AIはSDGsに従うべき?専門家が語る「デジタルとグリーンの二重転換」 video poster
AIは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するうえで大きな力になり得る一方、その使い方を誤れば格差や環境負荷を拡大しかねない――。中国新一代人工知能発展戦略研究院の執行理事を務めるGong Ke(龔克)氏は、こうしたAIの「光と影」を指摘し、SDGsと整合的な方向へAIを導く必要性を強調しました。
Gong氏は、今年放送されたCGTNの特別番組「Embrace the AI era: Global Governance Initiative in action」に出演し、AIとSDGsの関係、深圳での成功事例、中国が進める「デジタルとグリーンの二重転換」、そしてアフリカの能力構築支援について語りました。この国際ニュースは、AIのグローバル・ガバナンスをめぐる議論が新たな段階に入っていることを示しています。
AIはSDGs達成の切り札か、それともリスクか
番組の中でGong氏は、デジタル技術、とりわけAIが持続可能な開発にどのように貢献し得るのか、そしてどのようなリスクをはらんでいるのかを整理しました。
- クリーンエネルギーや安全な水へのアクセスなどの分野で、データ分析や予測を通じて課題解決のスピードを加速できる。
- 一方で、デジタル技術へのアクセスに地域差があるため、AIの恩恵を受けられる人とそうでない人との間でデジタル格差が広がるおそれがある。
- AIを支える計算資源やデータセンターの電力消費が増えれば、温室効果ガス排出など環境へのプレッシャーを高める可能性がある。
だからこそ、AIの発展をSDGsの方向に合わせていく「ルールづくり」と「技術設計」が重要だとGong氏は訴えています。
深圳のAI事例:電池テストコストを40%削減
Gong氏が紹介した深圳の事例は、AIが持続可能性に具体的に貢献し得ることを示すものです。
同市では、電池の性能テストにAIを活用することで、テストにかかるコストを40%削減することに成功しました。これにより、試験に必要な時間やエネルギー、材料の使用量が減り、省エネと資源節約の両立が進んだとされています。
製造業やエネルギー産業などで同様の取り組みが広がれば、「より少ない資源でより多くを生み出す」というSDGsの考え方に沿った生産プロセスの転換が期待できます。
中国が進める「デジタルとグリーンの二重転換」
AIの活用が拡大する中で、Gong氏は、中国が掲げる「デジタルとグリーンの二重転換」の重要性を強調しました。これは、デジタル化の推進と環境負荷の低減を同時に進めるアプローチです。
- AIやクラウドなどデジタル技術の導入によって産業全体の効率を高める。
- その一方で、再生可能エネルギーの導入や省エネ技術の活用によって、AIシステム自体のエネルギー消費を抑える。
デジタル化とグリーン転換を別々に考えるのではなく、一体の戦略として進めることで、AIの成長と環境保護の両立を図ろうとする動きだといえます。
格差是正へ:アフリカでのAI能力構築
AIの恩恵を世界中で共有するには、技術やインフラ、教育面での格差を縮めることが欠かせません。Gong氏は、デジタル格差を放置すれば、AIがかえって不平等を拡大させる可能性があると指摘しました。
こうした問題意識のもと、中国はAI分野での能力構築に力を入れているといいます。具体例として、国連の場での関連決議を後押ししたことや、アフリカを対象とした「Engineering Capacity Building for Africa」プログラムが挙げられました。
このプログラムでは、通信や電力などのインフラ整備とあわせて、エンジニアや研究者といった人材の育成を支援し、アフリカの国や地域が自らAI技術を活用し、課題解決に取り組めるようにすることを目指しているとされています。
AIの国際協力を、単なる技術移転にとどめず、現地の能力を高める「パートナーシップ」として設計することが、持続可能な発展には不可欠だというメッセージが読み取れます。
私たちへの問い:AIとSDGsをどう結びつけるか
SDGsの達成年限である2030年まで残り数年となる中、AIをどのように設計し、どのようなルールのもとで運用していくかは、世界共通の課題になりつつあります。
Gong氏の議論は、中国国内の取り組みにとどまらず、アフリカを含む国際協力の枠組みの中でAIを位置づけようとする試みでもあります。AIがSDGsに沿って発展するためには、次のような視点が重要になりそうです。
- AIの省エネ化や再生可能エネルギーの活用を前提にした技術設計。
- 教育や研修を通じて、より多くの人がAIの基礎知識と活用スキルを身につけられる仕組みづくり。
- 国や地域を超えた長期的なパートナーシップに基づく能力構築支援。
AIは、使い方次第でSDGs達成の強力な推進力にもなれば、新たな格差や負荷の要因にもなり得ます。国際ニュースとして紹介された今回の議論は、技術に期待を寄せる私たち一人ひとりに、AIと持続可能な未来をどう結びつけるのかを静かに問いかけています。
Reference(s):
cgtn.com








