中国南部でナトリウムイオン電池の大型蓄電所拡張 再エネ活用を加速
中国南部の広西チワン族自治区南寧市で、中国初となる大規模ナトリウムイオン電池のエネルギー蓄電施設が水曜日に拡張運転を正式に開始しました。再生可能エネルギーの安定利用と脱炭素に向けた一歩として注目されています。
中国初の大規模ナトリウムイオン蓄電所が拡張
今回拡張されたのは、広西チワン族自治区南寧市のフーリン(Fulin)蓄電所です。この施設は、中国で初めての大規模ナトリウムイオン電池によるエネルギー貯蔵ステーションとされています。
第2期の拡張工事が完了したことで、フーリン蓄電所はより多くの電力をため、必要なときに放出できるようになりました。風力発電や太陽光発電など、出力が変動しやすい再生可能エネルギーを電力系統に安定的に送り込む「バッファー」の役割を強めることになります。
600サイクル・年間3,000万kWhのインパクト
拡張後のフーリン蓄電所は、年間最大600回の充放電サイクルに対応できるとされています。さらに、風力と太陽光による電力およそ3,000万kWh(キロワット時)を毎年系統に統合する計画です。
公表されているポイントを整理すると、次のようになります。
- 年間約600回の充放電サイクルに対応
- 年間約3,000万kWhの風力・太陽光電力を電力系統に統合
- およそ2万世帯分の年間電力需要を支える規模
約2万世帯分という規模は、一つの中規模都市の住宅エリアを丸ごとカバーし得るレベルであり、大型の蓄電インフラであることが分かります。
年間1万3,500トンのCO2削減効果
このプロジェクトは、環境面での効果も強調されています。運用により、年間で約1万3,500トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できると見込まれています。
再生可能エネルギーは、天候や時間帯によって発電量が変動します。ナトリウムイオン電池による蓄電は、その余剰分をいったんためておき、需要が高い時間帯に放出することで、化石燃料発電への依存を減らす役割を果たします。その結果として、CO2排出削減につながる仕組みです。
ナトリウムイオン電池が注目される理由
リチウムイオン電池に続く次世代の電池技術として、ナトリウムイオン電池は近年注目が高まっています。今回のように、定置用の大型蓄電に活用されるケースが有望視されています。
ナトリウムイオン電池が注目される背景には、次のようなポイントがあります。
- 資源の豊富さ:ナトリウムは海水や鉱物中に豊富に存在し、調達しやすいとされます。
- コスト面でのポテンシャル:材料コストを抑えやすい可能性があり、大規模な蓄電システムに向くと期待されています。
- 定置用途との相性:エネルギー密度(重さや体積あたりのエネルギー量)はリチウムイオン電池に劣る場合もありますが、発電所や変電所に据え置いて使う用途では、その弱点が小さくなります。
こうした特性から、ナトリウムイオン電池は、特に大規模な再生可能エネルギーの受け皿として期待されており、今回のフーリン蓄電所のようなプロジェクトは、その実用化と普及に向けた一つの例と見ることができます。
中国南部から広がるエネルギー転換の動き
広西チワン族自治区南寧市のフーリン蓄電所の拡張は、再生可能エネルギーの導入と送電網の安定化を同時に進めようとする取り組みの一つです。風力や太陽光の発電量が増えるほど、蓄電インフラの重要性は高まります。
今回の施設は、ナトリウムイオン電池という新しい選択肢を現場レベルで実装したという点で、今後のエネルギー政策や技術開発にも示唆を与える動きと言えます。こうしたプロジェクトが今後、中国南部のほか、アジア各地や世界の他の地域にも広がっていくかどうかは、各国・各地域のエネルギー戦略にとって重要な論点になっていくでしょう。
日本の読者にとっての示唆
日本でも再生可能エネルギーの比率を高めるには、大型蓄電や系統の柔軟性向上が欠かせないとされています。中国南部でのナトリウムイオン電池蓄電所の拡張は、電池技術の多様化と、再エネと蓄電を組み合わせたインフラづくりが現実に進んでいることを示す事例の一つです。
今後、どのような電池技術や蓄電システムが主流になっていくのか、日本からも継続してウォッチしていく価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








