国際ニュース:中国主導で再生可能エネルギーが石炭発電を初逆転
2025年前半、世界の再生可能エネルギーによる発電量が、統計上初めて石炭火力を上回りました。国際エネルギーシンクタンクEmberの分析によると、その歴史的な転換を主導したのが中国です。
再生可能エネルギーが石炭を逆転
今回の分析は、2025年1〜6月の世界の電力データをもとにまとめられました。結論は明快で、再生可能エネルギー発電が石炭火力を追い抜き、世界の電力システムが大きな転機を迎えていることを示しています。
背後には、中国での急速な太陽光発電と風力発電の拡大があります。Emberは、中国のクリーンエネルギー導入がなければ、この「再エネが石炭を上回る」という節目はまだ先になっていただろうと示唆しています。
中国が世界の転換をけん引
Emberの試算によると、2025年前半の太陽光発電量の増加分のうち、世界全体の55%を中国が占めました。風力発電ではその存在感はさらに大きく、増加分の82%が中国によるものとされています。
数字だけではイメージしにくいかもしれませんが、これは「世界の再エネ拡大の大半が中国で起きている」という意味です。世界の発電構成の変化は、多くが中国国内の投資や技術導入の結果として生まれていると言えます。
- 太陽光発電の増加分の55%を中国が担う
- 風力発電の増加分の82%を中国が担う
- 世界全体の統計を動かす規模の導入が続く
需要増をすべてクリーンエネルギーで賄う構造転換
注目すべきは、導入規模だけではありません。2025年前半、中国では国内の電力需要の増加分をすべてクリーンエネルギーで賄うことに成功しました。ここでいうクリーンエネルギーには、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが含まれます。
その結果、化石燃料による発電量は全体として2%減少しました。電力需要が伸びても、それを火力発電ではなくクリーンな電源で満たすことで、構造的に化石燃料への依存を減らす動きが始まっていると見ることができます。
CO2排出にも即座に効果
電力部門の二酸化炭素排出量にも変化が表れています。分析によれば、中国の電力部門の排出は46トン減少し、世界で最も大きな絶対量の削減となりました。
同じ期間、米国や欧州連合では電力部門の排出が増加したとされますが、中国の削減効果がその増加分をおおむね打ち消し、世界全体の排出を安定させる方向に働いたとされています。ひとつの国のエネルギー転換が、世界の排出トレンドを左右し始めていることがわかります。
風力・太陽光の設備容量が石炭を上回った意味
さらに、2025年初めまでに、中国では風力と太陽光の設備容量の合計が、石炭火力の設備容量を上回りました。設備容量とは「最大どれだけ発電できるか」というポテンシャルを示す指標です。
実際の発電量は天候や運転状況によって変わりますが、設備容量が石炭を超えたということは、長期的にはクリーンエネルギー中心の電力システムへと移行していく基盤が整いつつあることを意味します。
Emberは、中国がこの分野での継続的な投資と技術革新を通じて、世界全体の化石燃料利用の削減に必要な市場と技術の条件をつくり出していると指摘しています。
日本と世界への問いかけ
今回の動きは、日本を含む世界のエネルギー政策やビジネス戦略にも、いくつかの示唆を与えています。
- 電力・産業界にとって:再生可能エネルギーが「補完的な電源」から「主力電源」へと変わるスピードは、想定より速い可能性があります。設備投資や技術開発の前提をアップデートする必要がありそうです。
- 投資家にとって:発電市場の重心がクリーンエネルギーへ移る中で、どの地域のどの技術に長期的な成長余地があるのか、見直しが求められます。
- 私たち一人ひとりにとって:電気料金や電力の安定供給だけでなく、気候変動対策やエネルギー安全保障も含めて、「どんな電力システムを選びたいのか」を考える局面が近づいています。
2025年前半に起きた「再生可能エネルギーが石炭を上回る」という出来事は、単なる数字上の記録ではなく、世界の電力システムが新しい段階に入りつつあることを示すサインです。その変化を強く押し進めている中国の動きは、これからも国際ニュースとして注目しておく価値がありそうです。
Reference(s):
China drives historic global energy pivot as renewables overtake coal
cgtn.com








