ミラノ・ファッションウィークで中国ブランドHUIが「銀の歌」を披露 video poster
2025年のミラノ・ファッションウィークで、中国ブランドHUIのデザイナー、Zhao Huizhou(ジャオ・フイジョウ)さんが、2026年春夏のプレタポルテ(既製服)コレクションを発表しました。中国の無形文化遺産と女性の力をテーマに掲げた今回のショーは、ミャオ族の銀飾りをモチーフにしながら、国際舞台で強い存在感を示しました。
中国ブランドHUIが見せた新作コレクション
今回ミラノ・ファッションウィークで発表されたのは、HUIによる2026年春夏のレディス向けコレクションです。デザイナーのZhao Huizhouさんは、これまでも一貫して中国の無形文化遺産と女性の力に光を当ててきましたが、今季もその姿勢は変わっていません。
ランウェイに並んだのは、文化的な背景と現代的な感性が交差する服たち。単にトレンドを追うのではなく、「どんな物語をまとうのか」を問いかけるようなコレクションとなりました。
テーマは「The Song of Silver」――銀が主役の世界観
今回のショーのテーマは「The Song of Silver(銀の歌)」。ランウェイ空間全体が、五感で味わう文化体験へと変わりました。観客は、光を反射する銀色のモチーフや質感を通じて、中国の伝統に触れるような演出を体験しました。
コレクションの核にあるのは、中国のミャオ族の伝統的な銀饰(ぎんしょく)文化です。ミャオ族の銀飾りに見られる複雑な造形や象徴的なモチーフを取り入れつつ、シルエットや素材使いは現代的に整理され、日常にもなじむようなデザインへと昇華されています。
ショーでは、次のような要素が重なり合うことで「マルチセンサー(多感覚)の文化体験」が形づくられていました。
- 銀の光沢や重なりによって生まれる視覚的なリズム
- 伝統的モチーフとミニマルなラインが同居するコントラスト
- 装飾性と動きやすさを両立させた、現代のライフスタイルに寄り添う構成
無形文化遺産へのまなざしと、女性の力
今回のHUIのコレクションは、これまで同様、中国の無形文化遺産に焦点を当てています。無形文化遺産とは、伝統的な技術や芸能、祭礼、衣装文化など、「かたち」として残りにくいものの、地域の記憶や精神を受け継いできた文化を指します。
ミャオ族の銀飾りは、そうした無形文化遺産の象徴的な一つです。繊細な手仕事や世代を超えて受け継がれてきた意匠には、コミュニティの歴史や祈り、価値観が刻まれています。HUIのコレクションは、それらを「そのままコピーする」のではなく、現代の服として再構成することで、新しいかたちの継承を試みています。
同時に、Zhao Huizhouさんは「女性の力」にも繰り返し光を当ててきました。今回のコレクションでも、繊細さと強さが同居するデザインを通じて、次のようなメッセージが読み取れます。
- 装飾性は高いが、動きを妨げないシルエットで、自立した女性像をイメージさせる
- 伝統モチーフを前面に押し出しながらも、過度な「民族衣装らしさ」に頼らないバランス
- 文化的なルーツを誇りとして身にまとう、ポジティブなイメージづくり
グローバルファッションの中で広がる「文化をまとう」潮流
ミラノ・ファッションウィークのような国際的な場で、中国ブランドが自国の無形文化遺産を前面に打ち出すことには、いくつかの意味があります。
- ファッションを通じて、中国各地の文化や物語を世界の観客に伝える
- 単なる「トレンドの消費」ではなく、背景にある歴史や価値観への関心を促す
- グローバルブランドの一員として、独自性のあるスタイルを提示する
今回のHUIのショーは、「Made in China」を超えて、「Told from China(中国から語られる物語)」という側面を強く感じさせるものでした。ミャオ族の銀飾りという具体的なモチーフを通じて、多様な文化が共存する中国社会の一断面を、観客にやわらかく紹介する役割も果たしています。
私たちはこのショーから何を受け取るか
newstomo.comの読者である皆さんにとって、今回のHUIのコレクションは、次のような問いを投げかけているように見えます。
- 自分のルーツや大切にしたい価値観を、どのように日常のスタイルに反映させられるか
- 「文化をリスペクトすること」と「新しく解釈すること」のバランスをどう取るか
- 女性の力を表現するファッションとは、強さとしなやかさのどのような組み合わせなのか
ミラノ・ファッションウィークで披露されたHUIの「The Song of Silver」は、単なる2026年春夏コレクションの一つではなく、無形文化遺産と女性の力を未来につなぐ試みとして、静かながら印象に残るショーとなりました。国際ニュースとしてのファッションを追いかけるとき、こうした「背景にある物語」に目を向けてみると、ニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








