中国映画を支える女性たち ラベルを超えるクリエイターのいま video poster
中国映画の現場で、女性クリエイターの存在感がこれまで以上に高まっています。今年開催された2025年の北京国際映画祭(Beijing International Film Festival, BIFF)では、4人の女性映画人の声から、その変化の手触りが見えてきました。
「女性◯◯」と呼ばれない日を目指して
インタビューに登場したのは、撮影監督と監督を務めるDeng Lu、監督のZhang Dage、サウンドデザイナーのZhao Nan、カラリストのFu Shuの4人です。それぞれが自らの仕事とキャリアを語る中で浮かび上がったのは、「性別のラベル」にとらわれない働き方でした。
Zhang Dageは、「いつか、肩書きの前に性別をわざわざ付けて呼ばなくてよくなる日が来たら、私たちはバランスに近づけるのかもしれません」と語りました。この一言は、映画業界が目指しているゴールを端的に示しています。
裏方から前線まで、広がる女性の活躍の場
中国の映画業界では、長年にわたって多くの女性がカメラの外で重要な役割を担ってきました。近年はその姿がより可視化され、専門職としての信頼を勝ち取っています。
今回紹介された4人の職種を見ても、その広がりが分かります。
- 撮影監督・監督(Deng Lu)
- 監督(Zhang Dage)
- サウンドデザイナー、音響を統合する専門職(Zhao Nan)
- カラリスト、色彩や質感を仕上げる専門職(Fu Shu)
サウンドデザインやカラーグレーディング、撮影といった裏方の仕事から、監督や脚本といった前面に出る仕事まで、女性がプロフェッショナルとして評価される機会は確実に増えています。
観客の心に届く「感情の強度」を生み出す
女性映画人が増えたことで、作品が観客にもたらす感情の揺さぶりも変化しつつあります。4人が語った職業人生や個人的な思いは、多様な視点が集まることで、物語の深さや感情表現の幅が広がることを示しています。
音と色、カメラワーク、物語づくりがそれぞれの専門性によって磨かれることで、観客はより強く物語に共感し、自分自身の経験や感情と重ね合わせやすくなります。女性の視点が前面に出ること自体が目的なのではなく、「良い作品」を支える多様な声の一つとして位置付けられている点が印象的です。
多様性がつくる、よりバランスの取れた業界へ
4人の証言が照らし出したのは、女性が映画業界の成長エンジンの一部となりつつある現状です。それは、特別な存在として持ち上げられることではなく、音、色、映像、演出といった現場のあらゆる領域で、当たり前のように選ばれ、任されることを意味します。
「女性だから」ではなく、「その人がプロフェッショナルだから」仕事を任せる。Zhang Dageの言う「性別を前置きする必要のない日」は、そんな日常が当たり前になった状態だといえます。
私たちが受け取る「彼女たちの声」
映画館のスクリーンに映るのは作品ですが、その背後には無数の声と手があります。2025年の北京国際映画祭で紹介された4人の女性映画人の歩みは、観客である私たちに、作品のクレジットの向こう側にいる人々に思いをはせるきっかけを与えてくれます。
次に中国映画を見るとき、エンドロールに流れる撮影、音響、カラーグレーディングの名前に少しだけ目を留めてみると、スクリーンの向こうの「彼女たちの声」が、これまでとは違って聞こえてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







