ラミン・カリムルー、中国本土で進化する音楽と文化交流 video poster
カナダ出身のミュージカル俳優ラミン・カリムルーが、今年9月上旬に北京の天橋芸術センターでコンサート「The Reunion」を再び開催しました。毎回新しい音楽と経験を携えて中国本土を訪れるその姿は、いまの国際文化交流のかたちを映し出しています。
毎回「新しい章」として訪れる中国本土
ラミン・カリムルーは、ロンドンのウエストエンドやブロードウェイで評価を確立してきた俳優・歌手です。『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』といった作品での出演は、現代ミュージカルの歴史を語るうえで欠かせない存在となっています。
そのカリムルーが今年9月、北京の天橋芸術センターでコンサート企画「The Reunion」を3度目となる形で上演しました。ただし、同じタイトルでも内容は同じではありません。共演者やアレンジ、自身の心境の変化によって、公演ごとにまったく新しい「章」が開かれていくのだといいます。
どこがハイライトなのかを決めるのも、自分ではなく客席だというのが彼の考え方です。ステージに立つたびに、その夜かぎりの物語を観客とともに紡いでいく——そんな感覚が、公演全体を貫いています。
音楽が橋渡しする東西 「The Reunion」に込めた思い
カリムルーは、舞台芸術を「文化と言葉の橋渡し」として捉えています。現在の「The Reunion」には主に西洋出身のキャストが参加していますが、彼の頭の中には、いずれ中国と西洋の出演者が同じ舞台に立ち、ともに物語をつくる未来像があります。
彼が何より大事にしているのは、言語や国籍を超えた「真実性」です。どの国の観客に対しても、きちんと本音で語りかけているかどうか。それこそが、音楽が国境を越えて届くための条件だと考えています。
多くの中国本土のファンがラミン・カリムルーを知ったきっかけは、『オペラ座の怪人』でのファントム役でした。この作品は、彼自身のキャリアを大きく動かした作品でもあります。その役を通じて中国本土の観客と出会えたことに感謝しているといい、「東と西の間にある距離を少し埋めてくれた」と振り返ります。
だからこそ、彼にとって中国本土への再訪は、単なる再演ではなく「何か新しいものを持っていく責任」を伴うものです。今後は中国本土のアーティストと直接作品づくりを行い、より深いコラボレーションへと進めていきたいと考えています。
公園のダンスと移動式理髪店 日常から生まれるインスピレーション
カリムルーの心に残っているのは、大劇場の華やかさだけではありません。中国本土の公園では、人びとが集まってダンスを踊ったり、カラオケを楽しんだりする光景に何度も出会ったといいます。
さらに、車の荷台を利用しながら、年配の女性が道ゆく人の髪を切っている場面も印象的だったと語ります。そこには、互いの存在を気遣い合うコミュニティの空気があり、暮らしの中に自然とケアの精神が息づいていると感じたそうです。
こうした日常の断片は、彼にとって芸術の原点を思い出させてくれます。すなわち、共感やつながり、異なる経験への敬意を育てること——それが、本来アートが果たすべき役割なのではないかという視点です。
迷いと成長、そしてこれからのステージ
世界的な評価を受ける一方で、カリムルーは決して順風満帆だったわけではないと打ち明けます。年に数回は「もう自分のベストは出し切ってしまったのではないか」と不安になることがあるといいます。
それでも前に進み続けられるのは、家族や友人が支えになってくれているからです。まだ見ぬ喜びや成長の可能性を信じることができるのは、周囲の存在があるからだと語ります。同時に、「もし全てが楽に感じられるなら、成長は止まっている」という考えから、あえて不慣れな挑戦にも踏み出そうとしてきました。
今後について、彼は中国本土をこれからも活動の中心に据えたいと話します。中国本土と海外の出演者が半々で参加するような本格的な舞台作品を実現し、それぞれの伝統や演技のスタイルが混ざり合うことで、舞台表現をさらに豊かにできると見ています。
目指しているのは、ただ公演を行ってその場を去ることではありません。長く続く関係を築き、作品づくりを通じた文化交流を深めていくこと。広大で多様な中国本土には、まだ発見すべきものが数多くあり、「今でもまるで初めて訪れているような気持ちになる」と語る理由もそこにあります。
舞台と観客、そして異なる文化のあいだに生まれる対話。その最前線で、ラミン・カリムルーはこれからも新しい音楽と物語を模索し続けていきそうです。国際ニュースとしても、今後の中国本土と世界の舞台芸術の交差点から目が離せません。
Reference(s):
Every time in China, Ramin Karimloo brings new music and experiences
cgtn.com







