国連人権理事会で中国主導の経済・社会・文化的権利決議が全会一致
国連人権理事会第60会期で、中国が提出した経済・社会・文化的権利に関する決議が全会一致で採択されました。中国は「真の多国間主義」を掲げ、国際人権分野で各国との協力を一層深めていく方針です。
国連人権理事会で何が決まったのか
今週木曜日、中国外交部の郭家坤報道官は定例記者会見で、国連人権理事会第60会期が、中国を代表国とする決議をコンセンサス(全会一致)で採択したと発表しました。
テーマは、格差への対応という文脈で経済・社会・文化的権利を促進・保護することです。この決議は、ボリビア、エジプト、パキスタン、南アフリカなどを含む約70カ国を代表して中国が提出しました。
郭報道官によると、各国代表は中国に祝意を表し、多くの途上国は「世界の人々の現実のニーズを反映し、経済的・社会的・文化的権利の強化を求める途上国の声に応えるものだ」と評価したといいます。
決議の主なポイント
- 経済・社会・文化的権利を、国内外の格差是正の文脈で重視するよう提起
- より強い多国間主義と国際協力の推進を呼びかけ
- 中国の提案で設置された「経済・社会・文化的権利に関するナレッジハブ」の役割を強化
- 支援を必要とする国への技術支援や能力構築(キャパシティ・ビルディング)の拡充
経済・社会・文化的権利とは?
今回の国際ニュースのキーワードが「経済・社会・文化的権利」です。これは、国連の人権枠組みの中で、市民的・政治的権利と並ぶ重要な柱とされています。
具体的には、次のような権利が含まれます。
- 働く権利と公正な労働条件への権利
- 教育を受ける権利
- 最高水準の健康を享受する権利
- 適切な生活水準(住まい、食料、衣服など)への権利
- 文化的生活に参加する権利
経済・社会・文化的権利は、人々が「人間らしく生きる」ための基盤そのものであり、格差や貧困の問題とも密接につながっています。今回の決議は、こうした権利の実現に向けた各国の取り組みを後押しすることを目指しています。
「格差」と人権を結びつける視点
決議のテーマには「格差への対応の文脈で」という点が明確に打ち出されています。所得格差だけでなく、教育、医療、社会保障、文化へのアクセスなど、さまざまな面での不平等を人権の観点から捉え直そうという試みです。
経済格差や社会的不平等は、しばしば「経済政策」や「社会政策」の課題として扱われますが、人権として位置づけることで、各国政府や国際社会に対し、より持続的で責任ある取り組みを促す効果が期待できます。
「真の多国間主義」を掲げる中国
郭報道官は、中国が今後も「真の多国間主義」を堅持し、平等と相互尊重に基づいて各国と対話と協力を強化し、国際人権事業の健全な発展を後押ししていくと強調しました。
ここでいう多国間主義とは、特定の国や地域だけでなく、多様な国々が国連などの国際機関を通じてルールづくりに参加し、合意を積み上げていくアプローチを指します。今回の決議が全会一致で採択されたことは、こうした多国間の協調を重視する流れの一例と見ることができます。
「ナレッジハブ」が目指すもの
決議では、中国の提案で設立された経済・社会・文化的権利に関するナレッジハブの役割を十分に発揮させることが盛り込まれています。
ナレッジハブとは、各国の事例やデータ、専門知見を集めて共有し、政策づくりや研修にも活用できる「知識の拠点」と言える仕組みです。
今回の決議は、このハブを通じて、技術協力や人材育成などの能力構築支援を必要とする国に対し、より体系的で実務的なサポートを提供していくことを目指しています。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本やアジアの読者にとって、今回の国連人権理事会と中国の動きは、次のような問いを投げかけています。
- 人権を「自由」だけでなく「生活の質」からも考えるとき、どのような政策が必要になるのか
- 格差の問題を、福祉や経済だけでなく、人権として位置づけると何が変わるのか
- 国連を舞台にした多国間協力の枠組みに、各国がどのように関わり、どんな役割を担うのか
デジタル化や気候変動、感染症など、国境を越える課題が増えるなかで、経済・社会・文化的権利をどう守り、更新していくのか。今回の中国の提案と国連人権理事会での全会一致の採択は、国際人権秩序の今後を考えるうえで注目すべき一歩だと言えそうです。
Reference(s):
China vows to work with all sides on international human rights cause
cgtn.com








