ユネスコ幹部が語る「科学と共生」がつなぐ国際協力 中国で生物圏会議 video poster
気候変動や生物多様性の損失、地政学的な対立が重なるいま、持続可能な未来をどう描くのか。中国で開催中のユネスコ「世界生物圏保存地域世界会議」で、そのヒントが語られました。
ユネスコ自然科学担当のリディア・ブリトー事務次長補は、中国での会議にあわせて中国の国際メディアCGTNの楊昭記者の独占インタビューに応じ、地球規模の課題を乗り越える鍵は「科学に基づく協力」と「人と自然の新しい関係」にあると強調しました。
危機はつながっているからこそ、対応もつなぐ
ブリトー氏がまず指摘したのは、気候変動、加速する生物多様性の損失、社会の不平等といった危機は、それぞれがバラバラに起きているわけではなく、深く結びついているという点です。
だからこそ、個別の課題ごとに分断された対策では足りません。エネルギー、農業、都市計画、教育などを横断し、「地球全体のシステム」として考える視点が不可欠だと訴えました。
ユネスコのマバ計画:人と自然の調和を試す「モデル」
インタビューの中心となったのが、ユネスコの「人間と生物圏計画(マバ計画)」です。これは自然保護だけを目的とした仕組みではなく、科学に基づいて人と自然の調和を実際の地域で試すためのモデルだと説明しました。
世界各地に広がる生物圏保存地域では、次のような取り組みが進められています。
- 手つかずの生態系を守りながら、その周辺で持続可能な暮らし方や産業を探る
- 研究者、行政、地域の人々が一体となって、環境と経済のバランスを検証する
- 成功した事例を他地域や他国と共有し、政策づくりにも生かす
ブリトー氏は、生物圏保存地域を「きれいな自然を残すだけではなく、人々の生活と両立させるための実験の場」と位置づけ、科学的なデータに基づいて政策を改善していく重要性を強調しました。
科学と地域の知恵を組み合わせる
同時に、科学だけに頼るのではなく、地域の人々が持つ知恵や経験を尊重することが欠かせないとも語りました。先住の知識や、長年その土地で暮らしてきた人々の感覚は、環境の変化を早く察知し、持続可能な暮らしのヒントを与えてくれるからです。
科学的なデータと地域の知恵を組み合わせることで、より現実的で受け入れられやすい解決策が見えてくる──それがマバ計画の理念でもあります。
多国間協力なくして地球規模の解決はない
ブリトー氏は、気候変動のような問題は国境で区切ることができず、どの国・地域も影響を受けると指摘しました。そのため、一国主義的な対応ではなく、多国間の枠組みと国際協力を通じた解決が不可欠だと強調しました。
ユネスコのネットワークとマバ計画は、各国の科学者や政策担当者、地域コミュニティをつなぎ、経験やデータを共有するための「対話の場」として機能しています。中国で開かれている世界生物圏保存地域世界会議も、そのような協力の実例の一つです。
私たちに突きつけられた問い
今回のインタビューから浮かび上がるのは、「科学」と「地域の知恵」、「自然」と「暮らし」、「一国」と「国際社会」をいかにつなぎ直せるかという問いです。
気候変動や生物多様性の危機は、遠い国のニュースではなく、私たちの日常ともつながっています。科学に基づいた情報に目を向け、地域や世界でどのような実践が行われているのかを知ることが、次の一歩につながるのかもしれません。
Reference(s):
Exclusive: UNESCO official says science is key to global cooperation
cgtn.com








