中国の有人潜水艇「蛟龍号」、北極海で10回超の深海潜航に成功
中国の有人深海潜水艇「蛟龍号(ジャオロン)」が、北極海で10回を超える有人深海潜航に成功しました。北極の海底生態系とメタンの動きを探る、中国の深海探査に関する国際ニュースです。本記事では、日本語で読める国際ニュースとして、この最新動向を整理します。
蛟龍号とは 中国の深海探査をけん引する存在
蛟龍号は、中国が開発した有人深海潜水艇で、同国の深海探査能力を象徴する存在です。近年の改良とローカリゼーションによるアップグレードを経て性能が高められ、2025年には極地での本格運用が始まりました。
蛟龍号は、ローカリゼーションと改修によるアップグレードを受けた後、南シナ海での航海試験を経て、正式に極地任務に投入されました。
2025年11月 北極海の氷の下への初の深海潜航
中国は2025年11月、北極海の氷の下で蛟龍号による初の有人深海潜航を成功させ、大きな飛躍を遂げました。こうした成果を受けて、同国は深海探査能力のさらなる強化を進めています。
大洋航行92 北極海ミッションの概要
蛟龍号が参加したのは、「大洋航行92」と呼ばれる海洋調査航海です。調査船「深海一号(シェンハイ・イーハオ)」は、2025年7月15日に山東省青島を出港し、9月8日に同じ港へ帰還しました。
この第1レグでは、極地科学研究用の砕氷船「雪竜2(シュエロン2)」の支援を受けながら、北極海で次のような作業が行われました。
- 蛟龍号による北極海での10回を超える有人深海潜航
- ROV(遠隔操作無人探査機)による海底調査
- CTD(電気伝導度・水温・水深プロファイラー)を使った海水の採取と観測
AIと高精細画像で読む 北極の海底生態系
今回のミッションでは、調査海域で撮影された高精細な画像データをAIで識別し、海底にすむ底生生物の分布が詳しく調べられました。
予備的な研究では、一部の北極海域では、数十〜数百キロという範囲の中で、底生生物の密度、生物多様性、個体サイズに顕著な違いがあることが分かり始めています。こうした違いは、海底の地形や地形の形態、水深などと関係している可能性が指摘されています。
取得されたデータや試料は、極地海域の生物多様性マップを作成し、保全に向けた取り組みを進めるうえで強力な支えとなります。
海底の「痕跡」が示す メタン移動の手がかり
調査では、ポックマークと呼ばれるくぼみの疑いがある地形や、溶食孔、炭酸塩岩、多数の帯状の貝殻化石のような構造が見つかりました。これらは、過去に冷湧水とみられる噴出が起きていた可能性を示しています。
冷湧水とは、海底からメタンなどを含む流体が湧き出す現象です。今回の発見は、地質時代を通じた北極域でのメタン移動の経路を探るうえで、重要な情報を与えるものとされています。
人類の理解を深める北極深海探査
有人潜水艇による詳細な調査を通じて、北極の深海における生物多様性の分布パターンや、生態系がどのように環境に適応しているのかについての人類の理解は、着実に高まりつつあります。
北極の深海は、まだ「知られていない海」が多く残る領域です。蛟龍号が北極海で重ねた10回を超える潜航と、AIや各種観測機器を組み合わせた今回の調査は、極地の海で何が起きているのかを立体的に描き出す試みとも言えます。
これらの成果は、中国の深海探査技術の向上を示すだけでなく、地球規模での環境変化や海洋保全を考えるための材料にもなります。北極と深海をめぐる動きは、今後も国際ニュースとして注目していきたいテーマです。
Reference(s):
China's Jiaolong completes over 10 manned deep dives in the Arctic
cgtn.com








