中国国慶節の映画興行収入が12億元突破 戦争大作と社会派作品が牽引
中国の2025年の国慶節(National Day)8連休で、映画興行収入が累計12億元(約1億7000万ドル)を突破しました。国際ニュースとしても注目される中国の映画市場では、戦争大作や歴史を題材にした社会派作品が、今年のスクリーンを席巻しています。
中国の国慶節連休、映画館は今年も活況
オンラインプラットフォームのデータによると、国慶節連休中の日曜日の午前11時38分時点で、連休全体の映画興行収入はすでに12億元を超えました。10月1日からの8日間の国慶節連休は、毎年多くの人が映画館に足を運ぶシーズンであり、中国の映画館や配給会社にとって、最も競争が激しくなる書き入れ時でもあります。
今年も複数の新作が同時に公開され、観客の支持をめぐって激しい争いが続いています。その中で、戦争を題材にした大作や、歴史の暗部を描く作品、そしてエンターテインメント性の高いファンタジー作品が上位を占めています。
首位は戦争大作『The Volunteers: Peace at Last』
現在、2025年の国慶節興行の首位に立っているのは、国内の戦争大作『The Volunteers: Peace at Last』です。この作品は、陳凱歌(Chen Kaige)監督による三部作『The Volunteers』シリーズの完結編として制作されました。
物語の背景となるのは、1950〜1953年の抗美援朝戦争(War to Resist U.S. Aggression and Aid Korea)です。作品は、激しい戦場での戦闘場面と、その背後で進む緊迫した外交交渉のドラマが交錯する構成になっており、兵士たちの闘いと、会議室での駆け引きの両方を通じて、当時の状況を再現しています。
戦争の記憶や歴史認識をテーマとしつつ、大規模な戦闘シーンなど映画的なスケール感も備えたこの作品が、国慶節という特別な時期に多くの観客を引きつけているとみられます。
731部隊の残虐行為に光を当てる『Evil Unbound』
第2位につけているのが、国内作品『Evil Unbound』です。作品は、第二次世界大戦中に中国で活動した日本軍の細菌戦部隊である731部隊による残虐行為を描いています。
物語の中心となるのは、731部隊に拘束された罪のない人々の運命です。登場人物たちは、凍傷実験や毒ガス、生体解剖などの非人道的な拷問実験の対象とされ、その極限状態の中で生きようとする姿が描かれます。
極めて重いテーマを扱う作品ですが、歴史上の出来事と向き合い、被害者の視点から物語を再構成することで、観客に問いを投げかける内容となっています。国慶節という大きな興行の場でこのような作品が上位にあることは、歴史や記憶を見つめ直そうとする関心の強さを示しているともいえます。
現実と仮想世界の危機を描く『A Writer's Odyssey II』
興行収入ランキングの3位には、ファンタジー・アクション映画『A Writer's Odyssey II』が入っています。この作品は、2021年に公開されたヒット作の続編で、アクションとファンタジー要素を組み合わせたシリーズの最新作です。
物語は、一人の小説家を中心に展開します。彼は、自身が生み出した創作世界の中だけでなく、現実世界でも同時に危機が進行していることに気づきます。小説の物語と現実の出来事がリンクし、二つの世界が互いに影響を与え合う中で、小説家は両方の世界を救うために行動せざるを得なくなります。
現実と仮想世界、創作と現実の境界が揺らぐ中で、人間の選択や責任をどう描くのかというテーマも読み取れる構成になっており、エンターテインメント作品でありながら、観客に考える余地を残す内容になっています。
3作品から見える中国の観客の関心
今回の国慶節連休の興行ランキング上位3作品を改めて並べると、次のようになります。
- 戦場と外交の両面から抗美援朝戦争を描く戦争大作『The Volunteers: Peace at Last』
- 第二次世界大戦中の731部隊による残虐行為と、一般の人々の犠牲に焦点を当てる『Evil Unbound』
- 小説家の視点から、現実世界と仮想世界の二重の危機を描くファンタジー・アクション『A Writer's Odyssey II』
テーマだけを見ると、戦争の記憶や歴史の暗部、そして現実と仮想世界の境界といった、決して軽くはないモチーフが並んでいます。同時に、壮大なスケールの映像表現やアクション、サスペンス要素も取り入れられており、観客の「考えたい」と「楽しみたい」という二つの欲求に応えるラインナップだともいえます。
毎年の国慶節連休は、中国の映画産業にとって、その年の作品群がどれだけ観客の支持を得られるかを占う試金石のような存在です。今年、戦争や歴史、そして創作世界をテーマにした作品が上位に並んだことは、観客の間で、重いテーマに向き合いつつエンターテインメントも求める動きが続いていることをうかがわせます。
今後の国慶節連休でも、どのような物語がスクリーンを支配し、観客の共感を集めていくのか。映画館での選択が、その社会の空気や関心をさりげなく映し出し続けるのかもしれません。
Reference(s):
China's National Day box office surpasses 1.2-billion-yuan mark
cgtn.com







