中国映画興行収入2025年、24年超え目前 国慶節連休で加速
2025年の中国映画市場が、国慶節の8連休を前に2024年の通年興行収入を超える目前まで回復しました。春節公開の超ヒット作を起点に、年末までの500億元ライン到達に向けた動きが注目されています。
この記事のポイント
- 2025年の興行収入は9月末時点で約420億元と、2024年通年(425億元)にほぼ並ぶ水準に到達していた
- 春節公開の『哪吒2』が154億元超を稼ぎ、年間興収の3分の1以上を占めるけん引役に
- 国慶節連休は大作不足ながら、多数のシリーズ作品や続編が競合する「IPの季節」に
- 2019年以降低迷する興行の中で、2025年は500億元超えが視野に入る回復局面とみられている
24年通年425億元に迫る2025年興行収入
2025年10月の国慶節連休開幕を前に、中国本土の映画興行収入(累計)は約420億元に達しました。これは、2024年通年の425億元まであと約5億元という水準で、連休興行次第では、年末を待たずに前年実績を上回ると見込まれていました。
このタイミングで公開されたのが、陳凱歌監督による戦争大作『志願軍:終局の勝利(The Volunteers: Peace at Last)』と、コメディ作品『ロー・トゥ・ウィン(Row to Win)』です。10月1日から始まった8連休の国慶節シーズンに向け、劇場には大型新作が一気に出そろう構図となりました。
業界関係者の多くは、こうした勢いが続けば、2025年の年間興行収入は500億元の大台をうかがうとの見方を示していました。
春節の『哪吒2』が市場を牽引
2025年の興行回復を語るうえで外せないのが、春節連休に公開されたアニメ映画『哪吒2(Ne Zha 2)』です。同作は中国本土で154億元超を記録し、この時点で年間興行収入の3分の1以上を一作品で稼ぎ出しました。
他にも、人気シリーズ最新作『唐人街探案1900(Detective Chinatown 1900)』が36億元、夏シーズンの『デッド・トゥ・ライツ(Dead to Rights)』が30億元、『ノーバディ(Nobody)』が16億元を記録。『ノーバディ』は、中国映画史上、2Dアニメとしては過去最高の興行収入となっています。
9月公開作では、第二次世界大戦期における旧日本軍の731部隊の行為を題材にした『イーヴル・アンバウンド(Evil Unbound)』が15億元に達し、2025年の年間ランキング5位のヒットとなりました。
国慶節連休ラインナップ:多彩だが「絶対的な一本」は不在
チケット販売プラットフォーム「猫眼(Maoyan)」のデータによると、国慶節連休に向けて公開される新作は、連休開始前日の正午までに、前売りと先行上映だけで1億元超の興行収入を確保していました。
有力候補として名前が挙がっていたのは、犯罪サスペンス『サウンド・オブ・サイレンス(Sound of Silence)』、陳凱歌監督の『志願軍』三部作を締めくくる『志願軍:終局の勝利』、そして2021年のヒット作の続編となるファンタジー・アクション『刺殺小説家2(A Writer's Odyssey II)』などです。
ラインナップにはこのほか、実写コメディ『ロー・トゥ・ウィン』、歴史アニメ『三国志:星光の英雄たち(Three Kingdoms: Starlit Heroes)』、犯罪スリラー『ラメ・ヒーローの帰還(The Return of the Lame Hero)』『サンズ・オブ・ザ・ネオン・ナイト(Sons of the Neon Night)』、さらには『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(Avatar: The Way of Water)』の再上映も含まれていました。
一方で、猫眼のアナリストである頼莉(ライ・リー)氏は、作品数は多いものの、市場全体を一気に押し上げる「絶対的なテントポール(最大動員作)」が見当たらないと指摘。もっとも、今年の国慶節連休は通常より1日長い8連休であるため、口コミでじわじわと観客を集めるタイプの作品には追い風になるとの見方も示されていました。
続編とフランチャイズが主役に IP活用が本格化
中国映画市場では、ここ数年で続編やシリーズ作品といったフランチャイズ映画の存在感が一段と増しています。映画データプラットフォーム「灯塔(Beacon)」のアナリストである陳晋(チェン・ジン)氏は、こうした続編・シリーズ・既存IP(知的財産)をもとにした作品が「すでに主流になりつつある」と分析します。
『志願軍』三部作は累計で約5000万人を動員しており、『志願軍:終局の勝利』はその完結編にあたります。『刺殺小説家2』は、興行収入10億元超を記録した商業映画の世界観を引き継ぐ続編であり、『三国志:星光の英雄たち』は、国民的題材である三国志を用いた新たなアニメ・フランチャイズを狙った企画とみられます。
陳氏は、こうした動きが、長期的なシリーズ化やキャラクタービジネスを前提とした作品作りが進み、ハリウッド映画に見られるような産業化・成熟のプロセスが中国映画でも進行していることを示していると指摘しています。
2019年以降低迷からの「本格回復」なるか
中国本土の映画興行収入は、2019年には640億元を超え、世界有数の市場として存在感を高めていました。その後の数年間で市場は大きな調整局面を迎え、2023年には549億元まで回復したものの、2024年には再び425億元に減少しています。
2025年は、春節シーズンこそ記録的な興行を達成した一方で、労働節(メーデー)期間は低調、夏シーズンは堅調ながら爆発的ではないなど、波のある一年となりました。そのなかで、10月の国慶節連休は、年間を通じた回復の持続力を見極めるうえで重要な試金石と位置づけられていました。
9月末時点で年間興行収入が前年を上回る目前まで来ていたことから、多くの業界関係者は、2025年の通年興行が500億元の象徴的なラインを超え、中国映画市場が再び世界有数のダイナミックな興行市場としての地位を固められるかどうかに注目していました。
国際ニュースとしての視点で見ると、2025年の中国映画市場の動きは、国内コンテンツ産業の回復だけでなく、世界の映画産業の力学にも少なからぬ影響を与える可能性があります。今後も、中国発の大作やシリーズ作品がどのように国内外の観客を惹きつけていくのかが、引き続き注目されます。
Reference(s):
China's 2025 box office to surpass 2024 as holiday releases roll out
cgtn.com








