていること
- 太陽や風など自然の力を活かし、海と共存する形で生業を続けていること
- 技術だけでなく、海への敬意や知恵そのものを次の世代に受け渡そうとしていること
こうした営みは、海洋を守ることが「誰か遠くの専門家の仕事」ではなく、地域の暮らしのなかで具体的な形をもって続けられてきたことを教えてくれます。世界海事デーが掲げる「責任」と「機会」という言葉は、花岙塩田のような現場を見ると、より身近なものとして感じられます。
私たちにできる小さなアクション
世界やアジアの海に関心を持つ読者にとって、象山県の塩田は「遠い場所の美しい風景」にとどまりません。日常のなかで海とどう向き合うかを考えるきっかけにもなります。
- 海や海洋環境、海に関わる伝統文化について知る・学ぶ
- プラスチックごみの削減など、海に流れ出る廃棄物を減らす行動をとる
- 海や環境に配慮した商品やサービス、取り組みを意識して選ぶ
小さな一歩でも、世界中の沿岸地域で受け継がれてきた知恵や技術とつながることで、「青い惑星の守り人」の輪は少しずつ広がっていきます。象山県の天日海塩づくりは、その静かな、しかし確かな一例だと言えるでしょう。
Reference(s):
Guardians of the blue planet: Zhejiang sea salt sun-drying heritage
cgtn.com








