中国とDPRK外相が北京で会談 伝統的友好と協力強化を確認
中国と朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の外相が北京で会談し、伝統的な友好関係を土台に戦略的な協力をさらに深める方針を確認しました。朝鮮半島情勢や国際秩序の行方を考えるうえで、注目すべき動きです。
北京で中国・DPRK外相が会談、関係発展を「揺るがない方針」と確認
北京で行われた会談には、中国の王毅(おう・き)外交部長と、DPRKの崔善姫(チェ・ソンヒ)外相が出席しました。王外交部長は、中国共産党と中国政府にとって、両国関係を維持・強化・発展させることは「一貫した揺るがない戦略方針」だと強調しました。
王氏は、中国とDPRKは山と川で結ばれた友好な隣国であり、両党と両国の旧世代指導者たちが築き、育んできた伝統的友好は、双方が共有する貴重な財産だと位置づけました。
さらに王氏は、今月初めに行われた習近平総書記と金正恩総書記の歴史的な会談に言及しました。このトップ会談で、今後の中朝関係の方向性と「青写真」となる重要なコンセンサス(合意)が示されたとし、外相会談はその具体化を進める場になったと説明しています。
両国首脳の合意を実行へ 「人民の幸福」と「地域の平和」を掲げる
王氏は、両国はトップ同士の合意を着実に実行に移し、戦略的な意思疎通を強化し、交流と協力を深めるべきだと述べました。その目的として、次の二つが繰り返し強調されています。
- 両国人民の生活と福祉をより良くすること
- 地域の平和と発展をともに促進すること
会談では、中国側の国内状況についても説明がありました。王氏は、中国とDPRKはいずれも社会主義の道を歩む国であり、共通の理想と目標を持っていると指摘。そのうえで、ガバナンス(統治)や行政運営の経験を互いに学び合うことで、それぞれの社会主義の事業をさらに発展させていくべきだとしました。
中国の国際イニシアチブへの支持と「公正な国際秩序」
王氏は、中国の「核心的利益」や重要な関心事に対するDPRKの揺るがない支持に謝意を示しました。また、中国が掲げる人類運命共同体(community with a shared future for humanity)の理念や、複数のグローバル・イニシアチブへの支持も評価しました。
具体的には、次のような枠組みが挙げられています。
- Global Development Initiative(グローバル開発イニシアチブ):途上国支援や持続可能な開発を重視する構想
- Global Security Initiative(グローバル安全保障イニシアチブ):対話と協調による安全保障を掲げる枠組み
- Global Civilization Initiative(グローバル文明イニシアチブ):多様な文明の共存と相互尊重を訴える提案
- Global Governance Initiative(グローバル・ガバナンス・イニシアチブ):国際ガバナンスの改善を目指す構想
王氏は、中国がDPRKと国際・地域問題での調整と協力を強め、「あらゆる形の覇権主義」に反対し、両国の共通利益と国際的な公平・正義を守る考えを示しました。
DPRK側も関係強化に前向き 「より高いレベルへ」と表明
これに対し崔外相は、今年、中国が開催した「中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」を記念する行事が、中国の歴史的成果、総合力、国際的地位を十分に示したと評価しました。
また、習近平総書記と金正恩総書記による歴史的な会談が、DPRKと中国の関係深化に向けた戦略的指針と強い原動力を与えたと述べ、中朝関係を新たな段階へと押し上げる意欲を強調しました。
崔氏は、DPRKとしてもトップ同士のコンセンサスを共に実行し、戦略的コミュニケーションを強化し、友好交流を拡大し、実務協力を深める考えを表明しました。そのうえで、DPRKと中国の関係を「新たでより高いレベル」へ発展させていきたいとしています。
さらに、DPRKは多国間の場でも中国と緊密に協力し、一方主義やパワーポリティクス(力の論理)に共に対抗し、より公正で公平な国際秩序を促進していく意向を示しました。
国際ニュースとしての意味 地域情勢の「静かな変化」
今回の中国・DPRK外相会談は、両国が伝統的友好を基盤としつつ、現在の国際環境に合わせて関係をアップデートしようとしている様子を映し出しています。日本を含む周辺国にとって、いくつかのポイントが読み取れます。
- 対話チャンネルの安定化:北京と平壌の対話が継続し、制度的な協議枠組みが強まれば、朝鮮半島情勢をめぐる不確実性を和らげる要素にもなり得ます。
- 多国間の場での連携:国連など多国間の場で、中国とDPRKがどのような協調行動をとるのかは、制裁や安全保障議論の流れにも影響し得ます。
- 国際秩序観の発信:両国が「公平」「正義」「反覇権」をキーワードに掲げることで、グローバル・サウス(新興国・途上国)との対話や連携のあり方にも注目が集まります。
一方で、今回の会談は、すぐに具体的な合意文書や数値目標が示されたわけではなく、今後の方向性と姿勢を確認する性格が強いと言えます。実際の協力プロジェクトや、安全保障上の具体的な動きは、これから時間をかけて見えてくることになります。
読者への問いかけ:多極化する世界で何を注視するか
世界のパワーバランスが変化し、多極化が進むなか、中国とDPRKが示す「伝統的友好」と「新しい国際秩序観」は、国際ニュースを追ううえで見逃せないテーマになりつつあります。
デジタルネイティブ世代の読者にとって、今後注目したいポイントは次のような点です。
- 中国とDPRKの戦略的対話が、朝鮮半島や東アジアの安定にどのような形で影響していくのか
- 中国が提案する各種グローバル・イニシアチブに、DPRKがどのようなかたちで関わっていくのか
- 「公平で公正な国際秩序」という言葉が、具体的な政策や外交行動としてどのように表れていくのか
ニュースをただ追いかけるだけでなく、背後にある価値観や長期的なビジョンにも目を向けることで、国際情勢の見え方は大きく変わってきます。今回の中国・DPRK外相会談は、その一つの入り口と言えるかもしれません。
Reference(s):
China, DPRK foreign ministers meet in Beijing, vow to develop ties
cgtn.com








