世界で広がるがん リスクと向き合う4つのステップ【国際ニュース】 video poster
がんは今もなお、世界で主要な死因の一つとなっており、身体機能だけでなく生活の質やメンタルヘルスにも大きな影響を与えます。本稿では、国際ニュースとして伝えられた専門家インタビューをもとに、がんの「前・最中・後」と向き合う4つのステップを日本語で分かりやすく整理します。
世界で増え続けるがんの現状
昨年2024年に公表された世界保健機関(WHO)のデータによると、がん(悪性腫瘍)は世界の死因の中でも主要な位置を占めています。2022年の世界の新規悪性腫瘍は1,997万件に達し、2020年から約70万件増加しました。
がんの種類別では、
- 発症数が最も多いのは肺がん(全体の12.4%)
- 次いで乳がん、大腸がん、前立腺がん、胃がん、肝がんが続く
という構図が示されています。さらに注目されるのが、世界的に50歳未満の世代でがんが増えているという点で、この傾向は中国でも同様に深刻だとされています。
中国の国家がんセンターがまとめた「2022年中国悪性腫瘍流行状況分析」によると、2022年に中国で新たに診断されたがんは約482万件で、人口10万人あたり341.75人が発症した計算になります。こうした数字は、がんが一部の人だけの問題ではなく、世界の多くの国や地域で共通する健康課題になっていることを示しています。
専門家インタビューから見えた4つのステップ
中国のメディアは、米国マイアミ大学ヘルスシステムのシルベスター包括がんセンターで血液学部門の責任者を務めるミカエル・セケレス教授にインタビューを行いました。教授は、がんの増加の背景や予防のための生活習慣、治療法の特徴を、専門用語をかみ砕きながら説明しています。
インタビューの内容は、「がんになる前」「診断されたとき」「治療の最中」「治療後の生活」というライフステージに沿って考えると理解しやすくなります。ここでは、そこから浮かび上がる4つのステップを整理します。
ステップ1:がんを「知る」――病気の正体をシンプルに理解する
セケレス教授は、がんを難しい専門用語ではなく、「体の細胞の一部が制御を失い、必要以上に増え続けてしまう状態」として説明しました。つまり、細胞増殖のブレーキが利かなくなった結果、腫瘍ができ、他の臓器にも広がる可能性がある病気だということです。
また、世界でがんが増えている理由として、主に次のような要因が指摘されています。
- 高齢化:平均寿命が延び、がんになりやすい年齢まで生きる人が増えている
- 生活習慣の変化:喫煙、過度の飲酒、運動不足、偏った食事など
- 環境要因:大気汚染など、長期的な曝露によるリスク
- 検査の普及:早期に見つかるケースが増え、「数」として記録されやすくなっている
がんを「よく分からない恐ろしい病気」として遠ざけるのではなく、仕組みや背景を知ることが、最初のステップになります。
ステップ2:生活習慣を整えて「防ぐ」――予防は今日から始められる
教授は、生活習慣の工夫によって、がんのリスクを一定程度下げることができると強調しました。完全に防ぐことはできなくても、「リスクを減らす」選択は誰にでも開かれています。
代表的なポイントとして、次のような実践が挙げられます。
- タバコを避ける:喫煙は多くのがんと強く関連しているため、禁煙・受動喫煙の回避が重要です。
- 飲酒を控える:アルコールの量を減らすことで、肝臓や消化器などのがんリスクが下がります。
- バランスのよい食事:野菜や果物、全粒穀物を意識して取り入れ、加工肉・過剰な脂質をとりすぎないようにすることが推奨されます。
- 適度な運動と体重管理:軽い運動でも継続することで、複数のがんのリスク低減につながります。
- 定期的な検診:乳がん、大腸がん、子宮頸がんなど、早期発見できる検診を活用することが重要です。
国や地域によってがんの種類やリスク要因は異なりますが、「生活習慣」と「検診」の2本柱は、多くの国際機関や専門家が共通して強調しているポイントです。
ステップ3:治療法を理解して「恐れすぎない」――選択肢を知る
がんと診断されたとき、多くの人がまず感じるのは「恐怖」や「戸惑い」です。セケレス教授は、治療の基本的な選択肢を知ることで、不安を和らげられると説明しました。
代表的ながん治療には、次のような方法があります。
- 手術:がんのある部分を取り除く治療。早期がんで特に重要です。
- 放射線治療:高エネルギーの放射線を当てて、がん細胞を壊す方法。
- 化学療法:いわゆる「抗がん剤」による全身治療で、再発予防や進行抑制に用いられます。
- 分子標的薬・免疫療法:がん細胞の特徴や免疫の働きを利用する、比較的新しい治療法。
教授は、こうした治療法にはそれぞれ向いているがんの種類や進行度、期待される効果と副作用があると整理し、「主治医とよく相談し、自分にとって納得のいく治療方針を一緒に決めていくことが大切だ」としています。
治療法を一つの「正解」として受け身で受け取るのではなく、選択肢を理解し、自分の価値観や生活と照らし合わせて考えることが、治療に向き合う上での大きな支えになります。
ステップ4:治療中・治療後も「自分らしく生きる」――がんは人生の「終わり」ではない
インタビューの中で、最も印象的なのは、セケレス教授が自身の診療経験を通じて語った患者たちのエピソードです。教授は、多くの患者が診断後も仕事や家族との時間、趣味などを大切にしながら、自分なりのペースで日常を取り戻していく様子を紹介しました。
教授が伝えたメッセージは、次のようにまとめられます。
- 「がんになったからといって、自分でなくなるわけではない」
- 「今ここにある人や時間を、以前よりも意識して大切にしてほしい」
- 「前向きであろうとする姿勢は、治療や生活の質にも良い影響を与える」
がんとの闘いは、治療そのものだけではなく、心の状態や周囲の支えとも深く関わります。家族や友人、職場、医療チームが患者の「自分らしさ」を尊重しながら支えることが、治療中・治療後の生活の質を大きく左右します。
2025年の私たちに向けられた問い
2022年のデータや2024年に公表された統計は、2025年の今もなお、がんが世界的な課題であることを示し続けています。中国を含む多くの国と地域で、若い世代のがんが増えているという事実は、日本に住む私たちにとっても決して他人事ではありません。
今回紹介した4つのステップ――
- ステップ1:がんの仕組みと背景を「知る」
- ステップ2:生活習慣と検診で「防ぐ」
- ステップ3:治療法を理解して「恐れすぎない」
- ステップ4:治療中・治療後も「自分らしく生きる」
――は、医療者だけでなく、一人ひとりの生活の中で考えられるヒントでもあります。がんをめぐる国際ニュースを日本語で知ることは、単に海外の状況を知るだけでなく、「自分や身近な人のこれから」を考えるきっかけにもなります。
日々の小さな選択や、周囲の誰かとがんについて話してみる一歩が、未来のリスクを減らし、もし病気と向き合うことになったときにも、少しでも前向きに暮らす力につながっていくはずです。
Reference(s):
cgtn.com








