上海の国慶節と中秋節、食卓を埋め尽くすごちそうの意味
2025年の国慶節と中秋節のダブル連休のあいだ、上海の街はあたたかな祝祭ムードに包まれました。家族や友人が集まり、食卓には蒸しガニと豚肉のパティ、カリッと焼き上げたローストダック、甘く煮たレンコン、上海風スモークフィッシュなどの料理がずらりと並びます。にぎやかな食卓には、再会の喜びや「家」に帰ってきた安心感が、そのままのかたちで表れているようです。
ダブル連休が生む「団らん」と一体感
国慶節(建国記念の祝日)と中秋節(満月を愛でる節句)が重なるダブル連休は、上海の人々にとって一年の中でも特別な時間です。ふだんは仕事や学業で忙しく、同じ街にいながら顔を合わせる機会が少ない家族も、この期間には「とにかく一度は集まろう」と食卓を囲みます。
上海では、こうした連休の食卓に「豪華さ」だけでなく、「みんなで分け合えること」が重視されます。大皿に盛られた料理を取り分けながら、近況を語り合い、笑い合う時間そのものが祝祭の中心になっているのです。
上海らしい食卓の主役たち
このダブル連休の食卓には、地域ならではの定番料理が並びます。それぞれの一皿には、季節感や家庭の記憶がぎゅっと詰まっています。
蒸しガニと豚肉のパティ:秋の味覚を一皿に
秋の上海と聞いてまず思い浮かぶのが、身の詰まった蒸しガニです。そこに豚肉のパティを合わせた料理は、海のうま味と肉のコクが一度に味わえる一品。シンプルに見えて、蒸し時間や味つけの加減など、家庭ごとのこだわりが光ります。
カリカリに焼き上げたローストダック
皮はカリッと、身はジューシーに焼き上げたローストダックも、連休のごちそうとして人気です。薄く切り分けられたダックをみんなで取り分けるスタイルは、自然と会話を生み、「さあ、たくさん食べて」というもてなしの気持ちが伝わります。
甘く煮たレンコン:ほっとするやさしい甘さ
砂糖やシロップでじっくり煮たレンコンは、見た目にも華やかな一皿です。シャキッとした歯ざわりとやさしい甘さは、濃い味の肉料理が続く食卓の中で、ほっと一息つかせてくれます。子どものころから食べ慣れた味として、思い出と結びついている人も多い料理です。
上海風スモークフィッシュ:冷菜の定番
甘辛い味つけで知られる上海風スモークフィッシュも、テーブルを彩る定番です。香ばしい魚のうま味に、ほんのりとした甘さが重なり、お酒にもごはんにもよく合います。冷めてもおいしく食べられることから、ゆっくりと長く続く団らんの時間にぴったりの料理です。
変わり続ける都市、変わらない「家の味」
超高層ビルが立ち並び、新しい飲食店やトレンドが次々と生まれる上海ですが、このダブル連休になると、多くの人が「いつもの味」に戻ってきます。外食やデリバリーが当たり前になった2025年のいまでも、家族や友人と囲む手料理の食卓には、特別な意味が残り続けています。
日本の年末年始のように、「一年に一度は、みんなで集まって同じ料理を食べる」という習慣は、人と人とのつながりを静かに確かめ直す時間でもあります。蒸しガニやローストダックで埋め尽くされた上海の食卓には、にぎやかな祝祭だけでなく、「ふだん言えないけれど、あなたを大切に思っている」という気持ちが、さりげなく盛りつけられているのかもしれません。
国際ニュースとして上海のダブル連休の食卓を眺めるとき、そこに映るのは「遠い都市のグルメ」だけではありません。忙しい日々の中で、家族や友人とどのように時間を分かち合うのか――その問いは、上海に暮らす人々と同じように、日本にいる私たちにも静かに返ってきます。
Reference(s):
cgtn.com








