中国が北極海で初の有人潜水に成功 第15次北極科学観測の成果とは
中国の研究砕氷船「雪竜2(シュエロン2)」が金曜日に上海へ帰港し、中国による第15次北極海科学観測が成功裏に終了しました。今回の遠征は北極海の変化と地球規模の気候への影響を探るために行われ、中国にとってこれまでで最大規模の北極科学探査となりました。
4隻が連携した中国最大の北極科学探査
今回の北極海科学観測は、中国自然資源部が主催した包括的なミッションで、4隻の調査船が連携して実施されました。砕氷調査船「雪竜2」に加え、「極地(ジディ)」、「深海1号(シェンハイ1)」、「探索3号(タンソオ3)」が参加し、国家レベルの研究開発課題に対応する大規模な観測が行われました。
今回の遠征の主なポイント
- 第15次北極海科学観測が終了し、雪竜2が上海に帰港
- 4隻の調査船が連携する中国最大規模の北極遠征
- 海氷縁辺域での大気・海氷・海洋の総合観測を実施
- 二隻同時運用で観測データの空白を補完し、海洋環境予測の精度向上に貢献
- 潜水艇「蛟竜」による北極海の氷の下での初の有人潜水に成功
北極海の中心部まで 海氷と海洋を総合観測
雪竜2と極地は、チュクチ海台やカナダ海盆、中央北極海といった高緯度の海域を重点的に調査しました。ここでは、海洋環境の総合的な観測に加え、海氷の縁辺部(アイス・マージナル・ゾーン)に焦点を当て、大気・海氷・海洋を一体的にとらえる学際的な研究が進められました。
このような複合的な観測により、北極海における海氷の分布、海水の性質、気象条件などがどのように結びつき、季節ごとに変化しているのかについて、より立体的な理解が得られつつあります。
二隻同時観測で高緯度海域の「空白」を埋める
高緯度の厳しい海域では、長年にわたり観測データが不足してきました。今回のミッションでは、雪竜2と極地の2隻を同時に運用し、高緯度の海域で「同期観測」を行うことで、このデータの空白を埋める試みが行われました。
また、長期的な海氷モニタリングも重要な柱となりました。海氷の流れを準リアルタイムで追跡し、海氷の下で起きている水温や塩分、栄養塩やプランクトンなどの変化を観測することで、北極の多層的な環境が季節ごとにどう変化しているのかが、より詳しく把握されつつあります。こうしたデータは、海洋環境予測の精度を高めるうえで大きな意味を持ちます。
「マリンスノー」と生態系の応答をとらえる
今回の北極遠征では、生態系に関する先端的な研究も強化されました。複数の水深で高精細な撮影ができる海底イメージングシステムを活用し、海氷縁辺部の海底環境を多面的かつ経時的に記録。海底付近の生物や堆積物の変化を、これまで以上に細かく観察できるようになりました。
さらに、海中の一定の深さに現れる「クロロフィル最大層」を繰り返し観測することで、「マリンスノー」と呼ばれる有機物の微細な粒子がどのように形成されるのかが分析されました。あわせて、海氷の後退に対してプランクトンなどの生態系がどのように応答しているのかについても、新たな知見が蓄積されています。
北極海の氷の下へ 潜水艇「蛟竜」が初の有人潜水
今回の遠征のハイライトの一つが、北極海の氷の下で行われた中国初の有人潜水です。深海潜水調査船「蛟竜(ジャオロン)」は、母船の深海1号と雪竜2の支援を受けながら、北極の海氷下での有人潜航に成功しました。
極めて厳しい環境下での深海探査を可能にしたこの成果は、中国の深海探査能力が新たな段階に達したことを示しています。これまで観測が難しかった海氷下の環境を、直接観測できるようになったことで、北極の海洋・生態系研究は新しいステージに進みつつあります。
北極研究と地球規模の気候のつながり
第15次北極海科学観測は、急速に変化する北極環境と、その地球規模の気候への影響を理解するうえで重要な役割を果たしています。長期的な海氷監視や、大気・海氷・海洋の統合観測により、気候や海洋環境の将来を見通すための基礎データが充実してきました。
北極は地理的には遠い地域ですが、その変化は世界の気候システムと深く結びついています。今回の大規模な科学観測は、北極で何が起きているのかをより正確に把握し、地球全体の環境変化を読み解くための重要な手がかりを提供しているといえるでしょう。
Reference(s):
China completes 1st manned dive under Arctic ice in polar expedition
cgtn.com








