中国の李強首相、キプロスと貿易拡大へ 国連総会で協力強化を確認
中国の李強首相は、今年開かれた国連総会第80回会期の一般討論に合わせてキプロスのニコス・クリストドゥリディス大統領と会談し、両国の貿易拡大や新分野での協力強化に取り組む考えを示しました。
国連総会の場で、中国とキプロスが関係強化を確認
会談は、国連総会第80回会期の一般討論の傍らで行われました。李首相は、中国がキプロスと協力し、二国間貿易の規模を拡大しつつ、その構造を最適化していく用意があると表明しました。また、新たな協力の可能性を「新興分野」で探っていく考えも示しました。
李首相は、地理的な距離は離れているものの、中国とキプロスの友好交流は長い歴史を持つと強調しました。
来年は外交関係樹立55周年と戦略的パートナーシップ5周年
李首相は、来年、両国が外交関係樹立55周年と戦略的パートナーシップ締結5周年という節目を迎えることに触れ、これは協力をさらに深化・発展させる新たな機会になると述べました。
そのうえで、伝統的な友好を受け継ぎつつ、ハイレベルの往来を強化し、相互尊重と相互信頼、開放と協力を堅持しながら、二国間関係を新たな段階へと押し上げたいと表明しました。こうした取り組みを通じて、より実務的な成果を上げ、両国の人々に一層の利益をもたらしたいとしています。
また、中国はキプロスが国家主権、独立、領土の一体性を守ろうとする姿勢を理解し支持していると述べるとともに、キプロスが一つの中国の原則を堅持していることに謝意を示しました。
貿易拡大と新分野協力:海運からクリーンエネルギーまで
李首相は、中国がキプロスと発展戦略をさらに連携させ、共同経済貿易委員会といった枠組みをより効果的に活用していく考えを示しました。これは、既存の仕組みを土台に、貿易と投資の流れをより円滑にしようとする動きといえます。
具体的な分野としては、両国にとって重要な産業である海運分野での協力を「深化・強化」する方針を示したほか、クリーンエネルギーといった新興分野での連携の可能性を掘り起こしたいとしました。さらに、教育・文化・若者交流や地方レベルでの交流も強化し、相互利益と「ウィンウィン」の成果をめざすとしています。
中国側はまた、キプロスから高品質な農産品や食品の輸入を拡大する用意があると表明しました。そのうえで、キプロス側に対して、公平で公正かつ非差別的なビジネス環境を引き続き整備し、両国企業の協力を後押しする政策的支援を強めるよう呼びかけました。
多国間主義とグローバル・ガバナンスでの連携
現在の国際情勢について、李首相は「変化と不安定さに特徴づけられている」と指摘しました。そのうえで、中国はキプロスと緊密に連携し、多国間の場で協調を図る意思があると強調しました。
具体的には、「真の多国間主義」をともに実践し、自由貿易を守り促進するとともに、より公正で公平なグローバル・ガバナンス(国際的なルールや秩序の枠組み)を実現することをめざすとしています。李首相は、中国が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアティブへの積極的な参加もキプロス側に歓迎の意を示しました。
さらに李首相は、キプロスがEUに対し、対中政策で「理性的かつ現実的なアプローチ」を維持するよう働きかけ、中国とEUの関係発展の方向性を安定させるうえで重要な役割を今後も果たすことへの期待を表明しました。
キプロス側の狙い:EU議長国としての役割も視野に
これに対し、クリストドゥリディス大統領は、キプロスと中国の関係は相互理解と相互支持のうえに成り立っていると述べました。キプロスは一つの中国の方針を揺るぎなく堅持しており、両国の戦略的パートナーシップを高く評価しているとしています。
大統領は、ハイレベル交流をいっそう強化し、両国の友好と相互信頼を深めたいと表明しました。その具体的な協力分野として、経済・貿易、投資、農業、スポーツなどを挙げ、人的交流や文化交流も強化したいとしました。
さらに、キプロスが来年前半にEUの議長国(輪番制の議長国)を務める予定であることを踏まえ、EUと中国の対話と協力を積極的に促進していく考えを示しました。また、国連憲章と国際法の権威を守り、多国間主義を擁護しつつ、共通の課題に協力して対処するため、中国との多国間協調を強めたいと述べました。
なぜ今、中国・キプロス関係が重要なのか
今回の会談で浮かび上がるのは、距離の離れた両国が、長年の友好関係を基盤に、実務的な協力を広げようとしている構図です。李首相が強調したように、伝統的な友好と相互尊重を土台にしながら、貿易の質を高め、新興分野を含む協力を拡大することで、二国間関係を「新たな高みに」引き上げようとしています。
キプロス側にとっても、中国との関係強化は、農産品や食品の輸出拡大、海運や投資、クリーンエネルギーなどをめぐるビジネス機会の拡大につながる可能性があります。来年前半にEUの議長国を務めるタイミングで、中国とのパイプを太くすることは、EUと中国の対話を前向きに進めるうえでも意味を持ちます。
アジアや日本からこの動きを見ると、揺れ動く国際情勢の中でも、多くの国が貿易や気候変動対策といった共通の課題を軸に協力の余地を探っていることがうかがえます。中規模の国が、大国間の対話をつなぐ「橋渡し役」としての役割を模索している姿は、今後の国際ニュースを考えるうえでも注目すべきポイントといえるでしょう。
中国とキプロスが、貿易・新興分野・多国間協調のそれぞれの分野でどこまで協力を深め、EUと中国の関係の中でどのような位置づけを築いていくのか。来年以降の動きが注視されます。
Reference(s):
cgtn.com








